海外旅行保険付きクレジットカード10枚を比較|自動付帯・利用付帯と補償条件

海外旅行保険付きクレジットカード10枚を比較|自動付帯・利用付帯と補償条件

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海外旅行の準備中に、手持ちのクレジットカードに海外旅行保険が付いていたことを思い出す人もいると思います。ただ、その保険が使える状態かどうかは、カードを財布に入れているだけでは決まりません。

多くのカードでは、旅行代金をどのカードで、いつ、何に対して支払ったかで補償が始まるかどうかが決まります。決済なしで補償が始まるカードは、10枚のうち2枚にとどまります。

この記事で比べるのは、年会費永年無料からプラチナまでの10枚です。保険金額の大きさより先に見たいのは、どういう条件で保険が発動するのか、そして海外で病院を受診した際に関係する補償はいくらかというところです。

数値と条件は2026年8月1日時点で各カード会社が公表している内容にもとづきます。

目次

海外旅行保険付きクレジットカード10枚の比較

付帯方式と、海外での傷害・疾病治療に対応する治療費用の金額、それに年会費を並べた表です。

カード 付帯方式 傷害治療費用 疾病治療費用 年会費(税込)
三井住友カード(NL) 利用付帯 50万円 50万円 永年無料
三井住友カード ゴールド(NL) 利用付帯 100万円 100万円 5,500円
年間100万円の利用で翌年以降永年無料
JCBゴールド 利用付帯 300万円 300万円 11,000円
オンライン入会は初年度無料
エポスカード(Visa付) 利用付帯 200万円 270万円 永年無料
エポスゴールドカード 利用付帯 300万円 300万円 5,000円
年間50万円の利用または招待で永年無料
楽天カード 利用付帯 200万円 200万円 永年無料
楽天ゴールドカード 利用付帯 200万円 200万円 2,200円
楽天プレミアムカード 一部自動付帯・一部利用付帯 300万円(自動付帯) 300万円(自動付帯) 11,000円
dカード GOLD 自動付帯(出国前の決済で傷害死亡・後遺障害の額が変わる) 300万円 300万円 11,000円
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード 利用付帯 300万円 300万円 33,000円

三井住友カードのカード別保険金額一覧とdカード GOLDの保険案内は、傷害と疾病の治療費用を1行にまとめて表示しています。この場合、その金額は傷害と疾病の両方に適用されます。

手持ちのカードが今回の旅行で使えるかを見る3ステップ

  1. 上の表で付帯方式を見る。自動付帯なら補償は始まっているので、金額の章へ進む。決済で金額が変わる項目がある点は押さえておく
  2. 利用付帯なら「利用付帯を成立させる支払いは、カードごとに違う」の表で、対象になる支払いと、出国前・出国後のどちらが必要かを見る
  3. 出国前の決済が必要なら、その支払いを出発までにそのカードで済ませる

この手順で、旅行ごとに条件を満たせているかを確かめられます。詳しい補償額と家族の扱いは、そのあとの章で比べています。

比較表で治療費用を前に置いた理由

カード付帯保険の紹介では「最高◯◯万円」という数字が前に出ます。この10枚では、その数字は傷害死亡・後遺障害の最高額を指しています。

体調を崩して病院にかかったときや、けがをして治療を受けたときに効くのは治療費用のほうです。死亡・後遺障害の金額が大きくても、この2つが小さければ超えた分を自分で払うことになります。

10枚を治療費用で並べると、傷害治療費用は50万円から300万円まで6倍の開きがあります。死亡・後遺障害の最高額で並べたときとは順番が変わるカードもあります。年会費無料のエポスカード(Visa付)は疾病治療費用が270万円で、年会費11,000円のカードと大きくは変わりません。

まず確認するのは金額ではなく、保険が発動する条件

治療費用は比較表の前のほうに置きましたが、読む順番は逆です。最初に確認したいのは金額ではなく、その左にある付帯方式の列です。

ここが「利用付帯」のカードは、条件を満たす支払いをしていないと、金額の欄に何が書いてあっても補償が始まりません。

決済なしでも補償が始まるdカード GOLDと楽天プレミアムカードの2枚と、決済で金額が変わる項目を示した図
旅行代金を決済しなくても補償が始まる2枚と、決済の有無で金額が変わる補償項目

自動付帯と利用付帯の違い

自動付帯は、カード会員である期間中、旅行代金をそのカードで支払っていなくても補償が有効になる形です。利用付帯は、カード会社が定めた費用をそのカードで支払うことが、補償が有効になる条件になっている形です。

この10枚のうち、エポスカードとJCBは自動付帯から利用付帯へ条件を変えています。エポスカードは2023年10月1日以降に日本国内の住居を出発する旅行から、Visa付きのエポスカードとエポスゴールドカードを自動付帯から利用付帯に変更しました。

改定前は「カード利用の有無にかかわらず海外旅行傷害保険が適用されます」という条件でした。改定後は「旅行代金を対象カードにてお支払いいただくことで海外旅行傷害保険が適用されます」に変わっています。

JCBも2023年4月1日以降に出発する旅行から、対象カードの海外旅行傷害保険を利用付帯へ改定しました。JCBゴールドの付帯保険の冊子では、海外旅行傷害保険の見出しそのものが「海外旅行傷害保険(カード利用条件あり)」と書かれています。

一部自動付帯・一部利用付帯という3つ目の型

付帯方式は自動と利用の二択ではありません。同じカードの中で、補償項目ごとに扱いが分かれているものがあります。

楽天プレミアムカードがその例です。公式のご利用ガイドでは、傷害治療費用300万円、疾病治療費用300万円、賠償責任3,000万円、救援者費用200万円が自動付帯として記載されています。

一方、傷害死亡・後遺障害は自動付帯4,000万円と利用条件1,000万円を合わせて合計最高5,000万円です。携行品損害も自動付帯30万円と利用条件20万円を合わせて合計50万円という書き方になっています。

旅行代金を楽天プレミアムカードで支払わなくても治療費用は補償されます。ただ、死亡・後遺障害と携行品損害は満額になりません。「一部自動付帯」という表示だけを見て全項目が無条件だと考えると、実際の金額とずれます。

dカード GOLDも構造は近い形です。補償期間は「dカード GOLD会員として登録された日の翌日以降の会員期間」と定義されており、旅行代金の決済は補償の前提になっていません。

