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星槎道都大学

飯浜 浩幸学長
(いいはま・ひろゆき)1960年旭川市生まれ。84年道都大学社会福祉学部卒業。99年同大専任講師となり、助教授、教授を経て、2011年に社会福祉学部長に就任。その後、学長補佐などを経て21年4月より現職。22年4月北海道星槎学園理事長就任。

独自の学部と実践的な学びで学生と地域の幸福度を高める

 ――就職が好調でした。

 飯浜 本学は、キャリア支援教育やキャリア支援センターによるサポートが充実しており、 多くの企業が学内で合同説明会等を実施しています。特に有償型インターンシップ「きゃり・プロ」(学生に給与が支払われるインターンシップ)は、学生が責任感を持って仕事に取り組み、企業側からも好評です。これにより高い就職率が自慢です。デザイン学科と社会福祉学科の就職率は100%でした。他学科も97〜98%台と高い実績を維持しています。

 また、国家資格では社会福祉士、精神保健福祉士、二級建築士などで実績があり、昨年には在学中の一年生から二級建築士合格者が出ました。

 ――貴学の独自性とは。

 飯浜 本学は4学科が全く異なる系統で構成されています。全国的にも珍しい美術系建築学科も特徴です。地方の小規模大学ながら総合性を持っており、女性に人気の社会福祉に加え、スポーツや経営を学びたい学生、建築やデザインを学びたい学生などのニーズにも対応できる。さまざまな分野に挑戦できる環境を提供しています。また専門分野以外にも学べる「サブメジャープログラム」があり、1年生から4年生まで多様な学びやインターンシップ、資格取得支援が受けられます。 

 また、学生14人に対して教員1人という割合で、少人数教育を実施していることも大きな強みです。独自の経済支援制度や奨学金制度もあり、25年4月1日現在の学費減免受給率は72・5%です。

 これにより、今年度の入学者は定員を超える269人と安定した入学者数を確保できました。特に社会福祉学科は定員を大きく上回る人気で、保育士や教員、社会福祉士を目指す学生のほかSDGsやポストSDGsといわれるウェルビーイング(心身が満たされた状態)の考え方の浸透が影響しているのではないかと分析しています。

 ――地域連携に注力している。 

 飯浜 北広島市唯一の4年制大学として地域に根ざしたキャンパス運営を重視し、産官学連携による実践型教育を推進してきました。特にファイターズとの連携では、「ファイターズスポーツ&エンターテイメント」の講師が直接大学で授業を行うなど、スポーツ文化を通じた独自の学びや講座を展開しています。

 また、多くの企業と包括連携協定を結んでいます。昨年度は社会福祉法人「北海道リハビリー」と包括連携協定を結びました。これにより北広島市内の高齢者、知的障害者に加え、身体障害者向け施設を運営する3法人との連携が完了しました。

 ――大学間連携も推進していますね。

 飯浜 昨年8月には「静岡福祉大学」(静岡県)、12月には北広島市への移転が決まった「北海道医療大学」と連携協定を結んでいます。今後は合同授業や大学祭への相互参加などで積極的に交流を進め、〝国内留学的〟に職員・学生が交流することは地域性や文化の違いを体感でき、双方にとって刺激となるメリットがあります。 

 ――今後の取り組みについて。

 飯浜 22年には、文部科学省から「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」に認定されました。すでに共通教育科目としてカリキュラムに組み込まれています。また、コロナ禍で培ったオンライン授業のノウハウを生かし、対面とオンラインの同時配信によるハイフレックス型授業を、昨年から試行しています。今後は忙しい社会人の学び直しや留学生が海外からでも受講できるようなシステムの構築を目指しています。数年以内に新たな仕組みを構築し、シームレスな学び方に発展させていく計画です。

 ――「ビジョン2040」を策定されました。

 飯浜 40年に向けて「私たちがVUCA(将来予測が困難な)時代を生き抜くための15年ビジョン」と題したグランドデザインを策定しました。星槎グループの理念である3つの約束「人を認める」「人を排除しない」「仲間を作る」と5つの構成要素「教育」「学生支援」「研究」「社会連携・社会貢献」「大学運営」を定めています。

 これを達成するための新中期計画が今年度からスタートしています。1期目は「ステークホルダーから愛され選ばれる大学」を目指し、「ウェルビーイング研究センター」を立ち上げ学生や社会に還元する研究機関として機能させています。ウェルビーイングの理論的な研究を社会に発信し、実践から得たノウハウを理論化することで、幸福度向上への貢献を進めます。

 今後は段階的に「ステークホルダーから支持される大学」「ステークホルダーとともに共創する大学」を目指し、40年には学生はもちろん、地域社会の幸せも追求できる大学でありたいと考えています。

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