アスリートインタビュー

北海道コンサドーレ札幌

【砂川誠のコンサの深層】アカデミーフィジカルコーチ・横山知伸氏を直撃!!

アカデミーにプロの経験を生かす

©財界さっぽろ

 砂川 ヨコさんは大きな病気(2018年12月に脳腫瘍で手術)のあと、リハビリが順調に進み、一度選手として復帰した後、19年オフに引退。20年からコンサでコーチとして帰ってきてくれた。もともとコーチは興味があったの?

 横山 もともとは、サッカーから離れて全然違う仕事をしてみたいという気持ちがあって。指導者の自分は実は想像していなかったんです。

 砂川 三上(大勝・代表取締役GM)さんに誘ってもらった。

 横山 はい、お世話になった方々に引退の挨拶回りをしていて、三上さんにお会いした時に。

 砂川 フィジカルコーチとして今年で3年目。楽しくなってきた?

 横山 この2年やってみた限りでは、選手の成長や変化の度合いが見られるんで、楽しいですよ。慣れてもきましたし。ちゃんと仕事ができているかは自分ではわかりませんけど。

 砂川 今年から基本的にUー18を担当。

 横山 はい。時間があればU-15の子を見ることもあります。主にスクワットとかベンチプレスといった筋力トレーニングのメニューを考えています。

 砂川 U-18だともう体も出来上がってきているよね。

 横山 ケガのケアとかはトレーナーさんが見ているので、鍛えるほうが中心ですね。

 砂川 鍛えて、追い込んでいる。

 横山 追い込めているかはわからないですが(笑)

 砂川 ヨコさんはやさしく追い込むスタイルだから。

 横山 (笑)。そんなに負荷はかけていないです。練習は1日90分くらいで、平日は夜9時までですし。

 砂川 その分、選手ごとの自主練習のメニューをつくるなど、選手たちを細かくサポートしている。

 横山 そうですね。そこに力を入れていく方針ですから。

 砂川 プロ経験の長い選手がフィジカルコーチをする例はあまり聞かないけど、現役経験のメリットは選手にもコーチ自身にもたくさんあると思う。

 横山 在籍していた早稲田大学スポーツ科学部で学んだ分野でもあるので、ほかの引退選手との差別化も考えてフィジカルコーチを選びました。

 コンサでコーチとしてやってみて1つ思うのは、自分の高校や大学時代を思い返すと、これは自分に必要だと思ったことは、誰かに言われるまでもなく自分自身で取り入れてやってきていた、ということ。

 コンサのアカデミーは細かくメニューを決めて指導することが多いので、こちらがヒントを与えた上で、選手が一人ひとり自分で考えてやる、自主性を養う指導も取り入れる必要があると思います。

 自分で考えて何かをする、というだけなく「コーチに何をするか相談する」という行動自体も、自主性を養うもの。それがスタートの前提にないと、成長の過程でつまづく可能性もある。

 砂川 プロだったからこそ、自主性が重要だと伝えられる。もちろん、ヒントを教える必要はあるけど。

 横山 ヒントの出し方については、僕らコーチの側も努力していかないといけない。ヒントを出し過ぎると、それがもらえなくなった場面での成長ができない、ということもあります。

 砂川 アカデミーにプロの経験をもっと生かしていけるよう、知恵を出し合っていきたいね。

©財界さっぽろ

……この続きは本誌財界さっぽろ2022年5月号でお楽しみください。


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(よこやま・とものぶ)1985年3月18日、東京都生まれ。帝京高校から早稲田大学スポーツ科学部へ進学。2008年から川崎フロンターレへ加入しセレッソ大阪、大宮アルティージャを経て17年シーズンから北海道コンサドーレ札幌へ。18年に完全移籍を果たすが出場機会を求めてシーズン中にロアッソ熊本へ移籍。その年の末に脳腫瘍と診断され、摘出手術を経て翌19年9月にFC岐阜で選手として復帰。20年2月で現役引退。4月からコンサのアカデミーフィジカルコーチに就任した。