公式の案内には、日本出国前にdカード GOLDで海外旅行費用を支払ったかどうかで一部の保険金額が変わると書かれています。傷害死亡は条件を満たした場合が1億円、満たさない場合が5,000万円です。傷害後遺障害は条件を満たすと程度により400万円〜1億円、満たさない場合は200万円〜5,000万円になっています。

傷害・疾病治療費用300万円や賠償責任5,000万円は、この条件では変わりません。

10枚のうち、持っているだけで補償が始まるのは何枚か

10枚は2つに分かれます。旅行代金を決済しなくても補償が始まるカードが2枚、決済しなければどの補償も始まらないカードが8枚です。

前者はdカード GOLDと楽天プレミアムカードです。dカード GOLDの公式ページには「dカード GOLD/dカード PLATINUMでのお支払いなどの条件はございません」と書かれています。楽天プレミアムカードは、傷害治療費用・疾病治療費用・賠償責任・救援者費用が自動付帯です。

この2枚とも、決済の有無で金額が変わる項目があります。dカード GOLDは傷害死亡・後遺障害、楽天プレミアムカードは傷害死亡・後遺障害と携行品損害です。「全項目が完全に自動付帯」とは言えません。

残る8枚は、所定の旅行代金を対象カードで支払うことが補償開始の条件です。「海外旅行保険が付いているカード」という言い方は、多くの場合「条件を満たせば使える保険が付いている」という意味です。

利用付帯を成立させる支払いは、カードごとに違う

利用付帯だと分かったら、次は何を支払えば条件を満たすのかです。ここがカードによってかなり違います。同じ発行会社でも、カードによって条件が分かれている例があります。

公共交通乗用具と募集型企画旅行という2つの言葉

各社の条件に共通して出てくるのが、この2つの言葉です。

公共交通乗用具について、三井住友カードは根拠となる法令から説明しています。「日本国内においては、航空法、鉄道事業法、海上運送法、道路運送法に基づき、それぞれの事業を行う機関によって運行される航空機、電車、船舶、バス、タクシーなど」という定義です。

海外ではこれに準じる乗用具を指し、いずれもその旅行のために乗るものに限られます。

募集型企画旅行は、旅行業法第12条の3の規定に基づく標準旅行業約款の募集型企画旅行契約に規定されたものです。旅行会社が行き先・日程・交通機関・宿泊施設・旅行代金をあらかじめ決めて参加者を募集する形の旅行を指します。

JCBの説明では、会社の慰安旅行や業務出張のようにあらかじめ参加者が決まっている旅行は、募集型企画旅行に当たりません。自分で航空券とホテルを別々に手配した旅行も、募集型企画旅行ではありません。この違いが、次に説明するカードごとの差につながります。

航空券だけでは条件を満たさないカードがある

10枚それぞれの、条件を満たす支払いです。

カード 条件を満たす支払い
三井住友カード(NL)
三井住友カード ゴールド(NL)
公共交通乗用具(航空機・電車・船舶・タクシー・バス)の利用代金、または募集型企画旅行の旅行代金
JCBゴールド 搭乗する公共交通乗用具の料金、または参加する宿泊を伴う募集型企画旅行の料金(募集型企画旅行は日本出国前の利用に限る)
エポスカード(Visa付)
エポスゴールドカード
宿泊を伴う募集型企画旅行の代金、または公共交通乗用具の料金
楽天カード
楽天ゴールドカード
募集型企画旅行の料金のみ
楽天プレミアムカード 公共交通乗用具または募集型企画旅行の料金
dカード GOLD
(死亡・後遺障害の増額条件)
日本発着の国際線航空機、日本発着の国際線船舶、または本人が参加する募集型企画旅行の料金
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード 補償対象者が乗客として利用する公共交通乗用具の料金、または参加する募集型企画旅行の料金

目を引くのは楽天カードと楽天ゴールドカードです。

公式サイトには「保険が有効となるには、日本を出国する以前に『募集型企画旅行の料金』に該当する代金を利用条件のある楽天カードで支払っていることが条件となります。航空券のみのご購入は含まれません。」と書かれています。

ご利用ガイドにも「2020年10月1日より、ご利用条件が変更となりました。公共交通乗用具の利用では利用条件を満たさなくなります。」という記載があります。

個人で航空券とホテルを手配する旅行なら、楽天カードで航空券代を支払っても保険の条件は満たされません。同じ楽天カード株式会社が発行する楽天プレミアムカードは、公共交通乗用具の料金も条件の対象です。カード名が近くても条件は別物と考えたほうがよさそうです。

dカード GOLDの増額条件も範囲が限られます。公式の案内で対象になる例として挙がっているのは、渡航先への航空券や燃油サーチャージ料です。一方で「最寄りの空港から国際線が出発する空港までの航空券」は対象にならない例に入っています。

地方在住で国内線を乗り継ぐ場合、国内線の航空券代をdカード GOLDで支払っても増額の条件にはなりません。

エポスカードは逆に範囲が広めです。空港に向かう鉄道代金やリムジンバス・路線バスの乗車料金は「定期券利用も含む」と明記されています。

有料特急列車料金や空港に向かうタクシー代も対象で、海外で乗車した電車・バス・タクシーの料金も入ります。利用金額に下限はありません。

出国後の支払いで有効にできるカード、できないカード

もうひとつ差がつくのが、支払いのタイミングです。出国前に支払わなければ条件を満たせないカードと、出国後に現地で公共交通機関を使って支払っても条件を満たせるカードがあります。

カード 日本出国前の決済 日本出国後の決済
三井住友カード(NL) 対象 対象外
三井住友カード ゴールド(NL) 対象 対象外
JCBゴールド 対象 対象(公共交通乗用具の料金を初めて決済したとき)
エポスカード(Visa付) 対象 対象(公共交通乗用具のみ)
エポスゴールドカード 対象 対象(公共交通乗用具のみ)
楽天カード 対象 対象外
楽天ゴールドカード 対象 対象外
楽天プレミアムカード 対象 ご利用ガイドは「日本を出国する以前に」とだけ規定
dカード GOLD 増額条件は出国前のみ 増額条件としての規定なし
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード 対象 対象(公共交通乗用具の料金を初めて決済したとき)

