スター保育園

永続可能な運営モデルで経営難の保育園を次々と再建
少子化、保育士不足、制度改革…。保育業界は今、大きな転換期を迎えている。淘汰と再編が進む中、札幌を拠点に急成長を遂げているのが、2017年設立の「スターグループ」だ。
8年間で札幌市内に「スター保育園」10施設を展開し、業界内外から注目を集めている。
近江幸一社長は「きっかけは、息子の保育園願書提出のため、前夜から並んだことでした。保育園に入ることがこんなにも不安で不便なものかと痛感しました。保育業界の改革を志し、自動車関連会社の経営から一念発起で転身しました」と設立の経緯を語る。
近江社長の最大の特徴は保育園の〝再生請負人〟としての顔だ。経営難に陥った園を事業承継して、これまでに5施設を次々に再建へと導いてきた。
「規制緩和もあり待機児童問題は改善されましたが、一方で施設数が急増し、運営が立ち行かなくなる保育園も増えています。施設が閉鎖されれば、園児や保護者、職員が行き場を失う。〝助けてほしい〟という声を聞き流すことはできませんでした」と近江社長。
急成長のもう一つの理由が、保育の永続可能な運営モデルを構築している点にある。運営の柱にあるのは〝職員ファースト〟の理念だ。
「保育士が安心して笑顔で働くことができなければ、良い保育は提供できません。職員を守ることが、結果として保育の質を高めます」と近江社長。
この言葉通り、同園では残業削減や持ち帰り業務の禁止、産休・育休後の復帰支援、業界平均を上回る賃金水準などを徹底。複数園がある事でのスケールメリットを活かした人員配置で、一人あたりの負担も軽減している。この結果、離職率はとても低く、150人の職員が生き生きと笑顔で、安心して長く働ける環境を実現している。
保護者への配慮も手厚い。オムツを無償提供する〝手ぶら登園〟や管理栄養士が献立を監修した自園調理の給食、防犯カメラの全室設置や早朝・延長保育への対応などを、全園共通サービスとして提供しており、安全性と利便性を両立している。
近江社長は「保育園という社会インフラを守り、職員や子どもたちに還元することが使命です。私の名字と同じ『近江商人』の経営哲学である〝三方よし〟の精神で、選ばれる保育園を目指していきます」と話す。
100人以上の職員が一堂に会して行われた忘年会




