アスリートインタビュー

北海道コンサドーレ札幌

【砂川誠のコンサの深層】サッカーを奪われた コールリーダーに聞くコロナ禍のいま

この10数年と違う日常が新鮮

砂川 新型コロナウイルスの影響でJリーグが中断して4カ月。毎試合、ゴール裏でコールリーダーを務めてきた安中くんたちはどのように過ごしていたの?

安中 こんなに長引くとは思っていなかった、というのが正直なところです。中断してすぐのころは、開幕戦はアウェー(柏レイソル戦・千葉)でしたから、ホーム開幕戦に向けた準備の必要もあったので。

でもその後徐々に、しばらく再開は無理だろうという雰囲気に変わっていった。途中からはある意味腹をくくって、サッカーよりも自分自身のことを考えるようにして過ごすようにしていました。僕らは一般人で、クラブの応援は非日常。この間は日常に重きを置いていました。

松尾 僕も最初は「サッカーがないとやることがない!」という気持ちでした。でも自分自身がリモートワークをするようになって生活スタイルが一変したこともあり、意外とあっという間に4カ月過ぎていたという実感です。

安中 毎年、シーズン中は毎週試合があって会場に行って、シーズンが終わったら、年明けくらいから毎週「ウルトラスサッポロ」の仲間で集まり、開幕を迎える準備をする。10数年このルーティーンだったので、それがなくなったのは、ちょっと新鮮だった。

砂川 ある意味リフレッシュできた。

安中 そうかもしれませんね。加藤くんは今回、ベトナムから対談に加わってくれました。

加藤 僕は普段ベトナムで仕事をしていて、毎試合とは行きませんが、年間試合数の半分弱は会場まで応援に行きます。今年も開幕戦のために日本へ行って、一度ベトナムに戻り、またタイへ出張している最中にコロナが広がって、ベトナムに戻れなくなった。そこから6月末までずっと北海道の実家に戻ってリモートワークをしていました。そういう意味では僕も生活が激変した4カ月でした。

砂川 緊急事態宣言下で活動が休止している中、クラブや選手はいろいろな取り組みをしていたけど、サポーターの目からはどう見えていた?

安中 クラブとしてクラウドファンディング(CF)でスポンサー企業の支援を始めましたよね。コロナの影響が今後も続けば、スポンサーの撤退もあり得るでしょうし、そうなれば来年以降のほうが経営は厳しくなるかもしれない。サポーターとしても、スポンサーに何ができるのかという思いはあるはず。CFのような取り組みはそういう意味ですごく良いことだと思いました。

砂川 コンサのサポーターはスポンサーも含めて応援するスタイルが定着しているからね。

安中 純粋に地元、北海道が好きだからでしょうね。
加藤 道民の仲間意識って、他県に比べて強いと思うんです。だからクラブや地元へ貢献したいという気持ちも強いのかも。

応援のイメージはまだつかない

砂川 7月4日にリーグが再開されたけど、最初は無観客。7月下旬からは観客を入れるけど、5000人までの入場制限がかかっている。応援はどうしようと考えているの?

安中 まだ正直、イメージがつかないです。会場で声を出していいのか、鳴り物はいいのかもまだ不明ですから。

松尾 自分たちがチケットをとれるかもわかりませんし、ルールの中でできることを考えるしかない。

砂川 選手からしても、無観客とか、観客が入ってもいつものような声援を受けての試合とは違うから、とまどうことはあると思う。

安中 少なくとも今はまだ、いつものスタジアムの、あの空気感を自分たちでつくることはできませんから、歯がゆいのは確かです。その時が来たら、いつでもチームの力になれるよう準備をしておきたいです。

松尾 先行きは見えませんが、どんな形でもチームに貢献したいという思いに変わりはありませんから、できることは精いっぱいやりたいです。

加藤 単純にサッカーを見られるのが楽しみですし、生で見るのがいつになるかはわかりませんが、そこをモチベーションにしていきたい。同じくそれを楽しみにしているサポーターは多いと思いますから、早くそうなれればいいと思っています(構成・清水)


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北海道コンサドーレ札幌サポータークラブ「ウルトラスサッポロ」メンバー。上写真左/松尾和樹(まつお・かずき)、同右/安中太志(やすなか・たいし)、右写真/加藤優介(かとう・ゆうすけ)