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森山病院

多田 裕樹 外科・血管外科部長
ただ・ゆうき/2012年旭川医科大学医学部卒業。旭川医科大学病院、札幌厚生病院や製鉄記念室蘭病院などを経て、23年から現職。日本心臓血管外科学会認定心臓血管外科専門医。

カテーテルと外科的治療を組み合わせ治療最大値を目指す

道内初の整形外科単科病院として、1952年に開院した「森山病院」。70年を経た現在では内科や脳神経外科、形成外科など15の診療科を標榜する。そのなかで、下肢血管疾患の診察・治療・手術を行うのが血管外科だ。

これまで稲葉雅史院長の医師1人体制だったが、4月に部長として多田裕樹医師が着任。診療体制が強化された。

多田部長は、カテーテル術と外科的治療のどちらにも対応できる血管外科の専門医だ。下肢動脈のカテーテルによる血行再建は年間78件(2022年実績)、外科的血行再建はバイパス術を含めて、年間31件(同)を施術している。

動脈硬化性疾患は、心筋梗塞や脳梗塞などの危険性は知られているが、下肢の場合も歩行困難や下肢の切断に至ることもある怖い病気だ。

多田部長は「動脈硬化の予防には生活習慣への注意が必要です。リスクファクターは高血圧、糖尿病、高脂質異常、喫煙の4つ。なかでも血圧は自分で測ることができ、把握しやすい症状です。下肢動脈疾患の場合は、足が疲れやすいと感じる患者さんもいるので、普段と違うと感じたら専門医を受診してほしい」と警鐘を鳴らす。

診断には、体の負担が少ない検査を活用している。例えばABI検査だ。両腕と両足首の血圧を測ることで、血流の状態を推測する。治療は薬物治療、カテーテル治療、外科的治療があり、患者の状態や血管病変の性状などから総合的に判断する。

「治療では〝適応と戦略〟を重視しています。治療の選択肢は複数ありますが、何を組み合わせればより質の高い治療を目指せるか作戦を立てることが重要です」と語る。

こうした考えは、カテーテルと外科的治療のどちらにも対応可能な多田部長ならではのもの。同一手術中にこの2つを組み合わせることもあるという。

「下肢動脈疾患がある場合は、心臓や脳の状態も疑います。血流の治療だけで終わりということではなく〝足を救いたい〟や〝歩けるようになりたい〟など、患者それぞれの目標に向けて総合的な治療を目指しています。健康を取り戻す一助となるようにトータルでサポートしていく」と多田部長。

カテーテル治療は多田部長の得意分野の1つ
2020年に北彩都地区へ移転新設をした