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旭友興林

重機による運搬作業の様子

自社一貫体制で森林整備を担い循環型林業に取り組む

「旭友興林」は、道北で国有林の伐採を中心に、造材、植林・保育、林道・治山工事まで、森林整備の全工程を自社一貫で手掛ける実力企業だ。

 佐藤稔社長は「森林には、国土の保全や水源のかん養、地球温暖化の防止、生物多様性の維持など多面的な機能があります。いま改めて、その重要性が見直されています」と話す。

 主力は、売り上げの5割を占める素材生産事業だ。立木を伐採し丸太に加工したうえで、決められた場所へ運搬・集積する。年間の伐採量は約2万立方㍍に及ぶ。木材の販売は林野庁による入札で行われるため、同社はその前段階をすべて担う。受注の9割以上が官公庁案件で、留萌や深川、幌加内などが主な生産現場だ。北海道では現在、戦後の復興期に植林されたトドマツやカラマツが伐採期を迎えており、国産材の需要と供給はともに拡大傾向にある。

「北海道の森林の約70%は天然林ですが、直近5年間では、伐採された木の約90%が人工林です。木は成長が止まるとCO2の吸収量が減り、老齢になると呼吸による排出量と光合成による吸収量がほぼ等しくなります。だからこそ、人工林資源を活用した循環型の森林経営が重要です」と佐藤社長。

 植林・保育事業では、伐採跡地への苗木の植栽、下草刈りやつる切り、間伐などを行い、健全な森林の育成に寄与する。これにより森林の新陳代謝が促進され、CO2の吸収能力も高まる。温暖化対策としての森林整備が求められる中で、同社では〝次の森を育てる〟という使命を担っている。

「かつてのように、区域内すべての木を伐採する皆伐は環境への影響が大きいため、現在では一定の間隔で間引く列状間伐が主流です」(佐藤社長)

 さらに同社では、土砂流出を防止する治山工事や、災害時の代替路としても機能する林道工事も手掛けており、いずれも官公庁発注の事業を元請けとして受注していることが強みだ。

 一方で、林業全体の課題である担い手不足にも直面している。同社では、ドローンによる事前調査や木材集積の確認、高性能林業機械の導入など、ICTや機械化による効率化と安全性向上を積極的に推進して、持続可能な現場体制の構築に力を注ぐ。

 佐藤社長は「大自然の中で働けることが林業のなによりの魅力。最新技術も導入していき、若い世代が活躍できる職場環境の整備をこれからも進めていきます」と話す。

佐藤稔社長
間伐材を使用した治山ダム(木製残存型枠と木製校倉式)
旭川市内の本社社屋