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石屋製菓

自宅で本格的なパンケーキを楽しめる「花さくパンケーキセット」

“新生ISHIYA”発足。100年先も北海道に愛される会社へ

この5月に組織を一新。道内屈指の名門菓子メーカー「石屋製菓」が新たなスタートを切る。これまで14部門あったセクションを10部門に改変し、新たに役員1人、部長10人を選任した。部長職の平均年齢は54歳から44歳に若返り、同社初となる女性部長も2人誕生。すべての従業員がそれぞれの経験や能力、考え方を生かせる組織へと進化させる。

さらに、専門職に特化したシニアエキスパート職とエキスパート職を新設。老若男女問わず活躍できるフィールドを整備し、一枚岩となってさらなる成長を目指す。

組織改革に踏み切った石水創社長は「目的は新たな柱となる事業を育てるためです。これまで看板商品である『白い恋人』に依存してきた部分もありますが、そこからの脱却を図る意味も込めて、強い意思を持って経営幹部を選考しました。私自身もリーダーシップを発揮し、新組織を引っ張っていきたい」と語る。

コロナも大きなターニングポイントとなっている。「会社規模の拡大や売り上げの増加に固執しないようになりました。それよりも、もっと北海道のために何ができるのか、100年先も北海道に愛される会社にしていきたい。他の企業と共創しながら会社を良くしていく。それが結果的に北海道の発展に寄与できる」と石水社長。

目下、新規事業も着々と進行中。2017年から進めていた北海道でのバニラ栽培プロジェクトは、今年2月に生産から商品化までの一連の工程を確立。寒冷地での栽培の前例がなかったことから5年の歳月を要したが、実用化の見通しが立った。今後は収穫量を増やし、量産体制を整えていく方針だ。

また、社内のビジネスプランコンテストから誕生した「おうち de ISHIYA」プロジェクトの第一弾商品を2月に発売した。発案者は社員の富澤友里香さんで、「自宅でおいしいお菓子を安全に」というコンセプトを具現化。同社が東京都中央区で運営するカフェ「イシヤ 日本橋」のパンケーキを自宅で再現できる手作りキット「花さくパンケーキセット」を開発した。オンライン限定で販売中で、好調に売れている。

ボトムアップ経営を取り入れながら、今後もさまざまな挑戦を重ねて「白い恋人」に続く第2・第3の柱を育てていく。

発案者の富澤友里香さん(中央)
道産バニラの実用化に成功