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LSI札幌クリニック【半導体】頭部・乳房専用PETを世界初導入

世界で初めて導入された「頭部・乳房専用PET」

豊富なPET検査技術で病気の早期発見に尽力する「LSI札幌クリニック」。今年8月には「頭部・乳房専用PET」を世界で初導入した。最新の半導体を装備し、従来の検査方法に比べてより鮮明な画像が得られるなど、患者にとっても有用な検査が始まる。

全国でも珍しい総合画像診断クリニック 

日本国民の2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんで亡くなる時代に入った。しかし最新の治療法や薬剤も次々と開発され、がんと闘う道はいくつも残されている。
しかし、言い尽くされているが、がんと対峙するうえで最も大切なのが早期発見。がん検診などで定期的な検査を行うことが何より重要となる。

なかでも1度でほぼ全身(目の高さから骨盤まで)のがん検査が可能なのがPET検診だ。PET(ペット)とは「陽電子放出断層撮影」の略で、がん細胞が正常組織の3倍以上のブドウ糖を消費する性質を利用した検査法。ブドウ糖に似た検査薬(FDG)を静脈内に注射すると、がんの病巣にFDGが集まるため、がんの病巣を正確に確認することができるのだ。

このPET検診分野で道内の先駆け的存在といえるのが医療法人「新産健会」(杉江広紀理事長)が運営する「LSI札幌クリニック」。PET装置3台に加えSPECT装置、1.5テスラMRI装置2台、64列マルチスライスCT装置、超音波診断装置等を備える全国でも稀有な総合画像診断クリニックだ。呼吸同期撮影が可能なPET/CT装置による高度な撮影技術を提供。また多彩な薬剤合成装置でPET薬剤の合成も院内で行っている。

痛みを伴わない乳がん検診が可能に 

その同クリニックが8月に新たなPET検査機器を導入した。それが島津製作所製の「頭部・乳房専用PET」で、世界で初導入だ。

特徴は鮮明な画像。半導体検出器と2.1㍉㍍ 角のシンチレータを光学結合して分解能を高め、放射線を直接電気信号に変換する半導体検出器の信号読み出しアルゴリズムを島津製作所独自のPET技術で最適化、感度を最大限に引き出すことで、これまでにない高画質を実現し診断の正確性を向上した。

現在、乳がん検査の主流であるマンモグラフィは、乳房を上下の板で挟んで撮影する対向型のため患者には痛みが伴う。これに対し頭部・乳房専用PETでは、うつ伏せになってリング状の穴に乳房を入れて撮影するため、圧迫されず痛みがない。このリング型を採用した装置は北海道初で同クリニックが唯一だ。

また、胸部のしこりが触診で判別できるサイズになる以前の4㍉程の微少な病変も識別が可能。さらに高濃度乳腺(デンスブレスト)といわれる乳腺が多い人の場合にマンモグラフィでは判別できないケースがあったが、同装置では3次元画像解析で乳腺の影響を受けずに診断することができるようになった。
検査時間は片側約5分で両側で10分に短縮。また薬剤の追加投与やCT撮影がないため追加被ばくの危険がなく、全身PET検査と併せて実施することができる。

一方、頭部撮影では、FDGを用いたFDG‐PET機器として使用。脳内におけるブドウ糖の代謝機能を検査できるため認知症の検査にも対応する。同クリニックでは、アルツハイマー型認知症の精査ができるβアミロイドPET検査もすでにおこなっており検査体制がさらに充実した格好だ。現在、試験稼働を実施しており、2023年1月から本格稼働する予定だ。

検査内容などに合わせて豊富なPET検診コースを用意されている。
もっとも安価な「PETがん検診トライアルコース」では5万5000円(税別)のほか「PETがん検診」が9万8000円(同)、「PETベーシックコース」が12万8000円(同)、「PETエグゼクティブコース」が20万円(同)などとなっている。

今回の導入に際して杉江広紀理事長は「がんは特別な病気ではありません。早期に治療を開始できれば約9割が治ります。私自身、当クリニックを開院したことでがんを発見。PET検査で命をつないでもらった1人です」と語る。

また、山田有則院長は1993年に旭川医科大学を卒業し放射線科に入局。その後、慶応義塾大学医学部付属病院放射線診断科などの経歴を持つ。「私自身が大学2年の時に精巣がんを患い6カ月間闘病したがんサバイバーです。北海道はがんの死亡率が常に全国のワースト5に入っています。高い喫煙率が要因といわれていますが、検診受診率が低いことでも知られています。理由はさまざまですが高い料金負担が一因です。当クリニックのトライアルコースは全国で最も低廉な料金でPETがん検診を提供しています。60歳を過ぎたら年に1回は受診してほしい」と訴えている。

なお、PET人間ドック・検診は平日と第1・3土曜日が午前9時から午後5時。がん免疫細胞療法は平日の午前9時から午後5時となっている。

※LSIとは「life style innovation」を表す

杉江広紀理事長
山田有則院長
半導体を内蔵し高解像度の画像から正確な診断が可能に
地下鉄東豊線「北13条東駅」から徒歩30秒。無料駐車場は50台分を用意