新札幌乳業

独自ブランドが全国で人気。地域に貢献する乳業メーカー
73年の歴史を誇る独立系乳業メーカーの「新札幌乳業」。全国的に乳製品市場が縮小する中、2025年3月期決算では売上高108億円を計上。4年連続で増収を記録するなど、業績は右肩上がりを続ける。
要因は牛乳やチーズ、ヨーグルト、バターなどを高付加価値の独自商品としてブランド化していることだ。
主力商品の牛乳「小林牧場物語」は、近郊の小林牧場(江別市)から毎日届けられる新鮮な生乳を100%使用。牛乳本来の豊かな風味を損なわず、味にこだわった商品だ。
小林牧場物語シリーズには牛乳のほか、チーズとヨーグルトをラインナップ。チーズはカマンベール、ブルー、ゴーダのほか、ラクレット、モッツァレラ、脱脂乳を原料としたカッテージなど種類が豊富だ。近年は、その場で手軽に食べられる「ちょこっとシリーズ」も人気を集めている。
道内の特産品とのコラボにも積極的で「JAひだか東」のイチゴ「すずあかね」を使用した飲むヨーグルトや道産ハスカップを使ったヨーグルトを製造。来年4月には、すずあかねの後継品種「すずりっか」を用いたヨーグルトの新商品も販売予定だ。
また、近年は大容量ヨーグルトの販売量が増えた事を受け、5月に製造ラインを増設。生産量を従来の1・8倍に引き上げて需要に応えている。
「北海道ブランドの価値の高さを感じています。関東圏の伸びが顕著なほか、九州地方からの出荷依頼も多い。増産分は全国に供給していきます」と竹内久夫社長は語る。
一方、 6月に加工用乳価、8月から飲用乳価が引き上げられ乳業メーカーにとっては、苦しい状況となる。
「牛乳は生活に密接に関わるため、値上げは厳しい。当社の得意分野ともいえるチーズ部門を中心に付加価値を付けていき、販売量をカバーしたい」と竹内社長。
同社は道央圏の乳業メーカーで唯一、チーズの製造工場を所有。約30年にわたり製造してきた技術を生かし、市場ニーズを捉えた新商品の製造を目指していく。
一方で、地域の活性化にも注力している。新さっぽろサンピアザ内「光の広場」へのイベント出展、バター作り体験会の開催など、地域や市民との接点づくりを欠かさない。
「価値ある商品を提供することはもちろん、地元への地域貢献や発展に努めることも当社の使命です」と竹内社長。

