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アイ・ディー・エフ

池田社長が中心となり、QRシステム工業会が発足

新工法を全国に普及すべく、新たな工業会を発足

公共施設や民間商業ビル・マンションなどの防水や外壁改修工事の道内大手「アイ・ディー・エフ」。今年1月に創業15年を迎え、業界で確固たる地位を築いている。〝期待価値を超えていく〟をテーマに、リブランディングを進め、環境保全にも注力。認知度は年々向上し、近年は道外での受注増加にも力を入れている。

技術力は高く評価されているが、なかでも特殊な防水工法「超速硬化ウレタンスプレー防水工法」を得意としている。従来の手塗ウレタン塗膜防水工事は硬化に5時間以上を必要としていたが、同工法はスプレー吹き付けによって超速硬化防水膜層を形成し、数十秒で指触可能となるなどスピード施工と省力化を実現。札幌ドームのラバーフェンスなど多くの施工実績がある。

昨年12月には新たなプロジェクトを始動した。金属加工のコーサイ(札幌市)が開発した金属下地防水の「QR(クイックロック)システム工法」を全国に広める取り組みだ。全国の防水工事会社20社で組織された「QRシステム工業会」を発足し、会長を池田和広社長が務めている。特許も取得しているこのQRシステム工法は、金属断熱耐火パネルの上に超速硬化スプレーを吹き付ける新発想の防水工法で、高断熱性と高い耐火性が特徴だ。

池田社長は「カーボンニュートラル、脱炭素化が国策になっている現在、圧倒的な断熱性能や施工効率により、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化にも最適な屋根工法として全国に普及させていきたい」と意欲を見せ、4月からは自身が全国をまわり勉強会を開催している。今夏にも長野県や岐阜県を皮切りに道外での導入も予定され、同社でも本格的に施工をスタートさせた。

一方で、他ジャンルでも業容の拡大を推し進める。昨年4月からは2ナノサイズの酸化チタンを使った光触媒で防汚や消臭、抗菌コーティングをする光触媒酸化チタンナノゾーンコート「nanozone COAT」の施工販売を開始。社会ニーズを汲み取った事業展開も注目される。

地域貢献にも積極的だ。11年には自社のバレーボールクラブ「アイ・ディー・エフ」を結成。「当初は人手不足解消が目的でしたが、知名度も向上し、従業員は約70人まで増え、多岐にわたる事業展開が可能になりました」と池田社長。同チームは、21‐22シーズンV2優勝を果たしたプロバレーチームの「ヴォレアス北海道」の前身だ。同社は現在もトップパートナーを務め、スポーツの力で道内の活性化に尽力している。

池田和広社長
QRシステムのイメージ図。迅速な施工が可能
ヴォレアス北海道のトップパートナーを務める