「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > スポーツ > コンサドーレ札幌
赤黒の“レジェンド”砂川誠の“コンサの深層・延長戦”  
このエントリーをはてなブックマークに追加

内村圭宏選手(うちむら・よしひろ)掲載号:2016年10月

写真

1984年8月24日、大分県生まれ。174センチ・67キロ。漫画「キャプテン翼」に憧れ、8歳でサッカーを始める。2003年にJ1大分トリニータ(現J3)へ入団。07年からJ2愛媛FC、10年からコンサドーレ札幌へ。背番号13、FW。

ウッチーのおかげで現役が延びた

砂川 J2の愛媛FCから移籍してきて、もう何年になる?

内村 2010年シーズンからなんで、今年で7年目です。

砂川 コンサドーレに来るきっかけは何だったの?ほかのチームからもオファーはあったでしょう。

内村 09年にJ2で18得点したんですけど、そのシーズンが終わった後、コンサからのオファーが一番早かったんです。自分は大分トリニータ(現J3)が最初で、当時はJ1だったけど、選手層が厚くて試合には出られず愛媛に行きました。コンサ以外にJ1のチームからも誘われましたけど、サブメンバーで試合に出られない可能性もあった。その点、札幌はJ2だけどJ1に上がれそうだし、試合にも出られるだろうとも思いました。

砂川 俺ね、たぶんウッチーがコンサに移籍してきてくれたおかげで、選手生命が3年は延びたと思う。直接のアシストで20以上はあったんじゃないかな。

内村 そういってもらえるとすごいうれしいです。

砂川 試合中、自分がDF陣からボールをもらおうと動き出した時に「これは前へのパスを狙えるタイミングだ」と思って顔をあげると、ウッチーは絶対走り出してくれている。それが目に入ってくるんだよね。

内村 スナさんとは「このタイミングでここにパスをくれたら、自分のほうが先にボールを触れる」という感覚が合うんです。微妙なところなんですけど、出し手と受け手との関係はそこが大事なんです。

砂川 出し手とすれば、相手のDFを置き去りにするようなパスが通るとすっごい気持ちいいんですよ。パスを出す相手を探していたら、もう出せない。視野を確保した瞬間に動き出してくれているのに対して出すものだから。

内村 それだけではなくて、自分がDFの裏に抜けようとした時、相手DFとの位置や目の前の景色を見て「これはパスが通らないな」と思うこともある。そんな時、スナさんはパッと裏に出すのをやめて、自分が安全に受けられるパスに切り替えてくれる。そういう細かい部分での意思疎通や理解の上でボールをもらえると、自分の中の気持ちも乗ってきますから。

-----ここから“延長戦”本誌未掲載-----

今も経験値は上がっている

砂川 いくつになったんだっけ。

内村 32歳になりました。

砂川 身体的には変化はある?

内村 そんなにまだ感じないですけど。気配はあります。

砂川 FWとしては、点を取り続けないとダメなんだよね。

内村 そうなんです。それにスナさんとまではいかなくても、周りを生かすプレーができれば。点を取るだけではなくて、プレーの幅もまだまだ身につけていきたいんです。やっぱり、サッカーが好きだから。

砂川 ウッチーはとっくん(都倉賢選手)やジュリ(ジュリーニョ選手)よりも、相手との駆け引きについては得意だから。相手の中盤や後ろの選手との間隔を見てタイミングよく飛び出すような、そういうのが1つ入るだけで、相手の守備の意識がそこにいく。そうなると、ウッチー以外の選手も回りを見て準備する時間ができる。すると良い選択ができる余裕もできる。でもウッチーがいないとその準備ができないから、ボールがノッキングしだす。“遊び”のパスも出せないんで、スムーズな攻撃はなかなかできない。

内村 スルーパスも出て来づらくなります。

砂川 駆け引きの部分というか、引き出しはやっぱり年を重ねるごとに増えていくもの。俺もそうだったから。ボールの保持にしても、若い時と比べると相手に取られ出してから、これじゃダメだと思って持ち方を変えていって。

内村 それって何歳くらいからですか?

砂川 俺は31くらいからかな。30歳ぐらいの時は、その狭間で戦っていた。

内村 ちょっと怪しいなと(笑)

砂川 うん(笑)。でも悩んで考えて、というプロセスが、たぶんもう1段階、サッカーの視野を広げることにつながったと思う。ウッチーは20代のころに比べて上手くなってると思う?

内村 そう思います。若いと無理がきくし、無茶しても許されるけど、30代では減りました。それがいいか悪いかはわからないんですけどね。チャレンジすることが減るということかも知れないので。でもチーム自体のことを考える機会は増えましたし、その中で自分の経験値も上がっていると思います。

J1でプレーできる最後のチャンス

砂川 夏が終わって、昇格も見えてきたのでは。気が早いかもしれないけど、来シーズンに向けてはどう考えてる?

内村 このままだとマズいと思っています。守備は何とか耐えられているのかもしれませんが、攻撃もう少し連携を高めて、人数かけて攻めてということをしないと。今みたいにボールを奪ったら後は個々の能力に頼るのはどうかと。今シーズンでも、ある程度守備のいいチームにはあまりいい攻めができてはいないんで。個人で通用しない相手には、速攻を潰されるとダメ。セットプレーで点を取れているから助かっているという感じです。

砂川 今のチームのまま昇格したとして、戦える感触はある?

内村 全ポジション、J1のレギュラークラスを補強してもらって、その中で何人かが食い込んでいけるかという風にすれば。前に昇格した時(2008年)に補強もないままだと厳しい。最初は今季のメンバーが出られないくらいの補強がないといけない。

砂川 ただ、チームのベースは全員が守備をしてというやり方を継続するしかないよね。J2の上位とJ1の下位は、そこまで差はないはず。それを超えてJ1に定着することを目指すなら、全員で守備をするという、今シーズンのベースから一歩先に進まないといけない。ウッチーはそう思っていて、俺もそう感じる。今のままでも、通用しなくはないと思うけど、コンサドーレがJ1に定着して、さらに中位以上をねらっていくなら、そこにプラスアルファの部分が相当必要じゃないかなと思う。

内村 自分自身、前に昇格した時は2点しか取っていません。結果を残していないまま現役を終えると後悔すると思っていて。J1でも自分はやれると思っているし。1度は年間通してJ1で活躍する姿を残してから引退したい。年齢を考えたら、今年が最後のチャンス。これから、自分のパフォーマンスが落ちていくのは避けられないんで。でも今が一番いい時期だと思っているし、だからこそ今年上がらないと、というのはずっと思っていましたし、今シーズンにかける気持ちは強いです。

砂川 J1は日本のトップリーグ。何万人といるサッカー選手でひと握りのトップ選手しかプレーできないところ。ここに選手として所属してプレーしているということは、選手として価値があることだから。(構成・清水)

……本誌財界さっぽろ2016年10月号(9月15日発売)にはここに未掲載の内容も満載ですので、ぜひお買い求めください。

→Webでの購入はコチラ


●著者プロフィール

(すなかわ・まこと)1977年千葉県生まれ。2003~15年までコンサドーレ札幌にチーム最長の13年在籍。小野伸二選手とともに指導するSuna×Shinjiサッカースクール(公式Web:http://sunashinji.com)の運営、コンサのアドバイザリースタッフ、札幌大学サッカー部コーチ、石屋製菓社員と4足のわらじを履く。