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日本工営 札幌支店

7月26日に実施予定の「十勝岳チャレンジ2025」のポスター

多様な技術を応用。最適なコンサルティングで地域課題を解決

 建設コンサルタントの国内最大手として業界をリードする「日本工営」。〝世界をすみよくする〟をミッションに掲げ、道路や鉄道、ダムなど幅広いインフラ整備を行う。災害復旧や防災事業も手掛け、DXを活用した災害レジリエンスも強化する。

 その一例として、2014年に発生した御嶽山噴火での登山者の遭難をきっかけに、同社が中心となり一般社団法人「富士山チャレンジプラットフォーム」を立ち上げ、登山者の動態把握や避難行動の最適化を目指すプロジェクトを開始した。富士山や御嶽山などで行政や地域団体をはじめ、防災や環境保全分野に詳しい大学や研究機関と連携。登山者の行動を把握する実証実験を行ってきた。

 実証実験では、登山者の位置データをリアルタイムに取得・分析することで混雑情報を発信。〝はぐれ防止〟といった遭難の予防にも寄与することが証明された。

 今年7月26日には国立研究開発法人「防災科学技術研究所」と「十勝岳ジオパーク推進協議会」による「十勝岳チャレンジ2025」が開催されるが、同社が登山者の避難行動モニタリング調査の技術的なサポートを担う。地元住民やジオガイドなど約50人の協力を得ながら、参加者一人ひとりの行動履歴を可視化できるGPSアプリを活用してデータを蓄積し、今後の避難誘導や救助活動などに役立てていく考えだ。

 これらは近年社会的な課題となっているオーバーツーリズム対策にも寄与できる技術として期待されている。

 一方、企業体制としても大きな変化があり、同社の持ち株会社である「ID&Eホールディングス」が今年2月に「東京海上グループ」に加わり、新たなスタートを切った。

 7月に就任した岩佐卓実札幌支店長は「保険と工学技術の融合による新たなサービスの提供を目指しています。当社の強みである公共事業で培った技術を民間市場へと広げていきたい」と語る。

 

実証実験で登山者がシェルターに避難する様子
岩佐卓実支店長