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北栄運輸

100台以上の車両を保有する

食品物流のなかでもデリケートな鶏卵輸送で確固たる地位を築く

普段、我々が食べている鶏卵は、鮮度が命と言われるほど繊細な食べ物だ。新鮮な卵をできるだけ早く消費者へ届けるために、さまざまな企業が関わっている。鶏卵をスーパーなどへ輸送する企業も存在するが、食品物流のなかでも特にデリケートな物流として知られているのがこの鶏卵輸送だ。細心の注意とスピーディーな対応が要求される。

北海道で鶏卵輸送を担うのが2月で創業から60年を迎えた「北栄運輸」だ。道内の鶏卵輸送においてはトップシェアを誇っており、近年は東北圏への輸送も担う。このほか、自動車部品や化学薬品、学校給食など多岐にわたる〝モノ〟を運んでいる。

「当社は創業以来、北海道の鶏卵消費に大きく関わっています」と木原雅史社長が話すように、主力の鶏卵輸送は道内に四半世紀以上にわたって定期路線を運行し続けており、強固な物流ネットワークを築いている。 

また、2017年には岩手県に、19年には恵庭市へと営業所を開設。これにより、取引先からの急な依頼にもフットワーク軽く対応しており、信頼へと繋がっている。

信頼される理由はほかにもある。徹底した温度管理と消毒作業も同社の強みだ。10台以上の冷凍車を毎年導入し、常に温度管理に狂いがないよう努めている。庫内の温度記録や走行データなどは、すべてデジタルタコメータで管理し顧客へ提出も行う。

また、鶏卵の集荷などで処理工場に出入りする車両は、その都度工場に入る手前で、ウイルスや病原菌を持ち込まないように、ボディと足回りの噴霧消毒を行う。防疫マニュアルを基本に、鶏卵輸送ならではの防疫管理を行っている。

道内で確固たる地位を築いている同社では現在、100人以上の従業員を抱える。木原社長が「私が社長へ就任するまでは、30人程度しか従業員はいませんでした。一層の顧客ニーズに応えるため、ドライバー確保が最重要事項でした」と話すように、12年の社長就任後、最初に着手したのが人材確保だ。

退職金制度の導入や給与のベースアップなど、福利厚生を整備しドライバーが働きやすい環境づくりを推進。こうした取り組みが同業者へ口コミで広がった結果、10年で3倍以上の従業員の確保へとつながり、今では多様な社会ニーズに応えている。

木原社長は「当社は鶏卵を安定的に供給するための一翼を担っている自負とともに、多くのニーズに応えていかなければならない。卵の輸送を通じて社会や消費者の〝食〟に貢献したい」と強く話す。

北広島市にある本社外観
木原雅史社長
恵庭営業所は2019年に開設