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北海道車輌運送

青いカラーが特徴的なキャリアカー。保有台数は約110台にも上る

ドライバーの地位向上に努め、企業成長を加速させる

 自動車が販売店に届くまでの流れは、なかなか知られていない。そんな分野を担う黒子企業も存在する。

 自動車や大型トラック、特殊車両の輸送をはじめ、紙や農産物などをトレーラーに積んで陸上輸送する「シャーシ輸送」などが主事業の「北海道車輌運送」も暮らしを支える企業の1社だ。

「キャリアカー」と呼ばれる車両運搬に特化したトラックなどを約110台保有。道外から道内に船揚げされた車両を中心に輸送する。キャリアカーでは輸送できない大型車両の場合でもドライバーが自走することで、全道への輸送網を構築した。

 小泉直哉社長は、2021年に就任。前職は本州資本の運送会社で代表を務めた手腕を発揮している。

「運送業界は、人手不足に加え、ドライバーの時間外労働が大きく規制される『2024年問題』など、課題が山積み。今後を見据えた社内改革に着手しています」と小泉社長。

 その1つが、ES(従業員満足度)向上だ。社外の福利厚生サービス「リロクラブ」を導入し、社員とその家族に向けて手厚い支援を実施。社員定着率の向上に寄与している。

 インセンティブ制度も刷新。長期にわたる無事故を達成した際は、報酬を従来比で最大10倍に拡大した。ドライバーを統括する部門長と現場社員にも目標を設け、達成時には臨時賞与を支給。現場の士気が上がり、業績も押し上げた。

 さらに、ドライバーのユニホームの刷新にも着手。大手スポーツブランドに製造を依頼し、機能性とデザイン性に特化したものを導入した。従来と比較してもシルエットがスタイリッシュで、顧客からは〝見た目がきれいで清潔感が増した〟と好評。社員からも〝荷主からの見られ方が変わり、業務に一層身が入る〟といった声も上がっており、従業員の熱情も増している。

「今後もドライバーをはじめ、ステークホルダーへ向けた取り組みを継続していく。それが結果として、当社の成長に直結していきます」と小泉社長。

 

紙や農産物を運ぶ「シャーシ輸送」
小泉直哉社長