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2021年

「道民とともにポストコロナ時代を切り拓いていく」鈴木直道北海道知事の“決意”

鈴木直道 北海道知事

 各地域で新型コロナウイルス感染拡大防止の指揮を執る知事の存在感が高まっている。その中でも注目を集めているのが、全国に先駆けて独自の緊急事態宣言を発出した鈴木直道知事だ。見えない敵と戦った2020年を振り返る。(2020年11月27日取材)

©財界さっぽろ

道民の協力が感染拡大防止に

 ――2020年はどんな年でしたか。

 鈴木 現下の新型コロナウイルスの感染状況は本当に予断を許しません。

 1月28日に初めての感染を確認してからまもなく1年がたちます。20年はまさに、道民のみなさまと全力で新型コロナウイルスとの戦いに取り組んできた1年と言えます。

 最初は中国の話だと思っていた人も多かったのではないでしょうか。それがいまや全世界共通の課題となりました。特に北海道は世界的にも早い段階で感染が拡大しました。そうした意味でも、厳しい対応が迫られた1年でした。

 ――道民の協力を得ながら、具体的にどのような取り組みを進めてきましたか。

 鈴木 夏の7、8、9月は北海道に最も多くの観光客が訪れる時期ですが、20年においても、多くの観光客に訪れていただきながら、夏は一定程度、感染を抑えながら過ごすことができたと思っています。

 10月下旬以降、札幌市を中心に感染が拡大し、医療機関における集団感染等により、医療提供体制のひっ迫の度合いが増加する中、相談窓口や発熱患者の診療体制を強化しました。また感染が拡大している地域における必要な病床の確保や、宿泊料用施設の開設などにも取り組んできました。

 こうした中、札幌市民のみなさまを始め、道民、事業者のみなさまには、外出や往来の自粛、また、休業や営業時間の短縮などにより、大きな負担をおかけすることになりました。みなさまの多大なるご協力に心から感謝申し上げます。

 ――これからどのように対応していきますか。

 鈴木 冬になり寒くなってきてから感染が増えてきています。北海道だけではなく、東京や大阪、愛知でも増加しています。

 再び厳しい戦いを強いられているわけですが、私としては引き続き、強い危機感を持って、現下の感染拡大を抑え込むことに全力を注いでいきます。

 道民のみなさまには改めて、感染リスクの回避の徹底にぜひご協力をお願いします。

 ――新型コロナ対策を発信する上で意識していることはありますか。

 鈴木 どうすればみなさまにメッセージやお願いがしっかりと伝わるかを考えながら、これまで対策を講じてきました。

 いまもお互いにマスクをしてインタビューをしていますが、そのマスクひとつとっても、当初はWHOがその有効性が認められないという話をしていました。

 私もいろいろな取材でマスクをするのは風評被害につながるということで、むしろ知事は率先して外すべきだという指摘を受けたこともあります。

 しかし、比較的症状が軽い人でも感染する可能性があるということも、当時から言われていました。

 私はやはり、道民のみなさまには感染防止策を徹底してほしいという思いで、マスクをして取材などに対応しました。これはあくまで一例ですが、多くの不安や、どうすればいいのかわからないという疑問があふれている状況なので、これからもさまざまな形でわかりやすく情報を発信していきたいと考えています。

 ――感染対策に追われる中でも、北方領土四島の元島民が上空から慰霊する事業がおこなわれました。どのような思いでこの事業を決行しましたか。

 鈴木 感染拡大の影響で、毎年おこなわれてきたビザなし交流や北方墓参などの交流事業はすべて中止となりました。

 以前から平均年齢が85歳を超えている元島民のみなさまは「毎年、今年でもう最後になるかもしれないという思いで、交流事業に参加している」と話されていた。にもかかわらず、コロナ禍ですべての交流事業の実施がかなわなくなってしまった。

 こうした状況を鑑みたときに、やはり道としても北方四島の先祖のみなさまを慰霊することは非常に重要なことだと考え、新たな事業として上空慰霊をおこなうことを決めました。

 当初は道単独の事業として実施する予定でしたが、国にもこの思いに応えていただき、内閣府の協力を得て、最終的に千島歯舞諸島居住者連盟と共催でできたことは大変よかったと考えています。

 ただあくまでこれは暫定的な措置です。コロナ禍でもなんとか訪問できるようにしたいと思っています。

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条例の順守をこれからも求めていく

 ――後志管内の寿都町と神恵内村で原子力発電環境整備機構(NUMO)による、高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のゴミの最終処分場選定に向けた文献調査が始まりました。知事はこれをどう見ていますか。

 鈴木 道は宗谷管内幌延町で深地層研究が始まる際、これが最終処分場になるのではないかという不安や懸念の声が道民から上がったことから、2000年に「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」を制定しました。

 寿都町や神恵内村にも条例の趣旨を説明し、この問題については、慎重に対応していただきたいということをお願いしてきました。

 ただ結果として、NUMOの事業計画の変更が経済産業大臣に認可され、両町村における文献調査が始められることになりました。

 最終処分法にはそれぞれの調査段階ごとの手続きが明記されています。文献調査については知事が意見を発する機会はありませんでした。

 しかし概要調査に移行するときは、現時点で反対であるということを述べていきたいと思っています。

 条例を順守していただきたいという考えはこれまでも伝えてきましたし、これからも変わらないので、さまざまなレベルで両町村と対話を重ねていきたいと考えています。

 両町村のみならず、周辺の市町村の住民のみなさまからも、丁寧な説明を求める声があります。非常に短い期間の中で議論が進み、情報も限られていました。今後はそうした声にもしっかりと応えていただきたいと思っています。

 また道側としても、なぜ現時点で反対意見を述べるのか、その理由をみなさまにしっかりと伝えていかなければならないと認識しています。条例の趣旨などをさまざまな場面で、私自身も情報発信をしていきます。

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リーダーに必要な決断の積み重ね

 ――21年はどんな年にしていきたいですか。

 鈴木 延期になりました東京オリンピックのマラソンや競歩、サッカーが札幌でおこなわれます。

 さらにアドベンチャートラベル・ワールドサミットもアジアで初めて、ここ北海道で開催されます。

 これらに加えて期待ふくらむ縄文遺跡群の世界文化遺産登録など、ある意味いままで北海道が積み重ねてきた魅力を大いに発信できるタイミングでもあると考えています。

 また、以前から大都市の一極集中是正が叫ばれる中、コロナ禍によって都市部におけるリスクを感じている人も多いと思います。

 そうした人たちにも、日本の国土の22%を占め、社会的距離も取りやすい地域の魅力をしっかりと伝え、より一層、北海道の価値を高めていきたいです。

 国が取り組んでいるデジタル化や、CO2の実質排出ゼロを目指す場面でも、北海道が果たす役割は大きいと認識しています。

 いずれにしても、ウィズコロナの中での取り組みを進めつつ、ポストコロナ時代を切り拓いていかなければなりません。

 ――危機に立ち向かう中で、リーダーには何が必要だと感じましたか。

 鈴木 しっかりとした決断の積み重ねです。当たり前のことかもしれませんが、知事という立場は決断をするのが仕事です。日常的にさまざまな物事を決めることが多い仕事であり、感染症対策についても、最終的には各都道府県知事が決定しています。

 北海道はわが国の中で最も長く、コロナとの戦いを続けている地域です。これからも議会とも連携をしながら、責任ある決断を積み重ねていきたいと思っています。

 21年は道民のみなさまとともに、感染拡大の防止と社会経済活動の両立に向け全力を尽くしながら、ポストコロナを見据えて力強く歩んでいきたいと考えています。


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