日本出国前の決済だけが対象になるカードと、出国後の決済でも条件を満たせるカードを分けた図
出国前の決済か、出国後でもよいか

三井住友カードは、2025年10月16日以降に出発する旅行から出国後の決済条件を廃止しました。公式の改定案内では、従来の3つの条件のうち日本出国後のカード決済条件を廃止すると告知されています。

改定の対象は「2025年10月16日時点で海外旅行傷害保険が利用付帯である全カード」です。一覧には三井住友カード 一般(NL)と三井住友カード ゴールド(NL)が入っています。

改定前は、日本で何も決済しないまま出国しても、現地で電車やバスに乗ってカード決済すればその時点から補償が始まりました。改定後は、日本を出る前に条件を満たしていなければ、その旅行で保険が使えません。

JCBゴールドとエポスカード、セゾンプラチナ・アメックスは出国後の決済でも条件を満たせます。ただ、補償が始まるのは支払った時点からで、出発時にさかのぼるわけではありません。

JCBゴールドの付帯保険の冊子には、日本出国後に公共交通乗用具の料金の支払いにJCBゴールドを利用したときは、その利用時から補償が始まると書かれています。補償終了の限度は出国時から3か月後の午後12時までです。

エポスカードも同様で、出国後に支払った場合はエポスカードで支払った時から90日間が補償対象期間となります。いずれも旅行期間中に限られます。

条件に当てはまらない支払い

旅行に関係する支払いなら何でもよいわけではありません。各社が対象外として挙げているものを整理しました。

カード 公式が対象外として挙げているもの
JCBゴールド 電車・バスの定期券、回数券、自家用車のガソリン代金・高速道路料金・駐車場料金、国内外のレンタカー料金、海外旅行前に利用した宿泊施設の料金、個人で手配した宿泊施設の料金、空港利用税、ラウンジ利用代金、ビザ申請費用(ESTA申請料金)
エポスカード(Visa付)
エポスゴールドカード
個人で手配した宿泊料金、空港までのガソリン代金、高速道路料金、空港の駐車場代、空港使用料、国内・海外でのレンタカー使用料金、帰国後に乗車した公共交通機関の乗車料金
楽天カード
楽天ゴールドカード
募集型企画旅行に含まれない海外ツアー、航空券のみの購入、国内・海外の宿泊料金、空港利用税
楽天プレミアムカード 自家用車のガソリン代・高速道路料金・空港の駐車場料金、国内外のレンタカー利用料金、国内・海外の宿泊料金、空港利用税。出国後の決済も対象外
dカード GOLD 最寄りの空港から国際線が出発する空港までの航空券、出国空港利用税、航空券の発券手数料、超過手荷物料金、空港ラウンジの利用料
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード プリペイドカード・回数券・定期券購入費、空港使用料、航空券の発券手数料、航空券の消費税、ラウンジ利用料、レンタカー、ホテル宿泊代
三井住友カード(NL)
三井住友カード ゴールド(NL)
公式ページは対象になる支払いを2つ挙げる形で、対象外の一覧は掲載していない。Oliveフレキシブルペイのポイント払いモードでの利用は対象にならないと明記

注意したいのが定期券の扱いです。エポスカードは空港に向かう鉄道・バスについて定期券利用も対象と書いていますが、JCBとセゾンは定期券・回数券を対象外としています。

同じ「空港まで電車で行く」という行動でも、どのカードで、どんな券種を買ったかで結果が変わります。

宿泊料金については、今回の10枚のいずれも個人で手配した宿泊代だけでは条件を満たしません。楽天カードの公式ページには、海外出発前に空港近くに宿泊した料金も、海外でのホテル宿泊料金も対象外だと書かれています。理由は「企画旅行ではなく、手配旅行となるため」と説明されています。

支払い方法にも条件があります。三井住友カードの公式ページには、Oliveフレキシブルペイのポイント払いモードでの利用はカードご利用条件の対象にならないと書かれています。クレジット決済であることが前提です。

死亡・後遺障害の最高額より、治療費用を見る

ここから金額の話に入ります。その前に押さえておきたいことがあります。「最高1億円」という表示と「治療費用300万円」という表示は別の補償項目の金額で、大きい・小さいを直接比べられるものではありません。

海外旅行保険の「最高◯◯万円」が指す補償項目と、病院にかかったときの傷害治療費用・疾病治療費用が別の項目であることを示した図
「最高◯◯万円」は多くが傷害死亡・後遺障害の最高額。病院にかかったときに関係するのは治療費用

傷害治療費用と疾病治療費用

傷害治療費用は事故によるけがの治療にかかった費用、疾病治療費用は病気の治療にかかった費用です。海外の医療機関では健康保険証をその場で使えず、いったん全額を支払います。

帰国後に健康保険へ申請すれば、海外療養費として一部の払い戻しを受けられる制度があります。協会けんぽの案内では、支給の対象が日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られ、支給額も日本国内での治療費を基準に計算されます。現地の請求額との差は自分で負担します。

カード 傷害治療費用 疾病治療費用 限度額の単位と公式の表記
三井住友カード(NL) 50万円 50万円 カード別保険金額一覧では「傷害・疾病治療費用 50万円」と表示
三井住友カード ゴールド(NL) 100万円 100万円 カード別保険金額一覧では「傷害・疾病治療費用 100万円」と表示
JCBゴールド 300万円 300万円 限度額
エポスカード(Visa付) 200万円 270万円 傷害は1事故、疾病は1疾病の限度額
エポスゴールドカード 300万円 300万円 傷害は1事故、疾病は1疾病の限度額
楽天カード 200万円 200万円 傷害は1事故、疾病は1疾病の限度額
楽天ゴールドカード 200万円 200万円 傷害は1事故、疾病は1疾病の限度額
楽天プレミアムカード 300万円(自動付帯) 300万円(自動付帯) 保険金額
dカード GOLD 300万円 300万円 一事故/一疾病の限度額。保険案内では「傷害・疾病治療費用」と表示
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード 300万円 300万円 本会員/ファミリーカード会員

この表で目立つのは、年会費と金額が比例していない点です。年会費33,000円のセゾンプラチナ・アメックスと、条件を満たせば年会費が無料になるエポスゴールドカードは、傷害治療費用も疾病治療費用も同じ300万円です。年会費そのものの比べ方は年会費無料のクレジットカードを比較で扱っています。

