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プライム

札幌市東区に構える社屋

基地局工事で道内トップシェア。通信インフラ整備で存在感

本業を軸に10年で持ち株会社を設立

 現代社会の発展において不可欠な存在である「電気」と「通信」。この2つの重要なファクターに関わる事業を手掛けているのが、2015年創業の「プライム」だ。

 會田史門社長は「人々の生活をより豊かに、明るく照らす手助けをするのが当社の使命です。目まぐるしく変化する情報社会において、時代の変化を察知して柔軟に対応し、その責任を果たしていく」と語る。

 事業領域は、「通信工事」「電気工事」「内装工事」「除排雪」の4つ。売上高の4割を占めるのが、携帯電話基地局設置工事や電柱の建て替え工事、Wi‐Fi新設・増設工事といった通信インフラを手掛ける通信工事業だ。特に携帯電話基地局設置工事実績は、道内では圧倒的なシェアを誇っている。

 現在は、茨城県潮来市(北関東営業所)と徳島県徳島市(四国営業所)にも拠点を整備。今後は大阪、福岡、名古屋、広島にも拠点を設ける計画だ。電気工事を主事業とするグループ企業の「山剛電気」を含め、グループの売上高は15億円超。9月には持ち株会社「プライムホールディングス」を設立し、業容の拡大を加速させている。

「創業10周年を機にホールディングス化できたことも含めて、自分が思い描いたように事業が拡大している状況です。直近の目標は売上高30億円の突破。全国展開が順調に進めば、3年後には達成すると想定しています」と會田社長。

 躍進の要因の一つは、一般建設業許可のほか、消防施設工事業、内装仕上げ工事業、とび・土工工事業、登録電気工事業者届など各種の許可を得ていることだ。中でも、電気工事業と電気通信工事業の双方で特定建設業許可を取得していることは特筆に値する。

 特定建設業許可を得るために、豊富な経験を持つ経営業務管理責任者を適切に配置しているほか、一級電気工事施工管理技士や建築整備士などの専任技術者が在籍している必要がある。同社は、道内企業として携帯電話基地局設置工事や通信工事を請け負える貴重な存在として、国内の主要携帯電話キャリアや大手通信設備工事会社などの元請業者から絶大な信頼を獲得。「一般建設業許可」では受注できない大規模工事の依頼も舞い込んでいる。

 會田社長は「国内大手通信ゼネコンから道外の現場のオファーが増えました。現状は道内が8割、道外が2割ですが、事業拡大には道外の強化が欠かせません」と展望を話す。

 ホールディングス化も全国展開に拍車をかけるための地盤固めだ。プライムを中核に、今後は住宅のフルリノベーション売買などを手掛ける内装工事部門や除雪部門、不動産売買と賃貸事業を手掛ける不動産部門の専門会社を設立して、傘下に収める構想を掲げている。

「通信、電気、内装、不動産、除雪の5社を持ち株会社の傘下に収め、5年後の2030年までに、電気工事事業の割合を通信事業と同等レベルまでに拡大していくのが理想です。シナジー効果を発揮させる事で、さらなる飛躍をしていきたい」と會田社長は将来の姿を思い描く。

社会貢献活動と同時に後継者育成にも注力 

 一方、サステナビリティ経営方針を策定し、体制を強化しているのも特徴だ。

 21年に「札幌市ワーク・ライフ・バランスplus企業」の認定を取得しているほか、情報セキュリティ対策に取り組む「セキュリティアクション(二つ星)」を宣言するなど、企業価値の向上と持続的経営の実現も進めている。

 また、社会貢献活動も幅広く展開している。カンボジアをはじめとした開発途上国に教育支援を行う公益財団法人CIESFへの支援を行っているほか、スポーツ分野では、東北での受注が多いことから「東北楽天ゴールデンイーグルス」のオフィシャルスポンサーにもなっている。

 一方で、後継者を育てていくのも會田社長の使命だという。

「私は、地方から札幌に出てきて夢を叶えつつある。若者の中には、同じような夢を抱いている人達がいるはずなので、彼らに経営者としての知識と能力を伝えていきたい。プライムをそうした夢を持った若者が集まる場所、夢を叶えられる場所にしていく。それがグループ全体の発展につながるのはもちろん、ひいては道民の生活をより豊かに明るく照らすことに直結するはずです」と會田社長。

エントランスや外観にはサイネージも設置し常に自社の情報を発信している
會田史門社長
基地局工事では道内トップシェアを誇るなど確固たる地位を築く
外業もしっかり丁寧な内業で信頼を獲得