伊藤機械製作所

顧客ニーズに応え続け、ダムと河川の安全を担保
「〝依頼された仕事は断らない〟その一心でお客さまのニーズに応えてきました」と語るのは「伊藤機械製作所」の伊藤真一社長だ。
創業122年の老舗企業である同社は、ダムや河川に設置されている水門(ゲート)、巻上機(水門開閉装置)、除塵機などの設計・製造・施工・修理が主事業。水の安定供給や河川の氾濫防止の一端を担うなど、我々の暮らしを影から支えている。
長年培ってきた技術力が評価され電力会社からの受注も多い。
昨年の施工実績は、寒別取水堰(虻田郡京極町)の水門と巻上機、久保内発電所(有珠郡壮瞥町)の自動除塵機の製造・設置などを担った。これまでに札幌市の藻岩ダムや豊平峡ダム、泊原子力発電所(古宇郡泊村)の製品製造と設置にも携わるなど、同社の製品は全道で稼働している。
多数の引き合いがある理由を「信用の積み重ねに徹してきたことが評価されたと考えています。〝伊藤機械に言えば何とかなる〟と言ってもらえるように努めている」と伊藤社長は語る。
技術者は、キャリア30~40年のベテランを中心に16人が在籍。設計、製造、溶接、加工、設置など、各分野に精通したプロフェッショナルをそろえる。
現場を統括する小川哲児常務は「技術者の特徴は、専門分野がありながら他部門の業務も担えることです」と語る通り、設計部門の技術者が製品の据え付けを行い、溶接部門が機械加工も行えるなど、オールマイティーな技術を有している。
また、伊藤社長も現役の技術者だ。30年以上の現場経験を有し、図面作成に携わる傍ら現場にも出向く。「製品の仕様は現場ごとに異なるため、大量生産はできない。高い精度を担保するために、私も携わります」と伊藤社長。
一方、近年の国内の製造業は、労働力不足や技術継承の難しさなど、さまざまな課題に直面しており縮小傾向にある。
小川常務は「工場閉鎖などを理由に、近年は当社の領域外の引き合いも来ています。お客さまの要望に何としても応えるべく、これまで培った技術を応用しながら対応しています」と、業界の存続と発展に向けた取り組みに全力を注ぐ。



