財界さっぽろ 2024年7月号のさわり

財界さっぽろ 2024年7月号

テナントとケンカ別れ、薄口じゃない嫌み…「旭川はれて屋台村」杉村太蔵が“やり過ぎ、ワンマンオーナー

「薄口政治評論家」――一介のサラリーマンが自民党の公募に応じ、2005年のいわゆる郵政選挙で比例にひっかかって衆院議員へ。その後バッジを失ってからも芸を磨き、今や売れっ子タレント・コメンテーターとして活躍する杉村太蔵氏。そんな杉村氏のもう1つの一面が、故郷・旭川市で始めた実業家としての顔。複合飲食店施設「旭川はれて屋台村」の運営会社オーナーとして、創業支援を買って出たものだ。

杉村太蔵氏 ©財界さっぽろ

 2022年7月にオープンした同施設は「4カ月連続で70万円以上」という売上の縛りをかけるなど、新規創業を叱咤するというのがコンセプト。ただ、これまでに入居したテナント関係者からの評判はかんばしくないようで、中にはかつて選挙区をめぐって争ったライバルにして現在も炎上中の参院議員・長谷川岳氏もかくや、という“威圧的言動”も。本当のところはどうなのか、本人を直撃した。

知床・携帯基地局整備 渦中の長谷川岳が語った“どうしても必要な理由”

 2022年4月、20人が死亡し6人が行方不明という遊覧船沈没事故が起きた世界遺産・知床。当時、船長が自身の携帯で救援を呼ぼうとするもつながらず、客の携帯を借りた、という事実もあり、知床半島周辺海域に電波を行き渡らせるため、急ピッチで国の事業が進められてきた。だが事故からちょうど2年となった今年4月、知床半島先端部の携帯基地局整備で、264枚の太陽光パネルを使って電源を取る、という整備計画が表に出たところ、自然保護団体などから多くの批判が集中。ついには斜里町長が計画見直しへ“急旋回”したことで、推進派との間に地元に亀裂が入っている。

長谷川岳氏 ©財界さっぽろ

 この基地局整備事業において、自他共に認める推進力となってきたのが、参院議員の長谷川岳氏。省庁をまたいで勉強会をつくり、地元の要望に合わせてさまざま力を尽くしてきた長谷川氏に“なぜ携帯の電波が必要なのか”を直接、聞いた。

新庁舎に鎮座 岩見沢市長(松野哲)が言い値で買った8000万円彫刻(意心帰)

 2021年末に竣工、翌年明けから供用されている岩見沢市の新庁舎。その1階エントランスに鎮座しているのが、北海道・美唄市出身で岩見沢市内の大学を出ている世界的彫刻家・安田侃氏の製作した「意心帰(いしんき)」という作品だ。

岩見沢市役所新庁舎1階の「意心帰」 ©財界さっぽろ

 実はこの意心帰、総事業費81億円の内に含まれている、との説明があったのみで、予算や見積もりなどについて市議会で事前に審議されることなく、完成後にこっそり随意契約理由書が情報公開コーナーへ配架されたのみ。本誌の取材に対して市は「内部で検討した結果、打診された価格で市長が決済した」と回答。その額はなんと8000万円。それを松野哲市長が“言い値”で買ったというのだ。

元売り、資源エネルギー庁は逃げ腰 要因は燃料問題、夏の国際線チャーター便全滅の危機

チャーター便受け入れが難航している帯広空港 ©財界さっぽろ

 これから本格的な観光シーズンを迎える北海道。一番のかき入れ時に水を差す事態が起きているという。国際線のチャーター便が、燃料の調達問題を理由に就航できない、というのだ。全国的な問題も当然あるのだが、それでも動きの早いところは調達できているというのに、北海道は手当てが遅いと関係者に不満が募っている。なぜそんなことが起きるのか。北海道はどうして動きが鈍いのか。石油元売りも官公庁も本気度が見えない中、道内観光業界は頭を抱えている。

元請け、下請け、道は“隠蔽”、労基署はずさん調査 釧路・道発注工事死亡事故、闇に葬られた真実

 昨年6月、悲劇は起きた。釧路市郊外の道(釧路総合振興局)発注の土木工事で、不安定な足場で高所作業をしていた従業員が転落。下にある型枠の鉄筋が首に刺さり、約1週間後に帰らぬ人となった。

北海道庁本庁舎 ©財界さっぽろ

 事故の翌日、元請けと下請け業者が釧路労働基準監督署に報告。労基署は高所作業用の床を設けていないことを理由として現場の改善命令を出した。だがその命令はまったく不可解なことに、転落し生死の境を彷徨っていた従業員が代表を務める会社に対して出されたのだ。労基署の判断をもとに、現場労災は降りず道警も動かないまま。危険な現場を放置した元請け・下請けにおとがめはほぼなし。さらに発注者の道は現場と監督員が責任逃れのような内部文書を作成していた。最愛の家族を失った遺族は今年5月、道と元請け・下請けの3者を相手取り、1億4000万円の損害賠償請求訴訟を提起した。訴状や遺族の話から、闇に葬られた真実を明らかにする。