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2022年

鈴木直道北海道知事「コロナ対策の“守り”を固め、“攻め”の道政を推進

鈴木直道 北海道知事

 新型コロナウイルスの感染が落ち着く中、道はさまざまな経済立て直し策を打ち出している。2022年度は、鈴木直道知事の1期目最終年度となる。総仕上げとしてどのような思いで臨むのか。(2021年11月29日取材)

地域の魅力に触れ、消費喚起に繋げる

 ――2021年も新型コロナウイルス対策が中心となった1年でした。道内の感染状況を含めて、現状をどう分析していますか。

 鈴木  新しいコロナの変異株「オミクロン株」が出てきました。WHO(世界保健機関)が11月26日に懸念される変異株として指定しました。

 昨晩(11月28日)、国からも通知がきました。オミクロン株の監視体制を国内で強化しましょうというものです。

 オミクロン株が確認される前から、ゲノム解析を道立衛生研究所でおこなっています。今日からオミクロン株の早期探知・早期介入に力を入れていきます。

 ――報道ベースで、オミクロン株の感染力はデルタ株より高いのではないか、と指摘されています。

 鈴木  まだ不明な点が多いものの、基本的な感染防止行動が重要であることは、これまでと変わりませんので、今一度徹底をお願いします。

 ――変異株への対策と同時に道内経済の立て直しも急がれます。道庁としての取り組みを教えてください。

 鈴木  まず、足元の対策です。事業継続に対する伴走型の経営相談や資金繰り支援の相談をおこなっています。

 観光関連産業をはじめとする皆さんや公共交通事業者の方々、飲食店を支援していきます。「GoTo Eat北海道キャンペーン」は当初、年内までの予定でしたが、1月末まで延長することになりました。

 あわせて、「ぐるっと北海道」と名付けた公共交通の利用促進キャンペーンも実施し、道内の鉄道、バス、タクシー、フェリー、航空の交通事業者が発行する乗り放題乗車券やクーポン券等について、利用者が購入する際の費用の一部を道が負担しています。

 また、12月からは「どうみん割」が始まります。これは旅行への支援。新しいどうみん割では、最大5000円の旅行割引きに加えて、2000円分のクーポンがつきます。

 クーポンは土産店や、その地域のサービスに利用できます。ぜひ、感染対策を講じた上で、ご活用いただきたい。

 あわせて今回、コロナ対策の国の補正予算が閣議決定されました。そうした対策とも連動していきます。

 まずはマイクロツーリズムという観点から、道民のみなさんが、地域の魅力に触れて、地域での消費喚起に協力をいただきながら、経済を段階的に再開していきます。

 どうみん割は北海道の方が対象になります。これまで外出を控えたり、いろいろな形でご協力いただきました。これからは、感染対策をしながら道内旅行を楽しんでいただき、影響を受けている方々を応援してほしいです。

 ――1次産業への支援策として、「今こそ食べよう!北海道」を掲げました。

 鈴木  こういう時だからこそ、道産食品を食べて生産者を応援したいという思いからです。

 この考えにご賛同いただいた道内の百貨店やスーパー、飲食店とともに、道産食品をPRする「今こそ食べよう!北海道フェア」を実施しています。

 年末はお歳暮の時期です。北海道の逸品を贈っていただいたり、飲食店でも道産のお酒など、北海道のものを選んでいただきたいです。年明けの2月まで集中的に取り組んでいきます。

©財界さっぽろ

観光関連産業の将来の需要を確保

 ――「ふるさと納税」の返礼品として、道内旅行用のクーポンを導入します。

 鈴木  ふるさと納税は、北海道にとって大きな可能性を秘めていると思います。北海道(市町村を含む)における個人、企業版のふるさと納税額は日本一です。今回、道外在住者が道内旅行で使用できるクーポンを返礼品に加えました。

 クーポンは寄付5万円で1万5000円分、10万円で3万円分、50万円で15万円分、100万円で30万円分となっており、2年間有効で、道内に宿泊する旅行に利用できますので、観光関連産業の将来的な需要の確保にもつながります。

 ふるさと納税を申し込むのは、仕事納めの後の年末が多いと聞いています。たとえば、年1回、必ず北海道を訪れるという方などはぜひ、ふるさと納税をして、クーポンを選んでいただきたい。

 ふるさと納税で集まったお金は、道として地域に還元して応援していきます。

 ――北海道太平洋沿岸で発生した赤潮で、甚大な被害がでています。今後、どのように対策を進めていきますか。

 鈴木  補正予算が閣議決定され、国の方から赤潮被害への対策が示されました。道としては緊急的な対応として、原因究明の調査をしなければならない。中長期的な課題としては、漁業者のみなさんの経営再建に向けた支援をおこなっていきます。

 とくにウニの被害が深刻です。これは1年で回復するわけではなく、4年程度かかるとされています。単年度では難しいので、引き続き国に支援を求めていく必要があります。

©財界さっぽろ

コロナ禍で生まれた挑戦すべきこと

 ――鈴木知事は19年に就任されました。22年度は1期目任期の最終年度になります。最後にこれまでを振り返った上で、抱負をお聞かせください。

 鈴木  昨年1月28日に中国・武漢の道内旅行者のコロナ陽性が確認されて以降、1年半以上にわたりコロナ対策に取り組んできました。来年もまずはコロナ対策という“守り”をしっかり固めていきます。

 一方で、コロナ禍にあっても、国内外で本道への関心が高まる出来事がありました。昨年はウポポイのオープン、本年は「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産への登録や、東京オリンピックの札幌開催がありました。

 また、バーチャルという形式での開催ながら、アジアで初となったアドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)では、欧米を中心とした参加者の皆さんから直接北海道に触れたいとの声が高まり、23年のリアル開催内定につながりました。

 来年はこうした本道の価値をさらに磨き上げ、生かしていきたいと思います。

 私が知事選で皆さんにお約束した公約は現在すべて着手していますが、コロナの影響を受けていないかと言えば、決してそうではありません。

 形を変えて実施したものがあるほか、コロナ禍による人々の行動変容や考え方の変化を契機として、当時想定していなかった新たな可能性や挑戦が生まれています。

 ポストコロナを見据えて、こうした変化をプラスに変えながら、デジタルトランスフォーメーションやゼロカーボン北海道など、“攻め”の政策もしっかり進めていきます。


……この続きは本誌財界さっぽろ2022年1月号でお楽しみください。
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