アスリートインタビュー

北海道コンサドーレ札幌

【砂川誠のコンサの深層】小野伸二選手

スター選手との対戦は楽しかった

砂川 シンジにこの連載に出てもらうのは2度目。チームはJ1で厳しい戦いをしているけど、今回はそこから離れて、シンジが経験してきた海外のことについて、聞いてみようと思う。

小野 今までに所属した海外のチームとしては、オランダ1部のフェイエノールト、ドイツ1部(当時)のボーフム、オーストラリアのウェスタン・シドニー・ワンダラーズFC。それ以外にも、僕らの世代は海外での合宿や海外遠征がすごく多かったんです。

砂川 海外移籍ではどうしても言葉の問題があるでしょう。何とかなったの?

小野 頑張れば(笑)。最初の移籍ではまずオランダ語を学びましたが、オランダ人以外の選手もたくさんいたので、会話は英語が主でした。

砂川 当時、同じチームにいたメンバーって、今考えるとすごい顔ぶれだよね。

小野 トマソン(元デンマーク代表FW)、ファン・ホーイドンク(元オランダ代表FW)、ファン・ペルシ(元オランダ代表FW)もいました。

それに対戦相手もすごいメンバー。ライバルのPSVアイントホーフェンにはロッベン(元オランダ代表FW)やファン・ボメル(元オランダ代表MF)。アヤックスにはイブラヒモヴィッチ(元スウェーデン代表FW)やファン・デル・ファールト(元オランダ代表MF)、スナイデル(元オランダ代表MF)。彼らとの対戦は、本当に楽しかった。

砂川 俺も高校時代にオランダで試合をしたことがあって、サッカー観が変わるくらい、やっているサッカーの質が違っていた。風間八宏さん(現名古屋グランパス監督)がフジテレビの「すぽると」内でやっていた「マンデーフットボール」で、シンジがオランダでサッカーしているのを、毎週楽しみに見ていたよ。

小野 02~03年シーズンにチャンピオンズリーグに出た時は、まだユベントスにデル・ピエロ(元イタリア代表FW)がいました。試合後にユニホームを交換してもらいました。

砂川 いわゆる〝銀河系〟時代のレアル・マドリードとも戦っているんだよね。

小野 ジダン(元フランス代表MF)、ラウール(元スペイン代表FW)、ロベルト・カルロス(元ブラジル代表DF)、マケレレ(元フランス代表MF)。イエロ(元スペイン代表DF)やフィーゴ(元ポルトガル代表MF)もいた。

砂川 日本の選手でこれだけ世界レベルの選手と戦っているのは、ヒデさん(元日本代表・中田英寿選手)とか俊輔(同・中村俊輔選手)くらいだろうね。

-----ここから“延長戦”本誌未掲載-----

乾くんはスペインの“扉”を開いた

砂川 伸二がスペインでプレーするところを一度でいいから見てみたいと思っているんだ。

小野 自分もそう思います。今にして思うんですが、生まれた時から海外にいて、日本人として海外でサッカーを始めたかったなって。とくにスペイン。自分の子どもが男の子だったら、スペインに連れて行きたかった。日本が悪いわけではないんです。ただただ、スペインでサッカーを始めてみたかったということ。

砂川 自分も同じプロの選手だから、本当はそう思ってはいけないのかもしれないけど、伸二のように日本人選手が海外で活躍している姿を見ると、日本人の代表だと思って見てしまうことはあった。そういう意味で、スペインで本当に活躍する日本人選手は今までいなかった。

小野 そこを乾くん(スペイン1部・SDエイバルMF乾貴士選手)がいま扉を開いています。柴崎くん(スペイン2部・テネリフェMF柴崎岳選手)は、試合を見ていると、悪くはなかったけど、チームに完全にハマってはいないように見えて。タッチミスやボールロストを見ると、遠慮しているような感じでしたから。アシストや得点こそできているけど。その点、乾くんは、見ていて客を沸かせられるプレーをしています。

砂川 あれだけ自分のプレーができる、出せるまでのポジションをチーム内を築く、ってとこまでいくとなると、日本でも難しい。だから余計にすごいと思う。大迫(ドイツ1部・1FCケルン大迫勇也選手)とかもプレー環境が変わって、一気に迫力が出たね。

小野 原口(ドイツ1部・ヘルタ・ベルリン原口元気選手)もそうだし、久保くん(ベルギー1部KAAヘント久保裕也選手)も。普段からそういうところでプレーすることが大切ですね。

(構成・清水)

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1978年9月27日、静岡県生まれ。浦和レッズ、フェイエノールト(オランダ)、ボーフム(ドイツ)、清水エスパルス、ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(オーストラリア)で活躍。ワールドカップには98年フランス・02年日韓・06年ドイツと3大会連続で出場。14年6月から北海道コンサドーレ札幌に加入。175センチ・76キロ。背番号44、MF