道南バス

創業100年控え機構改革を実施ウポポイ開業で重要な役割
道南バスは今年創業95周年を迎えた。室蘭市内をはじめ道南・道央地域の路線バスのほか、新千歳空港、札幌、函館など主要交通拠点を中心とする高速都市間バス、さらには団体貸切バスと、多様な旅客自動車運送事業を展開している。
次の大きな節目である100周年に向け、2019年10月に常務取締役の長谷川義郎氏が社長に就任。時を同じくして新たな社内機構をスタートさせた。
これは社内の事業部を従来の3部制から5部制とし、社業の基本である輸送の安全性をさらに向上させるとともに、地域社会の変化に合わせて、より効率的・専門的な事業展開を目指すもの。具体的には営業、労務、総務の3部制を、総務、経理、労務、営業事業、輸送安全の5部制としたのだ。
「従来の兼務による社業の不統一面を解消し、スピード感を持って社業を推進するとともに、顧客サービスの充実を図りたい」と長谷川社長。
特に輸送の安全性向上については警察OB2人を教官として採用。講習会開催などを通じて全社員の安全教育を徹底して事故防止につなげていく。また、路線の採算性を見直し、地域社会の変化に応じた適正な輸送体制を確保して収支率向上を目指していく構えだ。
こうした新体制、新構想がスタートして間もなく、コロナ禍に見舞われ、本来であればインバウンドでにぎわう冬のイベントや温泉観光に伴う旅客輸送が大打撃を受けた。急激な売上減により、減便や運転部門の一時帰休などで経費節減を図るとともに、利用客、従業員の感染拡大防止対策を徹底。道が推進する「新北海道スタイル」安心宣
言に基づいて「7つの習慣化」に取り組んでいる。
そうした中で、7月に国が胆振管内白老町に開設した民族共生象徴空間「ウポポイ」と新千歳空港、登別温泉、札幌を結ぶ2系統4便の新路線が運行開始。新たな観光路線としての期待が高まっている。
同路線の一部にはTVアニメ「ゴールデンカムイ」のキャラクターを描いたラッピングバスも登別市の協力で走行しており、SNSでも話題となっている。
「従来から一部路線でアイヌ語の車内案内なども実施していましたが、アイヌ文化や歴史の理解につながるよう、今後も地域貢献の1つとして積極的に取り組みたい」と長谷川社長は語る。

