アスリートインタビュー

北海道コンサドーレ札幌

【砂川誠のコンサの深層】小野伸二が21年シーズンを振り返る

トゥチッチは来季ゴールを量産

 砂川 まずは2021年シーズンを振り返って。

 小野 チームとしては、札幌ドームでの開幕戦に勝って(第1節・2月27日横浜FC戦、5対1)いいスタートを切れました。そこからもシーズンを通じてパフォーマンス自体は維持できていたと思いますが、成績としては物足りない面があったのかなと思います。いい試合をしているのに“軽い”失点で負けてしまうことが何試合もあった。改善しなくてはいけない部分だと強く思います。

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 砂川 ホーム最終戦(第37節・11月27日柏レイソル戦、3対1で勝利)なんて、とてもリーグ10位のチームの試合内容とは思えないようないい試合展開で、得点なんて感動すら覚えるようなパスワークからだった。

 小野 練習の成果が出たゴールですし、ホームでのシーズン最後にああいう試合ができたのはよかったと思います。ああいうシーンはほかにも数多くつくり出してはいるけど、得点にまでは至らないことが多くて。

 砂川 アンデルソン・ロペスや前年の鈴木武蔵といった中心選手が移籍してしまう現状がある。宿命かもしれないけど、選手としてはどう感じているの?

 小野 選手それぞれが移籍するかしないかを決めるのがまずあって、それに対して、クラブが選手の決断、動向をリスペクトしてくれているということですよね。それ自体はいいことだと思います。チームとして主力が抜けること自体は、もちろんダメージのあること。でも残る選手が一人ひとりそこを補おうと努力しているわけで、たとえばFWミラン・トゥチッチ(前出の柏レイソル戦で2得点)を見てもそれは明らかですよね。彼はシュートがすごく上手いですし、日本のやり方をさらに学んで試合をこなしていけば、連携も向上していくはず。来シーズンはゴールがもっと生まれると期待しています。

 砂川 ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)のもとで素晴らしいサッカーをやっていることは、誰もが認めてくれている。そこは間違いないと俺も思っているんだけど、もう1つ上に行くために、伸二が必要だと思うことは?

 小野 あえて言えば、練習の中で“緩い”時があるので、そういうところから緊張感を持って臨むことの大切さは、もっともっと伝えていかないといけない。過密日程が続いて疲れが出るということもあるだろうけど、試合で緩さが出てきてしまっているところはあります。決定的なピンチやチャンスの場面でこそ、練習から緊張感を持って取り組んだことが生かされる。そこは練習中から厳しく言っていきたいですね。

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 砂川 選手個人の意識の持ち様が影響してしまうのもあるよね。でもそういう厳しさは、リーグ戦で上位に入るために絶対必要なこと。伸二にいろいろ言ってもらえること自体、大きなアドバンテージだよ。

 小野 楽しんでプレーすることはとても大事ですけど、集中してやるということとは全然違う話で。楽しみつつ、やれることはやっていこう、というのはいつも思っていることです。(構成・清水)

……この続きは本誌財界さっぽろ2022年2月号でお楽しみください。


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(おの・しんじ)1979年9月27日、静岡県生まれ。浦和レッズ、フェイエノールト(オランダ)、ボーフム(ドイツ)、清水エスパルス、ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(オーストラリア)で活躍。ワールドカップには98年フランス・2002年日韓・06年ドイツと3大会連続で出場。14年6月から北海道コンサドーレ札幌に加入。19年シーズン途中でFC琉球に移籍し、20年シーズン終了後に札幌へ復帰した。175センチ・74キロ。背番号44、MF