【今月号特選記事】覇権アプリ「ウマ娘」ユーザーが聖地・日高に殺到!?

 競走馬を美少女に擬人化したゲームとして一大ブームとなっている「ウマ娘 プリティーダービー」。その人気とともに、同ゲームに登場するキャラクターのモデルになった、実在のサラブレッドにまつわる“聖地巡礼”も広まっている。

「ウマ娘」はインターネット広告大手「サイバーエージェント」(本社・東京都渋谷区、藤田晋社長)のグループ会社「Cygames(サイゲームス)」が提供するスマートフォン向けゲームアプリだ。

 オグリキャップやトウカイテイオーなど、往年の名馬を“美少女”化。プレーヤーはウマ娘を育成する「トレーナー」として彼女たちを鍛え上げ、レースでの勝利を目指す。各キャラクターの容姿やエピソードは、モデルとなったサラブレッドの実話をベースとしている。

 テレビアニメや漫画化などの先行展開を経て、2021年2月に満を持してアプリの配信が始まると、わずか3カ月で600万ダウンロードを突破。ユーザーの課金額は毎月100億円以上という“覇権ゲーム”として、従来の競馬ファン以外の層を巻き込んで人気が沸騰中だ。

 その勢いは“リアル”にも波及。重賞4勝の成績以上に名脇役として活躍したナイスネイチャについて、認定NPO法人「引退馬協会」が毎年行っている「バースデー・ドネーション(寄付金)」募集は今年、目標額300万円に対してその18倍となる約3600万円もの寄付を集めた。今年33歳の同馬もウマ娘に登場するキャラクターで、現役時代の活躍を知らない世代への浸透度合いが伺える。

 さらに、7月12日、13日に苫小牧市の「ノーザンホースパーク」で開催された当歳・1歳馬の競り市「セレクトセール」でも「ウマ娘」が猛威を振るった。サイバーエージェント社長の藤田氏が競りに初参戦。1歳馬12頭を計15億4100万円で落札。ゲームアプリに多額の課金をするユーザーは「重課金」「廃課金」などと呼ばれるが、藤田氏が「ウマ娘の利益で廃課金している」とウマ娘ユーザーの間では話題になった。

 また藤田氏は今年5月に行われた「千葉サラブレッドセール」で、ディープインパクト産駒の2歳牡馬を4億7000万円で落札。今回のセールでもエピファネイア産駒の1歳牡馬を2億円で落札した。

 前者は「金子真人ホールディングス」の、後者は「キャロットクラブ」の所有馬する産駒で、ともに説明不要の名馬だがウマ娘には登場しない。三冠馬オルフェーヴルやブエナビスタ、ジェンティルドンナといった馬を所有してきた「サンデーレーシング」を始め、日本最大の競走馬生産グループ「社台グループ」系のクラブ法人所有馬も未参戦だ。

 登場しない理由としては、各法人・個人から名称等の使用許諾が得られないから、と見られているが、今回の爆買いが藤田氏による「未登場馬の許諾を得るための“コネ”づくりでは」と、穿った見方をする向きもある。

 ともあれ、競馬人気の押し上げに一役買っているウマ娘だが、登場馬ゆかりの地を巡る「聖地巡礼」についても、ユーザーの間でブームになっているようだ。

1993年の日本ダービーに出走したウイニングチケット(左)とビワハヤヒデ ©財界さっぽろ

 1993年の日本ダービーを制したウイニングチケットが繋養されている、浦河町の観光牧場「優駿ビレッジAERU」の担当者はこう話す。

「問い合わせの電話は明らかに増えています。登場キャラクターのモチーフになった競走馬はすでに亡くなってるものが多いですが、ウイニングチケットはいまだに元気で見学可能ということが来場者増加の理由でしょう。当施設を訪れた人に話を聞くと『いままで競馬に興味はなかったけど、ウマ娘がきっかけで来ました』という方や『本物のウイニングチケットを見たくて』という人がたくさんいます」

 そこで本日からデジタル版が配信、あす15日からは雑誌版が発売となる月刊財界さっぽろ8月号では、ウマ娘に登場する引退馬の見学や鬼籍に入った馬の墓参に役立つ必見ガイド、ウマ娘から入った新規競馬ファン向けの見学マナーを紹介している。

 なお、繁殖牝馬として現役の馬や新型コロナウイルスの感染防止対策などから、見学できる期間や時期が限られている馬も多いため、本誌でも紹介している通り、以下の情報サイトをまず参照のこと。

◎競走馬のふるさと案内所

 本誌8月号のお買い求めは以下のリンクからどうぞ。

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※2021/7/15 11:24 セレクトセールの記述「1歳・2歳馬」から→「当歳・1歳馬」へ訂正