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大北土建工業

工事現場のサポートを行う富良野統括事業所

80年の信頼を礎に富良野の未来を築く地場ゼネコン

 富良野市に本社を構える「大北土建工業」は、1944年創業の地場ゼネコン。昨年創業80周年の節目を迎え、上川管内ではトップクラスの売上高と施工実績を誇る。長年にわたり、地域インフラの整備と維持を通じて富良野のまちづくりを支えてきた。

 手掛ける工事の大半は、官公庁発注による公共土木工事。北海道開発局が定める入札参加資格では最高評価の「A等級」を取得し、2025年には3年連続で「工事成績優秀企業」に認定。北海道水産林務部の「工事等優秀業者」など、数々の表彰実績を重ねており、確固たる地位を築いている。

 根底にあるのが、企業理念として掲げる〝心くばり〟の精神だ。社員とその家族、取引先、地域など、関わるすべての人への思いやりを大切にするという理念は制度や企業文化にも反映されている。 

 毎期の利益に応じて定率で社員に還元する期末賞与では、決算書とグループ代表からの感謝状を家族に郵送しており、家族の支えに感謝を伝える取り組みを行っている。完全週休2日制の導入や住宅手当、資格取得支援制度などの福利厚生も手厚く、安心して働ける環境づくりに力を注いでいる。

 建設現場など社内のDX化も進める。ドローンによる測量やICT建機の活用、BIM・CIMを用いた施工管理手法の導入などを進め、効率化と品質向上を実現。さらに、デジタル分野に慣れた若手社員を中心にデータ処理の内製化を進めており、現場単位でのボトムアップによる改善提案や技術導入が活発に行われている。

「現場で自ら考え、動き、改善していく。そんなチャレンジできる会社にしていきたい。DXは単なる効率化ではなく、若手が活躍できる土壌づくりです」と荒木崇宏社長。

 こうした先進的な取り組みが評価され、24年には北海道開発局の「i‐con奨励賞」を受賞。高品質かつ高効率な施工体制が高く評価された。今後はより専門性を高めるため、若手を中心にDX・ICTに特化した専門部署の新設も視野に入れている。

 地域の安全も支えている。

「2016年に台風による豪雨で空知川が氾濫し、南富良野町幾寅地区の堤防が決壊した際は、緊急復旧工事を当社が担当し、1週間で施工を完了しました。自然災害から地域住民の暮らしを守ることも我々の使命です」と荒木社長。

 地域との関わりも深く、富良野の代表的な祭り「北海へそ祭り」には会社全体で参加している。

 荒木社長は「過疎化や若年層の雇用難といった課題もありますが、富良野には観光や農業など特有の魅力がある。地域の活性化は企業の成長にも直結します。これからも地元に根ざし、地域経済を支える存在でありたい」と話す。

荒木崇宏社長
7月28日「第57回北海へそ躍り大会」に参加。特製のヘルメット笠で会場を盛り上げる