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道南バス

多数のラッピングバスや復刻カラーのバス(右下)を運行

創業100年。バスの活用で地域経済活性化をけん引

 室蘭市に本社を構える「道南バス」は、地元出身の政治家兼実業家だった徳中祐満氏が創業。胆振エリアを中心に路線バスや都市間バス、観光バスの運行を主事業とする。

 太平洋戦争の勃発や2度の有珠山噴火、胆振東部地震、コロナ禍などに加えて、規制緩和や少子高齢化、バス運転手の2024年問題など地域経済に影響を及ぼす出来事が起きる中、地域の交通インフラを支え、今年で創業100周年を迎えた。

「補助金活用などで運転手を確保。路線の廃止を極力避け、統合や新設などで対応していく。今後も地元のインフラを守るために、あらゆる施策を講じていく」と長谷川義郎社長。

 一方、100周年記念事業として本社1階のターミナルで写真展を開催したほか、ストリートピアノによるミニコンサートや地元の「室蘭フラップスジャズオーケストラ」とのコラボなども打ち出している。

 また復刻カラーのバスも走らせるほか、懐かしの車両も復活させた。ドイツのバス車体メーカー「ネオプラン社」(現マン・トラックアンドバス)製の車両で、かつて都市間バスで走行させていた車両を観光バス用に再導入した。

「バブル期に大人気だった懐かしの豪華車両です。このバスで『創立100周年記念貸切ツアー』も実施しました」と長谷川社長。

 このほかのツアーも積極的に企画し、室蘭市内の観光地巡りや胆振東部地震跡地の視察ツアーなどを実施。地域の歴史を伝えている。

「車体を広告で彩ったラッピングバスも多数運行しています。地元企業のPRと自社の収益改善につなげていきたい」(長谷川社長)

 8月には労働組合が中心となり、公共交通の未来などをテーマに「バスシンポジウム」も開催する。

 長谷川社長は「営業エリアには洞爺湖や登別温泉などの観光地がありインバウンド需要も高い。より多くの乗客が利用しやすいよう車内の改修にも取り組んでいます。一方、苫小牧や室蘭などの工業都市でバス路線が無くなると地域産業が疲弊する。JRやタクシーなどと横断的な連携も見据え、次の100年に向けて経験と知恵を総動員していく」と話す。  

長谷川義郎社長
ネオプラン社製のバスを再導入
100年の歴史を振り返る写真展