表鉄工所

水害から地域を守る水門の設計・製造・施工のプロ集団
旭川市に本社を構える「表鉄工所」は、1946年創業の水門メーカー。河川やダムの水門・樋門を中心に、橋梁、水管橋、除塵機など水に関わる鋼構造物を手掛けてきた。設計から製造、施工、メンテナンスまでをワンストップで行う〝水門のスペシャリスト〟ともいえる企業だ。
事業の主力は公共事業で、売上の約9割を水門関連が占め、そのうち約7割を元請けとして受注している。主要顧客は、北海道開発局をはじめとする道内外の自治体や全国のゼネコン。石狩川、天塩川、十勝川など道内の主要河川にも同社製の水門が数多く設置されており、確かな技術力で地域のインフラを支えてきた。
最大の強みが、自社開発の特許製品群だ。代表格である「フロートフラップゲート」は、水位の変化を利用して、無動力で自動開閉する門柱レスゲート。開閉作業の省人化・省力化に加え、洪水や津波発生時の即応性や景観との調和まで考慮した革新的な製品だ。このほか、内水排除と逆流防止を自動で切り替える「フラップインゲート」、自重降下式の水門開閉機「スーパーラックシリーズ」など、多数の自社特許製品をそろえる。これまでに取得した特許数は50件にのぼり、他社との差別化を図ってきた。
特筆すべきは、顧客ニーズに応える〝フルオーダーメイド〟の一貫生産体制だ。
旭川の本社工場では、組み立てに必要な部品を一から製造しており、設計段階から綿密なカスタマイズが可能。厳しい自然条件や河川の特性に応じて、複雑な形状や高い耐久性を備えた、安全で高品質な製品を提供している。
一方で、水門業界を取り巻く環境には課題も多い。30~40年周期で更新需要が生じるものの、予算縮小や人手不足の影響により、更新の遅れが問題となっている。また、気候変動による豪雨災害に備えた防災対策としての機能更新も急務だ。
表雄仁専務は「水門は水害から人々の暮らしを守る社会インフラ。この価値を次世代へつなぐことが私の役割です」と話し、持続可能な企業を目指して社内改革を推進している。
その一例が、若手への技術継承と生産性向上を最重要課題に位置づけたDX化の推進だ。ファイバーレーザー切断機や5軸加工機、3DCADなど最先端設備の導入に加え、ITツールを活用した社内業務のデジタル化も進める。
また、今年3月には健康経営優良法人の認定も取得。社員の健康意識を高める取り組みにも注力する。
「社員は会社の大切な財産。今いる社員の健康を守り、次の世代が〝ここで働きたい〟と思える職場づくりに取り組んで行きます」と表専務。


