アスリートインタビュー

北海道コンサドーレ札幌

【砂川誠のコンサの深層】ジェイ選手

勝ちたい気持ちがチームを強くする

砂川 昨シーズン、ジェイが加入したことで、チームのレベルは確実に上がったよ。俺が13年間所属していた時期のコンサドーレというチームは、ほかの選手に対してこうしてほしい、という要求をしたり話し合ったりというのが得意なチームじゃなかった。でもジェイが入って、そこが変わったと思う。

ジェイ 僕が加入したばかりのころ、守備時にラインが下がり過ぎていることが結構あった。それで、ポジションを高くとって前から守備をしよう、とみんなに伝えたのがその最初かな。

ターニングポイントだと思うのは、アウェーのサンフレッチェ広島戦(9月30日・第28節)。前半が終わって0対0だったけど、ハーフタイムのロッカールームでは、みんなうなだれていて。「今日は負けるだろう」という雰囲気まで出していたから、何か言わなきゃいけないと思い「勝つチャンスはあるから、後半は頑張ろう」と話をした。それで後半、先に点を取られたけど都倉(賢)が決めて追いついた。自分とチームメートがお互いに信じられるようになって、チーム自体も強くなったと思えるようになったのは、その後からだと思う。

砂川 J1残留を決めた清水エスパルス戦(11月18日・第32節)は、ジェイが起点になって、どんどんほかの選手が前に出て行くような感じだった。開幕直後と比べたら別のチーム。選手が自信を持つと、こんなに変わるんだな、と。

ジェイ 僕は時々、自信持ち過ぎって言われるくらい自信を持っているほうの選手だと思う(笑)。練習でも、負けていたら結構悔しい気持ちを声に出してしまうこともあるくらい、負けるのが嫌い。でも勝ちたい気持ちって、選手をする上で必要な要素だから、僕と同じくらい「勝ちたい」気持ちをみんなが強く持ったら、さらに強くなれると思う。

砂川 勝ちたいという気持ちはまだ足りない?

ジェイ 僕は子どものころすごく貧乏で、1足の靴を1年間使い続けないといけなかった。使っていたサッカーボールもボロボロだったし。サッカー選手になるだけじゃなくて、そこで勝てたらお金が入るし負けたらもらえない、ということもあった。もちろん、文化の違いもあると思うけど、チームメートには、僕と同じくらい、勝ちたい気持ちを持ってほしい。

砂川 そういうメンタルを持つチームメートがいるってこと自体、すばらしいことだと思う。

ジェイ 今のプレーレベルをキープするのではなくて、さらにレベルアップしたいというメンタリティが必要。若い選手にはそういうことも伝えています。Jリーグで満足してはダメ。もっと上手くなって、ヨーロッパのビッグクラブに、ってね。

(構成・清水)

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Jay Bothroyd:1982年5月7日、イギリス・ロンドン生まれ。190センチ・89キロ。イングランドの名門・アーセナルの下部組織出身で、00年にコヴェントリー・シティでプロのキャリアをスタート。イングランド、イタリアを経て14年にタイでプレーし、15年にジュビロ磐田へ移籍し活躍。17年途中から北海道コンサドーレ札幌へ加入し、14試合で10ゴールをあげてJ1残留の立役者となった。背番号48、FW