一方で三井住友カード ゴールド(NL)は治療費用が各100万円で、年会費11,000円のJCBゴールドやdカード GOLDの300万円とは差が出ます。

エポスカード(Visa付)は、傷害治療費用200万円に対して疾病治療費用が270万円と、疾病のほうが高く設定されています。ほかの9枚は傷害と疾病が同額なので、この2つを分けた設定は特徴的です。

賠償責任・携行品損害・救援者費用

治療費用以外の項目も見ておきます。賠償責任は他人にけがをさせたり他人の物を壊したりしたときの補償です。携行品損害は自分の持ち物が壊れたり盗まれたりしたとき、救援者費用は入院や遭難のときに家族が現地へ向かう費用などを補償します。

カード 賠償責任 携行品損害 救援者費用
三井住友カード(NL) 2,000万円 15万円(1個1組1対につき10万円限度、免責3,000円) 100万円
三井住友カード ゴールド(NL) 2,500万円 20万円(1個1組1対につき10万円限度、免責3,000円) 150万円
JCBゴールド 1億円限度 50万円限度(1つあたり10万円限度、自己負担額1事故3,000円、年間100万円限度) 400万円限度
エポスカード(Visa付) 3,000万円(1事故の限度額・免責なし) 20万円(1旅行・保険期間中の限度額。1つあたり10万円程度、免責3,000円) 100万円(1旅行・保険期間中の限度額)
エポスゴールドカード 5,000万円(1事故の限度額・免責なし) 50万円(1旅行・保険期間中の限度額。1つあたり10万円程度、免責3,000円) 100万円(1旅行・保険期間中の限度額)
楽天カード 3,000万円(1事故の限度額・自己負担額なし) 補償無し 200万円(年間限度額)
楽天ゴールドカード 3,000万円(1事故の限度額・自己負担額なし) 20万円(年間限度額。1個・1組・1対あたり10万円限度、免責3,000円) 200万円(年間限度額)
楽天プレミアムカード 3,000万円(自動付帯) 合計50万円(自動付帯30万円+利用条件20万円。1個・1組・1対あたり10万円限度、免責3,000円) 200万円(自動付帯)
dカード GOLD 5,000万円(一事故の限度額) 最高50万円/盗難時30万円(年間限度額。1つあたり10万円限度、自己負担額3,000円) 500万円(年間限度額)
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード 5,000万円 50万円(保険期間中の限度。自己負担額3,000円、1品あたり10万円限度) 300万円

楽天カードの携行品損害は、公式のご利用ガイドに「補償無し」と明記されています。年会費永年無料で海外旅行保険が付く点は同じでも、カメラやパソコンの破損・盗難はこのカードの補償対象に入りません。

同じ楽天カード株式会社でも、楽天ゴールドカードは20万円、楽天プレミアムカードは合計50万円が設定されています。

携行品損害には免責金額、1個あたりの上限、そして年間または保険期間中の総額の上限があります。免責金額は自分で負担する分のことで、携行品損害があるカードではいずれも3,000円です。

1個あたりの上限は、携行品損害があるカードではいずれも10万円です。JCBゴールド、三井住友カード2枚、dカード GOLDの補償規定にも「携行品1つあたり10万円」と定められています。エポスカードは公式ページの表記が「携行品1つあたり10万円程度」です。

20万円のパソコンが壊れても、支払われるのは1個あたりの上限までです。

賠償責任は各社とも金額が大きく設定されています。エポスカードは免責なしと明記されており、金額の大小に加えて自己負担があるかどうかも見ておきたい部分です。

航空機の遅延と手荷物の遅延

飛行機が遅れて宿泊が必要になったときや、預けた荷物が届かず着替えを買ったときの費用を補償する特約があります。10枚のうち、公式の一覧に金額が載っているのは3枚です。

カード 内容
JCBゴールド 乗継遅延費用2万円限度、出航遅延費用等2万円限度、寄託手荷物遅延費用2万円限度、寄託手荷物紛失費用4万円限度
dカード GOLD 宿泊施設の客室料3万円、交通費または旅行サービス取消料1万円、食事代5,000円のいずれか高い金額を定額で支払う。手荷物遅延費用3万円(定額)
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード 乗継遅延費用3万円、出発遅延費用3万円、寄託手荷物遅延費用10万円、寄託手荷物紛失費用10万円

三井住友カード2枚、エポスカード2枚、楽天カード3枚は、公式の保険金額一覧やご利用ガイドに航空機遅延の補償項目が載っていません。遅延補償を重視するなら、この7枚については申し込む前にカード会社へ問い合わせておくと確実でしょう。

家族の補償は「家族カード」と「家族特約」で別物

家族で旅行するときに確認したいのが、家族が補償の対象になるかどうかです。ここには2つの制度があり、混同すると結果が変わります。

ひとつは家族カード会員です。本会員の申し込みで発行される追加カードを持つ家族が、本会員と同じ被保険者として扱われる形を指します。

もうひとつが家族特約で、カードを持っていない家族が補償の対象になる形です。子どもがカードを持たなくても補償されるのは、後者があるカードだけです。

家族カード会員と家族特約の違いを整理した図。カードを持たない家族が補償されるのは家族特約があるカードだけであることを示す
家族カード会員と家族特約は別物

家族特約があるカードと、その対象範囲

カード 家族特約 対象範囲
三井住友カード(NL) 公式の家族特約対象カードに含まれていない 該当なし
三井住友カード ゴールド(NL) 公式の家族特約対象カードに含まれていない 該当なし
JCBゴールド あり 本会員と生計を共にする家族で19歳未満の子
エポスカード(Visa付) なし 公式に「ご本人さまのみが対象です。ご家族は対象になりません。」と記載
エポスゴールドカード なし 同上
楽天カード なし 本会員が条件を満たせば家族カード保有者は補償の対象になる。カードを持たない子を対象とする家族特約はない
楽天ゴールドカード なし 同上
楽天プレミアムカード なし 同上
dカード GOLD あり 本会員と生計を共にする配偶者、19歳未満で同居の親族、19歳未満で別居の未婚の子
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード あり 本会員の配偶者、本会員または配偶者と生計をともにする同居の親族、本会員または配偶者と生計をともにする別居の未婚の子

三井住友カードの公式Q&Aは、家族特約が付帯されている個人カードを列挙しています。挙がっているのは「Visa Infinite(Oliveフレキシブルペイ含む)、プラチナ」です。

