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三浦興産

現場では若手からベテランまで活躍。和気あいあいとした雰囲気

日高で林業を手掛け、森林の循環を次世代へつなぐ

 日高山脈の麓に位置し、豊かな森林資源を持つ新ひだか町を拠点とする「三浦興産」。新冠町から浦河町までの日高管内全域で林業を行う。

 木を伐採し木材として出荷できる状態にする「造材」と、植林や育成、管理を行う「造林」の双方を手掛ける。1954年に国有林の造林業で創業、その後造材にも事業を拡大。4代目の三浦昌安社長が入社後に国有林の素材生産事業も開始し、現在の主力事業となっている。このほか、民有林や自社で所有する森林の整備も行う。

 他の地域に比べて急傾斜地が多く、通常使用する林業用機械が使用できず手作業が必要となる現場も少なくない。こうしてみがいた技術力と、木材の輸送まで自社で行う機動力が強みだ。

 一方、94年に産業廃棄物収集運搬と処理施設の許可を取得。近隣の建設会社や農家、個人を顧客に廃棄物の回収と中間処理を行う。また、住宅や公共施設の解体、新ひだか町内での公共土木工事など幅広い事業を展開。産業廃棄物運搬で集まったコンクリートを再利用し、4年前からは再生骨材の生産と販売も開始した。

 主事業の造材で切り出した木材は建築資材や紙、木製パレット、コンクリート型枠用合板などの原料や、木質バイオマス発電の燃料となる。

 造林では、木を切った後に地面を整える「地拵」、その後苗木を植える「植付」、さらには成長を妨げる雑草や不要な枝を取り除く「下刈」や「つる切」などの成長管理で次代の森林を育てる。造材業に比べて参画企業は少ないという。

 森林の整備は木材生産だけでなく、土砂崩れなどの災害防止や生態系の維持にもつながる。日高地域は漁業が盛んだが、森林を守ることで海に流れ込む川の水質を維持し、豊かな海洋資源を支えている。

 三浦社長は「森は人の手をかけなければ朽ちてさまざまな機能を失ってしまいます。私たちのような林業業者が手入れを重ね、最適なタイミングで質の高い材に加工し、そして造林で次の世代へつなぐことが森林資源の活用や持続につながります。数十年単位の長い期間で生きた自然を相手にする仕事。機械化が進んでも、必ず人の手が必要です。先代が築いたものを次の世代につないでいきたい」と話す。

 同社では北海道庁の林業体験受け入れ係としても登録しており、業界の情報を発信している。 

伐り出した丸太を積み上げて保管する造材の最終工程
三浦昌安社長
切った木を丸太にする作業
新ひだか町三石にある本社