ほくうん

課題に対応。厳格な管理体制で成長する道内物流大手
道内物流業界は活況を呈している。ECサイト利用者の拡大や札幌市内と近郊の再開発、北海道新幹線工事に関わる資材輸送の増加が要因だ。
一方で人件費や燃料代、車両代が高騰。各社が対応に苦慮する中、確かなかじ取りで業績好調を維持しているのが1987年創業の「ほくうん」だ。
顧客は本州大手の通販や宅配、引っ越し会社、家具メーカーなど。農産物などの1次産品の輸送や杭などの重量物輸送も手掛ける。
10㌧トラックを中心に道内外で1000台を超える車両を保有し、北海道と本州間の長距離輸送で活躍。2024年度の売上高は過去最高となる145億円となった。本州資本が多い業界内で独自の地位を確立している。
同社を成長させてきたのが徹底した管理体制にある。例えば収益性を高めるため、車両1台ごとの損益計算が1日単位でできる仕組みを構築。翌朝に数字を把握できるようにした。
さらに、予備車など稼働がない車両の自動車保険は外すほか、燃料の仕入れ先を毎週見直すことで、支出を1円単位に至るまで徹底管理する。
一方で、荷主からの急な依頼に応えられるように常にトラックの増車は続けている。
森高義男社長は「新車は故障が少なく、稼働率が高い。減価償却が終われば売却して直ちに新しい車両を導入します」と説明する。新車はドライバーからも好評で、業界トップクラスの給与と合わせて人材採用にも一役買っている。
また、長距離フェリーも積極的に活用する。燃料代や通行料の節約、走行距離が抑えられ車両寿命の延命になるほか、乗船中はドライバーが休息できるメリットもある。
森高社長は「荷主には料金改定や積み卸し時間の短縮などを訴えてきた結果、2024年問題にも対応できました。現在はドライバー約700人と定期的に個別面談を実施し、プロドライバーとしての意識付けを図っています。お客様を裏切ることがあってはなりません」と話す。