もうひとつの区分は「プラチナプリファード(Oliveフレキシブルペイ含む)」から「エグゼクティブ」までです。ここに「ゴールド(Oliveフレキシブルペイ、NL除く)、プライムゴールド、ヤングゴールド」が入ります。

ゴールドは「NL除く」と明記されており、ゴールド(NL)と一般(NL)は家族特約の対象に入っていません。カード別の保険金額一覧でも、家族特約の表が置かれているのは列挙されたカードだけです。

対象範囲の書き方はカードによって違います。家族特約があるJCBゴールドは、対象が19歳未満の子に限られ、配偶者は入っていません。

dカード GOLDは配偶者が年齢の条件なしで対象になり、そのほかは19歳未満という条件が付きます。セゾンプラチナ・アメックスは公式の補償規定に年齢の記載がなく、配偶者と、生計をともにする同居の親族、生計をともにする別居の未婚の子が対象と書かれています。

家族特約の保険金額は本会員と同じではない

家族特約があっても、金額は本会員と別に設定されています。

カード 傷害死亡・後遺障害 傷害治療費用 疾病治療費用 賠償責任 携行品損害 救援者費用
JCBゴールド 最高1,000万円 200万円限度 200万円限度 2,000万円限度 50万円限度 200万円限度
dカード GOLD 傷害死亡1,000万円/傷害後遺障害は程度により40万円〜1,000万円 50万円 50万円 1,000万円 15万円 50万円
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード 1,000万円 300万円 300万円 5,000万円 50万円 300万円

dカード GOLDは、本会員の傷害・疾病治療費用が300万円なのに対し、家族特約では50万円です。JCBゴールドも本会員300万円に対して家族特約200万円と差があります。

家族特約も利用条件の外にあるわけではありません。JCBゴールドの付帯保険の冊子では、海外旅行傷害保険の見出しが「カード利用条件あり」となっており、本会員・家族会員と家族特約対象者の金額が同じ表に並んでいます。

セゾンプラチナ・アメックスは家族特約でも治療費用が300万円で本会員と同額です。傷害死亡・後遺障害だけが1,000万円に下がります。

家族特約が「あり」と書かれていても、子どもが海外の病院にかかったときに使える金額はカードによって6倍の開きがあります。有無だけでは判断できない部分です。

家族カード会員の扱い

カード 家族カード会員の扱い
三井住友カード(NL)
三井住友カード ゴールド(NL)
本会員および家族会員が対象で、家族会員にも本会員と同じ補償が適用される
JCBゴールド 被保険者はJCBゴールド本会員・家族会員
エポスカード(Visa付)
エポスゴールドカード
公式保険ページで被保険者は「ご本人さまのみが対象」と記載
楽天カード
楽天ゴールドカード
本会員が家族カード保有者の旅行代金を支払った場合、家族カード保有者は保険適用対象
楽天プレミアムカード 自動付帯分と利用条件分で扱いが分かれる。家族カード会員への適用条件は楽天カード株式会社への確認が必要
dカード GOLD 補償の対象者は本会員・家族会員
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード 本会員/ファミリーカード会員が補償対象

家族の分の利用条件は誰が満たすのか

利用付帯のカードで家族も補償を受けたい場合、家族の旅行代金を誰のカードで支払えばよいのかが問題です。ここも公式の書き方が分かれます。

エポスカードは、代表者が旅行代金をまとめて支払うことで同伴者も保険適用になると説明しています。なお公式のQ&Aには「ご家族や旅行同行者がエポスカード(Visa付)・エポスゴールドカード会員に限ります」という条件が付いています。

つまり同伴者もそれぞれエポスカードを持っていることが前提です。なお、旅行代金を支払った会員が旅行に同行するかどうかは問わないとされています。

楽天カードは、まとめて支払った場合の適用範囲を公式ページで説明しています。支払った本人に加えて、そのカードに紐づく家族カードを持つ同伴者と、楽天カードを持つ同伴者全員に保険が適用されます。一方で、カードを持たない子の旅行代金を支払っても、その子は保険適用対象外だと明記されています。

JCBは2025年4月1日以降の旅行について、家族特約の適用条件を改定しました。それまでの条件では、本会員のカードで決済したときだけが家族特約の適用対象です。改定後は家族会員のカードで旅行代金などを支払った場合も家族特約の適用対象に入ります。

セゾンプラチナ・アメックスの補償規定は、支払う人ではなく支払う対象で条件を定めています。補償対象となる本会員・ファミリーカード会員および家族が、その旅行で自身が乗客として利用する公共交通乗用具の料金を、このカードで支払った場合に適用されます。参加する募集型企画旅行の料金でも同じです。

家族の分についても、その家族が利用する交通機関やツアーの料金をこのカードで支払っておく必要があります。

補償が始まる時点と、続く期間

保険がいつから始まり、いつまで続くのかも、カードによって定義が違います。

海外旅行保険の補償が始まる時点と終わる時点を3段階で示した図
補償が始まる時点と終わる時点

カード 公式が定める責任期間と開始条件 1回の旅行あたりの上限
三井住友カード(NL)
三井住友カード ゴールド(NL)
責任期間は旅行期間(住居を出発してから帰着するまでの間で、かつ日本出国日前日の午前0時から日本入国日翌日の午後12時までの間)中。カード利用条件を満たした時点以降が対象 最長3ヵ月(日本出国日から3ヵ月後の午後12時まで)
JCBゴールド 責任期間は海外旅行の目的をもって住居を出発してから帰着するまでの間で、かつ日本出国の前日午前0時から日本入国の翌日午後12時まで。ただし料金の支払いにJCBゴールドを利用した時以降に限る 出国前決済は日本出国時から3か月後の午後12時まで。出国後決済はその利用時から補償開始で、終了の限度は出国時から3か月後の午後12時まで
エポスカード(Visa付)
エポスゴールドカード
カード加入日の翌日以降に日本を出発する旅行で、かつクレジットカード利用以降の旅行期間が対象。出国前決済なら旅行開始期間から、出国後決済ならカードで支払った時から 出国前決済は旅行開始期間から90日間。出国後決済はカードで支払った時から90日間(いずれも旅行期間中)
楽天カード
楽天ゴールドカード
カード資格取引日(カードが使える状態になった日)の翌日から適用。補償期間は会員資格期間中に開始された旅行期間中で、利用条件を満たした旅行が対象 日本出国日から3か月後の午後12時まで
楽天プレミアムカード カード資格取引日の翌日から適用。自動付帯分は会員資格期間中に開始された旅行が対象。利用条件分は出国前に条件を満たした旅行が対象 日本出国日から3か月後の午後12時まで
dカード GOLD dカード GOLD会員として登録された日の翌日以降の会員期間。旅行期間は住居を出発した時から帰着するまでで、かつ日本を出国する日の前日午前0時から日本に入国した日の翌日午後12時までの間 日本国を出国した翌日から起算して90日目の午後12時00分まで
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード 出国前決済ならそれ以降の旅行期間。出国後決済なら初めて決済した時から 日本を出国した日から90日後の午後12時まで

