ほっかいどうデータベース

立命館慶祥中学校・高等学校

生徒同士のさまざまな交流を通じて、人間的成長を促す

生徒に困難を与えて〝生きる力〟を身につけさせる

今年4月に民法が改正され、成人年齢が18歳に引き下げられた。成人前の最終教育機関として高等学校に求められるニーズが高まる中、「立命館慶祥中学校・高等学校」が改めて注目されている。

同校は26年前の開校当初から〝世界に通用する18歳〟の育成を目指してきた。海外研修の豊富さは道内でも群を抜く。狙いは生徒の〝生きる力〟を育むことだ。

江川順一校長は「例えば中学3年のニュージーランド研修では、『1家庭1生徒』がホームステイの基本。友達と一緒だと頼ってしまうからです。一人で困ることもあるでしょうが、研修を終えれば、乗り越えたという自信につながります」と説明する。

昨年はコロナ禍でも「研修をあきらめない」を合言葉に国内研修を実現させた。伝統産業を学ぶというテーマで京都を訪れた中学2年のスマートフォンを、現地到着と同時に没収。訪問予定の企業まで各自〝スマホレス〟で向かわせた。

「当校の教育方針は、手取り足取りではありません。当然、失敗することも多々あるでしょうが、あえて困難を与え、自分自身で乗り越えさせる。こうした成功体験を積み重ねることで人間的に大きく成長できます」と江川校長。

続けて「困難はストレスとも言えますが、社会に出れば多くのストレスにさらされますから、多感な時期に〝耐性〟をつける意味は大きい」と卒業後も見据える。

〝生きる力〟は、生徒同士の関わりの中でも育まれるという。例えば「ロシア・ウクライナ問題」など、世界で起こるさまざまな出来事について、生徒同士が意見を交わすディスカッションの場も多く設けている。こうした活動の中で、他者を受け入れ認めつつ、自分の思いをしっかりと相手に伝える術すべを身につけさせている。大学やその先の就職先、さらに文化や価値観、宗教が異なる世界で活躍するには〝受信・発信〟どちらのスキルも必要不可欠だからだ。

一方で同校は、先進的なカリキュラムで高水準の教育を実践する道内屈指の進学校としても広く知られる。江川校長は「進学実績は人間的教育の延長にある結果でしかありません。さまざまな成功体験によって生徒の自己肯定感を高め『自分ならできる』『頑張れば達成できる』というマインドに導くことで、何事にも意欲的になり、学力も上がります。〝やらされた勉強〟では意味がありません。社会に出ても主体性を持った人材は強い」と力を込める。

江川順一校長
今年度から海外研修を再開する予定