さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック

かめだ・ひろし/ 1980年北海道大学医学部卒業。同大学第1外科入局。小児外科・乳腺甲状腺外科の診療と研究に従事。2001年麻生乳腺甲状腺クリニック開業。日本乳癌学会認定乳腺専門医。日本外科学会認定外科専門医。医学博士。
切らない乳がん治療法や有効新薬が登場
乳がんの治療方法は日進月歩で進む。近年は過剰な治療を避け、患者負担を減らすことを目指す医療戦略「デ・エスカレーション」という考え方が浸透。手術方法の工夫で、治療期間も短縮が図られた。
「さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック」の亀田博院長は2001年の開業以来、25年以上にわたり乳がんの早期発見と治療に尽力している。
日本乳癌学会乳腺専門医で、アメリカ臨床腫瘍学会にも所属し常に新しい医療情報を入手。患者に提供してきた。
「乳がんの治療には手術やホルモン治療、抗がん剤、放射線があり、いずれも体の負担が少ないよう『縮小化』される方向にある。例えば放射線の照射回数は、かつて25回が標準だったが英国・カナダで大規模試験が行われ、現在では保険でも通常16回です。先進的な欧州・米国では高齢者に42・5Gy/5f(線量/5回)が普通で、治療期間を短縮した「フェストフォワード」と呼ばれます。手術でも、術前化学療法後に従来の腋窩リンパ郭清(腋窩リンパ節を全て切除する手術)を縮小したTAD・TAS行われ、QOL向上が見込める」
23年12月からは新しい治療法として「ラジオ波焼灼療法」が保険適用となった。
「1・5㌢㍍までの乳がんで体表近くなどでなければ、を乳がんを切らず、患部に針を刺し、ラジオ波で腫瘍を焼く治療法です。道内では北海道大学病院、北海道がんセンターで施術が可能です」
新薬も治療を変えている。乳がんは5つのサブタイプに分類されるが、なかでもトリプルネガティブタイプは悪性とされ、従来の治療法が効きにくく、進行も早く再発しやすいとされていた。
「最近では術前、術後に免疫チェックポイント阻害剤が使われ効果が得られた。HER2陽性乳がんには20年に『第一三共』が開発した薬が保険適用され効果をあげ世界で1兆円売り上げた。さらに2種のCDK4/6阻害剤もホルモン陽性乳がんに再発を防ぐ薬剤として使われている。私たちは乳がん治療変革期のまっただ中にいる。今後は患者さんのメリットを最大にする負担が軽い治療が目標です」