三井住友カードとエポスカードは、いずれもカード加入日(カード発行日)の翌日以降に日本を出発する旅行が対象と定めています。申し込んだその日に出発する旅行には使えません。

混同しやすいのが「1回の旅行あたりの補償期間」と「保険契約そのものの期間」です。エポスゴールドカードの保険期間は、毎年10月1日から翌年9月30日までの期間で、かつエポスゴールドカード会員である期間と定義されています。

三井住友カードも、選べる無料保険の補償期間として補償選択締切(毎月20日)後翌月1日午前0時から1年間という期間を定めています。これらはプランや契約年度の話で、1回の旅行で補償される日数とは別の話です。

長期の滞在を考えている場合は、上限を超えた分が補償されない点に注意が要ります。留学やワーキングホリデーで3か月を超える滞在をするなら、超過分は別の手当てが必要です。

現地でその場で払わずに済むか、いったん立て替えるか

実際に海外で体調を崩したとき、その場でお金を払わずに済むかどうかは大きな違いです。ここについても、各社の案内には差があります。

カード 公式の案内
エポスカード(Visa付)
エポスゴールドカード
キャッシュレス・メディカルサービスあり
JCBゴールド 海外ホットラインで医療機関へのキャッシュレス治療の手配を行う
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード キャッシュレス治療サービスあり。キャッシュレス提携病院を利用する場合、病院への支払保証の連絡を行う
楽天カード
楽天ゴールドカード
楽天プレミアムカード
楽天損保の緊急医療アシスタンスサービスあり。サービスの費用は保険金の範囲内なら自己負担なしと記載
三井住友カード(NL)
三井住友カード ゴールド(NL)
緊急アシスタンスサービスあり。会員資格の確認が必要となるため、通院の場合などは一時的に費用の立替えを依頼する場合があると記載
dカード GOLD 「ご帰国後のお手続きとなり、現地の病院などではお立替えをお願いします」と記載

キャッシュレスの案内があるカードでも、使えるのは提携している医療機関に限られます。滞在先によっては対応した病院が見つからず、自分で払って帰国後に請求する流れになることもあります。

もうひとつ知っておきたいのが、サービスの費用が保険金額を超えた場合です。エポスカードの公式Q&Aには、緊急医療アシスタンスサービスの費用が保険金額を超える場合の扱いが書かれています。現地で超過分を負担すること、負担できない場合はサービスを受けられないことが明記されています。

楽天カードの公式ページにも同様の記載があります。サービスの費用が保険金額を超えたときや費用の一部が保険の対象にならないときは、その分と手数料を自己負担するとされています。

治療費用の上限が50万円のカードと300万円のカードでは、この超過が起きる金額の水準が6倍違います。金額の差は、補償される額の差であると同時に、現地で自分の財布から出す金額の差にも直結します。

補償されないもの

補償の対象外になるものも押さえておきたい部分です。エポスカードの公式Q&Aと保険のしおりには、次のように書かれています。

  • 持病による治療費用は保険金支払いの対象外。持病以外の治療費用は支払われる(一部対象外条件を除く)
  • 歯科疾病
  • 妊娠、出産、早産、流産およびこれらに基づく病気

持病がある人が海外で持病の治療を受けた場合、その費用はカード付帯の保険では補償されません。歯の痛みで現地の歯科にかかった場合も同じ扱いです。

この構造は各社の約款に共通して見られますが、細かい条件は保険会社と商品によって違います。どのカード会社も「実際の保険金お支払いの可否は普通保険約款および特約等に基づく」と明記しています。公式ページや冊子に書かれているのは概要で、判断の根拠は約款です。

事故の連絡にも期限があります。dカード GOLDの案内では、事故の起きた日を含めて30日以内に東京海上日動dカード保険デスクへ事故の内容を報告するよう求めています。

三井住友カードも、補償の対象となる事故が発生した場合は事故日より30日以内にVJ保険デスクへ連絡するよう案内しています。帰国してから落ち着いて手続きしようと考えていると、期限を過ぎることがあります。

カードを複数枚持っていると補償額は合算されるのか

2枚持っていれば補償額は倍になるのか。この疑問について、公式に説明しているカード会社があります。

クレジットカードを複数枚持っている場合に補償額が合算される項目と合算されない項目、および法人カードの例外を示した図
複数枚保有時に合算される項目と合算されない項目。法人カードとそれ以外は区分ごとに合計できる場合がある

エポスカードの公式ページには、傷害死亡・後遺障害保険金は保険金額が合算されず、最高保険金額が限度となり、各カードに付帯する保険金額に応じて按分されると書かれています。按分とは、複数のカードで支払う額を保険金額の割合で分け合うことです。それ以外の保険金は保険金額が合算され、各カードに付帯する保険金額に応じて按分されますが、支払い保険金は損害額が上限です。

なお、法人カードとそれ以外のカードでは、それぞれの最高保険金額の合計額が限度になるとされています。

楽天カード、JCB、三井住友カード、セゾンプラチナ・アメックスの公式資料にも同じ構造の記載があります。傷害死亡・後遺障害は複数枚のうち最も高い保険金額が限度で、各カードで按分されます。

JCBの解説ページは治療費用についても説明しています。治療費用は実際の損害額を条件とするため、1枚あたりの保険金額を超える損害でも他のカードから按分された保険金が支払われるとされています。

ここまでを整理すると、各社の説明では死亡・後遺障害は枚数を増やしても増えません。例外もあります。エポスカードの公式ページには「法人カードとそれ以外のカードの場合は、法人カードとそれ以外のカード各々の最高保険金額の合計額が限度となります」と書かれています。

