札幌心臓血管クリニック
新体制のもと新たな船出。チームで支える循環器医療
5月から新体制。〝100年続く病院〟に向けて
〝患者の受け入れを断らない〟――24時間365日救命救急体制で高度心臓血管治療・循環器治療を提供する「医療法人札幌ハートセンター 札幌心臓血管クリニック」。
全国屈指の症例数を誇る同院は25年5月、循環器内科部長を務めていた八戸大輔医師が院長に就任。新体制がスタートした。同院の創設者であり前院長の藤田勉医師は現在、心臓専門医が不足するインドネシアで、新たな循環器医療プロジェクトに参画。国内外で循環器医療のニーズが高まる中、同院が掲げる〝100年続く病院〟を見据えた世代交代に踏み切った。
就任から半年。八戸院長は「藤田先生からは多くのことを学ばせていただきました。その志と理念を受け継ぎながら、責任を持って次の時代にふさわしい医療体制を築く。身の引き締まる思いです」と話す。
同院の強みは、カテーテルを中心とした低侵襲治療の施術力だ。八戸院長は、冠動脈疾患や心臓弁膜疾患の手術を数多く手掛けてきた循環器内科専門医で、現在は大動脈弁・僧帽弁・三尖弁を中心とした弁膜症治療を専門にしている。
特に、注目されるのが三尖弁治療だ。同院は日本で初めてカテーテルによる三尖弁置換に成功。国内で初めて僧帽弁術後の症例に対するカテーテル治療を行ったことでも知られる。
三尖弁疾患はすぐには死に直結しにくいため治療が遅れるケースは少なくないが、ひとたび進行するとむくみなどの心不全症状を引き起こす。やがて腎臓・肝臓に不可逆性の影響を及ぼし死に至る可能性もある。
八戸院長は「早期介入が予後改善につながります」と話す。26年には三尖弁治療が保険適用となる見込みで、それを見据えて日本で数台しか導入されていないリアルタイム3Dに対応した「心腔内エコー用カテーテル」を先行導入した。従来の2Dエコーや経食道エコーでは観察が困難だった心血管構造を立体的に可視化し、より精度の高い治療を可能にする。
同院は心血管治療に特化したアジア最大級の医療グループ「アジアメディカルグループ」に属し、国際連携を担う「国際診療室」を設置。海外との技術交流や人材育成にも力を入れている。
「循環器医療の地域格差をなくしたいと、全道でネットワークを広げてきました。次はその輪を世界へ広げる。札幌で磨いた技術を国境を越えて届けていきたい」と八戸院長。
全職員が主体的に動く チーム医療へ組織変革
新体制の象徴とも言えるのが、組織運営の転換だ。医師・看護師・薬剤師・理学療法士・検査技師・医療事務など、多職種が意思決定に参加する「チーム医療型」へと刷新した。
八戸院長は「医療は個人技ではなく、組織で磨き続けるもの。職員一人ひとりが患者さまのことを考え、主体的に行動することが、医療の質を高めます」と話す。
院内では毎日3回、多職種ミーティングを実施し、症状だけでなく、患者背景・生活状況・治療選択・退院後支援まで包括的に共有する。
また、約30のワーキンググループを設置。電子カルテの改善から教育制度、SNS戦略、離職防止、研究支援までテーマは幅広く、1〜2年目の若手スタッフも積極的に参加する。
「組織として成長するには、現場の声を構造化する仕組みが必要です。自身の意見が採用される経験は、職員を〝当事者〟へと変えます。ここまでの取り組みを行っている医療機関は国内でも多くありません」(八戸院長)
日々臨床実績を蓄積しながら、学会発表や論文投稿など研究活動にも注力し、国際的なプレゼンス強化を進める。
八戸院長は「目の前の患者さんと向き合いながら世界水準の治療と患者満足度を両立した医療モデルを完成させる」と語る。