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札幌心臓血管クリニック

初診から治療まで〝待たせない〟迅速な診療を実践している「札幌心臓血管クリニック・本院」

豊平区への分院開設で医療ネットワークを拡大

低侵襲手術で患者の負担を軽減

 医療法人札幌ハートセンター「札幌心臓血管クリニック」は、循環器内科医として心臓カテーテル治療に携わってきた藤田勉理事長が08年に開院。4人の医師と50人の職員、19床からスタートし、現在は医師36人、職員450人、104床と規模を拡大している。

 さまざまな心臓疾患に対応する24時間救急救命体制の循環器専門病院として、循環器内科、心臓血管外科、麻酔科が密に連携。藤田理事長が旗手となり、コメディカルスタッフとともにチーム医療を実践している。

 開院以来、力を入れているのが患者負担の少ない低侵襲治療だ。循環器治療においては、虚血性心疾患のカテーテル治療であるPCI(経皮的冠動脈形成術)を積極的に行ってきた。22年は2208症例を数え、23年は11月時点で前年を超えるなど、実績を積み重ねている。

 さらに、同院ではロボットを活用した治療も推進。患者負担が少なく、より正確な治療を提供している。

 心臓血管外科手術においては、20年から手術支援ロボットを導入している。3Dカメラで患部を立体的に映し出し、4本のロボットアームを駆使して遠隔で操作する手術法で、人の手を超えた可動域による繊細な手術を実現。従来の外科手術に比べ、切開の傷が小さく済むのが特徴だ。入院期間は1週間程度で、患者の早期の社会復帰につなげている。

 また、〝患者さんに負担をかけない、断らない〟をモットーに掲げる同院は、23年4月から救急救命士を6人採用。夜間の救急受け入れ体制も拡充した。

「かかりつけ医に断られて、〝たらい回し〟にされるケースは少なくありませんが、当院は決して断りません。1人でも多くの患者を救う事が我々の使命です」と藤田理事長。

 24年1月には、3台目のCTも導入予定で、初診から治療まで〝待たせない〟迅速な診療体制の強化を図る。

新たな分院も開設し、地域医療に貢献

 札幌市東区にある本院からドクターを派遣し、道内43カ所でサテライト外来を実施している。また、遠方の患者や移動手段がない患者の負担軽減を図り、送迎車40台、専属ドライバー24人が道内全域で無料送迎を行っている。地域医療の拡充に注力する背景には、藤田理事長の「循環器医療の過疎化をなくし、治療における地域格差をなくしたい」との思いがある。

 また22年7月には、札幌市厚別区に同院初の分院「新札幌心臓血管クリニック」を開院。24年5月には、札幌市内2カ所目となる分院も開設予定で、場所は札幌市豊平区役所前の環状通り沿いだ。

「新さっぽろエリアに分院を開設して1年経ったが、改めて郊外の医療ニーズの高さを実感した。豊平区の分院開設によって、札幌市内の大部分をカバーできる。今後も医療ネットワークを広げ、地域医療に貢献したい」と藤田理事長。

 さらに、地下鉄東豊線「栄町駅」から徒歩5分圏内に用地を購入しており、5年後をめどに、本院の新築移転も計画している。

「現在、本院の1日の外来患者は200人、1日の入院患者は約20人にのぼり、各サテライトから週に4、5人ほど本院に重症患者が送られてきます。より快適な治療環境を提供したいという思いから移転を決めました」と藤田理事長。

手術支援ロボットを用いた遠隔操作による手術を実施
TVコメンテーターとしても活躍する藤田勉理事長・院長
6室のカテーテル治療室を完備、毎年2000件以上の冠動脈カテーテル治療を実践している
22年7月に開院した「新札幌心臓血管クリニック」
新たに導入するフィリップス社製の「スペクトラルCT」