ここでいう法人カードは、商品名に法人と付いているかどうかではありません。三井住友カードは同じ規定の中で「法人などがカード利用代金支払債務を負うもの」と定義しています。個人が支払うタイプのビジネスカードが同じ扱いになるとは限りません。

治療費用のように実際にかかった費用を補償する項目は、複数枚を合わせた範囲で実際の損害額まで支払われます。条件は商品と保険契約によって違うため、実際の扱いは引受保険会社の規定で確かめる必要があります。

三井住友カードにはもうひとつ条件があります。同社発行で同じ国際ブランドの利用付帯カードを複数枚持っている場合、最初に利用条件を満たした時点で、ほかの同一ブランドの利用付帯カードも条件を満たしたことになると案内されています。

dカード GOLDについては、複数カード保有時の扱いを各カードの保険規定と引受保険会社へ確認する必要があります。

治療費用が50万円のカードを2枚持つ場合と、300万円のカードを1枚持つ場合では、上限の考え方が変わります。枚数ではなく、それぞれの治療費用がいくらで、その旅行で利用条件を満たしているかどうかが実際の支払いを決めます。

年会費が無料になる条件と、無料で付く保険

年会費は最初の比較表に載せたとおりです。ここでは、無料になる条件の形が分かれる点だけ補足します。

該当カード 条件
最初から永年無料 三井住友カード(NL)、エポスカード(Visa付)、楽天カード 条件なし
利用額の達成で翌年以降無料 三井住友カード ゴールド(NL) 年間100万円の利用で翌年以降永年無料。通常の新規申込では初年度5,500円
アップグレード案内から切り替えると永年無料 三井住友カード ゴールド(NL) 対象カードを年間100万円利用した人へ届く案内メールから切り替える場合。利用条件と審査がある
利用額の達成または招待で無料 エポスゴールドカード 年間50万円の利用、またはエポスカードからの招待
入会経路で初年度だけ無料 JCBゴールド オンライン入会の場合のみ初年度無料

三井住友カード ゴールド(NL)へは2つの経路で入れます。通常の新規申込では初年度5,500円がかかり、年間100万円の利用で翌年以降の年会費が永年無料です。

もうひとつが、対象の三井住友カード(NL)などを年間100万円利用した人へ届くアップグレード案内から切り替える経路です。この案内メールから切り替えると年会費永年無料でゴールドへ変更できます。

案内の条件は3つあります。対象カードの年間利用金額が100万円以上、満18歳以上(高校生を除く)、メールサービスを受け取る設定にしていることです。切替えには審査があり、案内メール以外から申し込んだ場合は年会費永年無料になりません。

エポスゴールドカードも招待を受けているかどうかで前提が変わります。

カードに無料で付く保険と、別契約の保険

「無料で保険が付く」という言葉には、注意したい構造があります。

三井住友カードの海外旅行傷害保険は、「選べる無料保険」という仕組みの初期設定である旅行安心プランに含まれています。会員はこの初期設定を、スマホ安心プラン、弁護士安心プラン、ゴルフ安心プラン、日常生活安心プラン、ケガ安心プラン、持ち物安心プランなどへ変更できます。

裏を返すと、別のプランに変更していれば海外旅行傷害保険は適用されません。カードを持っていることと、旅行傷害保険を選んでいることは別の状態と言えます。この記事の数値は、初期設定のままの場合のものです。

カード付帯の保険とは別に、有料で加入する海外旅行保険を案内しているカード会社もあります。エポスカードは付帯保険のページで有料の海外旅行保険と海外旅行キャンセル保険を、JCBは会員限定の有料保険を案内しています。

これらは無料で付く保険とは別契約で、保険料がかかります。この記事の比較表には含めていません。

目的から選ぶときの整理

ここまでの内容を、旅行の形から逆算して整理します。カードを持つ目的は人それぞれなので、保険の条件から見た整理です。

旅行会社のパッケージツアーで行くことが多い場合

この10枚はいずれも募集型企画旅行の代金が利用条件の対象です。楽天カード・楽天ゴールドカードのように募集型企画旅行だけが対象のカードでも条件を満たせるので、選択肢は広く取れます。あとは治療費用と携行品損害の金額で比べる形です。

航空券とホテルを自分で手配する場合

楽天カードと楽天ゴールドカードは航空券だけでは条件を満たしません。dカード GOLDの増額条件も日本発着の国際線に限られており、地方から国内線で乗り継ぐ場合の国内線代は対象外です。

公共交通乗用具が広く対象になる三井住友カード、JCBゴールド、エポスカード、セゾンプラチナ・アメックスのほうが条件を満たしやすくなります。

出発前にカードで支払う機会がない場合

現地で公共交通機関を使って保険を有効にできるのは4枚です。JCBゴールド、エポスカード(Visa付)、エポスゴールドカード、セゾンプラチナ・アメックスが該当します。

三井住友カードは2025年10月16日以降に出発する旅行から出国後の決済条件がなくなっているため、この使い方はできません。

子どもを連れて行く場合

子どもがカードを持っていない前提なら、家族特約があるJCBゴールド、dカード GOLD、セゾンプラチナ・アメックスが候補に挙がります。家族特約の治療費用はdカード GOLDが50万円、JCBゴールドが200万円、セゾンプラチナ・アメックスが300万円と差があります。

治療費用を重視する場合

傷害治療費用・疾病治療費用がともに300万円なのは5枚です。JCBゴールド、エポスゴールドカード、楽天プレミアムカード、dカード GOLD、セゾンプラチナ・アメックスが該当します。このうちエポスゴールドカードは、年間50万円の利用または招待で年会費が永年無料です。

年会費をかけずに用意する場合

年会費永年無料の3枚では、エポスカード(Visa付)の傷害治療費用200万円・疾病治療費用270万円が最も高い水準です。楽天カードが各200万円、三井住友カード(NL)が各50万円と続きます。

三井住友カード(NL)を年間100万円使うと、ゴールド(NL)へ年会費永年無料で切り替えられる案内が届きます。この経路をたどれば、年会費をかけずに治療費用を各100万円へ上げる道もあります。

楽天カードは携行品損害が補償無しで、利用条件も募集型企画旅行に限られる点は押さえておきたいところです。

カード付帯の保険だけで足りるかを考えるとき

治療費用の上限を超えた分は自己負担です。渡航先の医療費の水準、滞在日数、持病の有無、同行する家族の人数によって必要な額は変わります。

持病の治療や歯科は対象外で、期間の上限も1回の旅行あたり3か月または90日です。このどれかに当てはまるなら、カード付帯の保険とは別に任意の海外旅行保険を検討する形になります。

