オール

実質利回りに差。〝競わない〟物件で家賃の値下げはゼロ
札幌で唯一、賃貸物件の企画・開発から施工、完成後の管理、賃貸仲介店によるリーシングまで対応する「オール」。札幌市内を中心に年間13~22棟の賃貸マンションをコンスタントに供給してきた。
建築費の高騰で、単身、ファミリータイプともに居室の縮小化が進む中、同社では〝広い物件〟を企画。単身は40平方㍍を、2LDKのファミリータイプなら55平方㍍を基準にしている。これは他社の1・4~1・5倍ほどの広さだ。
それでいて利回りも新築賃貸マンションの相場である6%前半を確保する。自社施工によるコストの圧縮がこの数字を実現している。
吉仲潤一専務は「6%の表面利回りも大事ですが、最も重要なのは実質利回りです。40平方㍍を超える1LDKはライバル物件が少ないため、家賃のダンピングもなく、ネットの検索にも埋もれません。狭い1DKの値崩れは顕著で、20年前の物件は20%ほど下がっているというデータもあります」と優位性を説明する。
2006年創業の同社では、創業当初の企画物件がまもなく築20年を迎えようとしているが、今日まで全企画物件で家賃の値下げは一戸もない(25年8月末)。むしろ、近年発生した空室は募集家賃をアップして入居者を確保。顧客オーナーに新築時を超える利回りをもたらしている。
こうした快進撃の一方、同社では冷静かつ客観的に賃貸市況を分析している。
「現在、家賃相場は上がっていますが、人口減少は続き、あるタイミングで〝入居者争奪戦〟が始まると予想しています。最も影響を受けるのが、競合物件が多い〝狭い単身物件〟であり、競争の激化で家賃の値崩れを起こすはずです。競争に巻き込まれず、収益力が衰えない物件をつくっていきたい」と吉仲専務。真のオーナー目線のプランニングで信頼を獲得。個人オーナーに加え、不動産投資会社や資産管理会社、一般企業など幅広い顧客を持つ。建築費の高騰による販売価格の上昇から、道外へ販路拡大を図る同業者が多い中、同社は道内の顧客を拡大している。
「当社の企画の強みは『競わない』『空室期間が短い』、『家賃が下がらない』ことです。戸数が稼げないというデメリットはありますが、ご理解いただくオーナー様が着実に増えてきました。当社に寄せられる期待に応えたい」と吉仲専務。


