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サンエイ牧場

専用器機を取りつけて搾乳することで、省力化を図っている

年間2万㌧の生乳出荷に向け、自家育成・循環型農場を目指す

1994年に大樹町で創業した「サンエイ牧場」では現在、約2600頭の牛を飼育。同エリアトップとなる年間1万7500㌧もの生乳を出荷している。

「年間2万㌧の出荷を目指し、2023年には搾乳ロボットを新たに導入する予定です。機械化を進めて生産性を向上させていきたい」と辻本正雄社長。

搾乳牛が産む子牛は「ホルスタイン種」、和牛との「交雑種」、受精卵移植による「和牛」に産み分けられている。ホルスタイン種の雌は後継牛として飼育を続け、交雑種は初生販売として2カ月以内に出荷。和牛は10カ月前後飼育し、後に肉牛となる子牛「肉素牛」として出荷する。

辻本社長は「現在、道内の酪農家は生乳の生産調整を強いられており、肉牛を増やす傾向にあります。ホルスタインの流通量が減れば初妊牛が高騰する可能性もあるため、今後は外部から調達する初妊牛の割合を減らし、『完全自家育成農場』へとシフトしていく。市場価格に影響されない強固な経営基盤を構築したい」と説明。また、市況のバランスを考慮しながら肉牛の生産も並行する。すべては外的環境の変化に対応するためだ。

安心・安全を追求し、衛生管理面や生産工程面のブラッシュアップも図っている。26年までにHACCP及びGAPの認証を取得する予定だ。

一方、循環型農場を推進する同社では、750㌶の広大な畑で飼料となる作物を栽培している。13年には、牧場内にバイオガスプラントを建築した。家畜ふん尿のバイオガスプラントとして国内初のFIT(固定価格買取制度)認定を受けた施設であり、ふん尿を発酵することで発生するメタンガスをエネルギー源に発電している。

今年はさらにプラントを1基増やし、2基体制とした。また、発酵後のふん尿は肥料として飼料の栽培に役立てている。

昨年5月からは、環境省の補助事業「未利用バイオガスを活用した液化バイオメタン地域サプライチェーンモデル実証事業」にも参画している。エア・ウォーターとタッグを組み、LNGに替わる新たなエネルギー開発に向け、モデル牧場として携わっている。

「さまざまな取り組みを通じて酪農の素晴らしさを次世代に伝えていきたい。雇用を通じて大樹町の活性化にも貢献していきます」と辻本社長。

牧場内にある本社社屋
辻本正雄社長
バイオガスプラントでふん尿を再利用