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ドリームヒル

1000㌶もの広大な敷地で搾乳牛を飼育。バイオガスプラントも完備

〝酪農王国十勝〟で絶大な存在感。道内屈指のギガファーム

日本有数のギガファームとして知られる「ドリームヒル」。十勝エリアの北部に位置する上士幌町に根付き、今年で設立20年を迎える。

敷地面積1000㌶以上の広大な牧場に20棟の牛舎を建て搾乳牛を飼育している。設備も充実しており、一度に50頭の搾乳が可能なロータリーパーラーを2基有するほか、2020年には最新鋭の搾乳ロボット16台を導入したロボット牛舎を建築した。

建築費を含めた設備投資は40億円以上。搾乳機をはじめ、給餌や除ふん、牛の寝床となる藁の敷き詰め、体調測定など、これまで人の手で行ってきた業務をすべてロボットやシステムが担っている。まさに最先端の酪農ビジネスモデルだ。

小椋幸男社長は「機械を操るのは人ですから、搾乳や牛の健康チェック、繁殖業務などを通じて、スタッフの〝牛を見る力〟を養っていくことも重要」と話す。

また、人口約5000人の上士幌町において現在、約100人ものスタッフが在籍。雇用面での貢献度は大きい。

小椋社長は「もともと上士幌は酪農が盛んな土地。酪農の町として盛り上げていきたい。エリア外に進出するつもりもありません」と話す。

また、敷地内にはふん尿を再利用できるバイオガス発電プラントを2基有し、売電や自家消費に充てている。発電後のふん尿は固液分離させ、個体は牛床の敷料として、液体は自社の畑で栽培する粗飼料の養分として活用。さらに発電時の余剰熱を利用し、シャインマスカットなども栽培している。

6次化にも取り組み、ジェラート店やカフェレストランなども運営。持続可能な酪農経営を推進してきた小椋社長は「酪農をはじめ、1次産業は北海道の基幹産業ですが、担い手不足が深刻です。そんな中、若者が働きたい、酪農家を目指したいと思えるビジネスモデルを追求してきたつもりです」と話す。

ただし、コロナ禍による生乳の生産調整、飼料の高騰など経営環境は激変している。

「このままでは道内の酪農は衰退する。ホクレンや国に対して声を上げ、現実に即した適正な乳価を要求していく。地域のためにも、北海道のためにも、絶対に負けませんよ」と小椋社長は力を込める。

ロータリーパーラー
ロボット牛舎ではあらゆる作業が自動化
6次化に取り組み、アイスやドルチェとして販売
小椋幸男社長