実際にどれを選ぶかは、旅行の形と、すでに持っているカードとの組み合わせで変わります。1枚で足りない部分を、別の任意保険を組み合わせて埋めるという方法もあります。

申し込みを検討する場合は、公式サイトで最新の条件を見てから手続きしてください。

出発前にやっておきたい3つのこと

  • 手持ちのカードが利用付帯かどうかを調べる。利用付帯で、出国前の決済しか対象にならないカードなら、対象の支払いを出発までにそのカードで済ませておく
  • 旅行代金の明細は捨てずに保管しておく
  • 保険会社の緊急連絡先を控えておく

この3つを済ませておくと、現地で条件や連絡先を探す手間を省けます。

よくある質問

カードを持っているだけで海外旅行保険は使えますか

A. カードによります。この10枚のうち、旅行代金を決済しなくても補償が始まるのはdカード GOLDと楽天プレミアムカードの2枚です。その2枚も、決済の有無で金額が変わる項目を持っています。

残りの8枚は、条件を満たす支払いをしていないとどの補償も始まりません。エポスカードの公式Q&Aにも、エポスカード(Visa付)とエポスゴールドカードの海外旅行傷害保険は利用付帯だと明記されています。

空港までの電車代をカードで払えば条件を満たしますか

A. カードによります。エポスカードは空港に向かう鉄道代金を対象に挙げており、定期券利用も含むと明記しています。

JCBゴールドも空港に向かうための鉄道代金や新幹線などの有料特急列車代金を対象としていますが、定期券と回数券は対象外です。三井住友カードも公共交通乗用具の利用代金が対象に入ります。

楽天カードと楽天ゴールドカードは募集型企画旅行の料金だけが対象なので、電車代を払っても条件を満たしません。dカード GOLDの増額条件も日本発着の国際線に限られています。

ホテル代をカードで払えば保険は有効ですか

A. この10枚では、個人で手配した宿泊代だけでは条件を満たしません。JCBは個人で手配した宿泊施設の料金を対象外としており、エポスカードも個人で手配した宿泊料金を対象外に挙げています。

楽天カードは、海外出発前に空港近くに宿泊した料金も海外でのホテル宿泊料金も対象外とし、その理由を「企画旅行ではなく、手配旅行となるため」と説明しています。セゾンプラチナ・アメックスもホテル宿泊代を対象外に挙げています。

旅行会社のパッケージツアーに宿泊が含まれている場合は、そのツアー代金が募集型企画旅行の料金として条件を満たします。

「最高1億円」と書かれていれば治療費も1億円まで出ますか

A. 出ません。「最高◯◯万円」という表示は、多くの場合、傷害死亡・後遺障害の最高額です。

たとえばJCBゴールドは傷害死亡・後遺障害が最高1億円ですが、傷害治療費用と疾病治療費用はそれぞれ300万円限度になっています。dカード GOLDも傷害死亡が1億円になるのは日本出国前に海外旅行費用を決済した場合で、傷害・疾病治療費用は300万円です。

補償項目ごとに金額が設定されているので、項目と金額をセットで見る必要があります。

カードを2枚持てば補償額は2倍ですか

A. 補償項目によります。エポスカード、楽天カード、JCB、三井住友カード、セゾンプラチナ・アメックスの公式資料では、傷害死亡・後遺障害は合算されず、最も高い保険金額が限度になると説明されています。エポスカードと三井住友カードは、法人カードとそれ以外のカードを持っている場合、2つの区分それぞれの最高額を合わせた額が限度になるとしています。

治療費用のように実際にかかった費用を補償する項目は、複数のカードの保険金額を合わせた範囲で、実際の損害額を上限に支払われるとされています。dカード GOLDについては、複数カード保有時の扱いを各カードの保険規定と引受保険会社へ確かめる必要があります。

持病の治療も補償されますか

A. エポスカードの公式Q&Aでは、持病による治療費用は保険金支払いの対象外で、持病以外の治療費用は支払われる(一部対象外条件を除く)と説明されています。

保険のしおりには、歯科疾病や、妊娠・出産・早産・流産およびこれらに基づく病気も対象外として挙げられています。持病がある場合は、カード付帯の保険とは別に、既往症に対応した任意の海外旅行保険を検討する形です。

長期の滞在でも最後まで補償されますか

A. 上限を超えた分は補償されません。1回の旅行あたりの上限は、三井住友カードとJCBゴールド、楽天カード3枚が3か月です。エポスカードとdカード GOLD、セゾンプラチナ・アメックスは90日と定めています。

起算点はカードと支払いのタイミングで変わります。エポスカードは出国前に支払えば旅行開始から90日間、出国後に支払えばその支払いの時から90日間です。

上限を過ぎた分は補償の対象外です。留学やワーキングホリデーのように長期の滞在を予定している場合は、別の保険で期間を埋める必要があります。

家族カードを持っている家族も補償されますか

A. カードによって扱いが分かれます。三井住友カード、JCBゴールド、dカード GOLD、セゾンプラチナ・アメックスでは、家族会員も被保険者に含まれています。

楽天カードでは、本会員が家族カード保有者の旅行代金を支払った場合に家族カード保有者が保険適用対象に入ります。エポスカードは、公式の保険ページで被保険者を「ご本人さまのみが対象」としています。

現地で病院にかかったら、まず何をすればいいですか

A. 各社とも、まず保険会社の緊急連絡先へ連絡するよう案内しています。エポスカードはエポスカード海外旅行保険事故受付センター、楽天カードは楽天カード株式会社保険デスク、三井住友カードはVJ保険デスクが窓口です。

エポスカードの保険のしおりには、キャッシュレスで受診するなら「病院へ行かれる前に必ず最寄りの事故受付センターへご連絡ください」と書かれています。自分で立て替えた場合は、治療を受けた医師・病院で診断書と治療領収書を受け取っておく必要があります。

事故の連絡はいつまでにすればいいですか

A. dカード GOLDは事故の起きた日を含めて30日以内に事故の内容を報告するよう案内しています。三井住友カードは事故日より30日以内にVJ保険デスクへ連絡するよう案内しています。

これは事故連絡の期限であり、すべてのカードに共通する保険金請求の完了期限ではありません。実際の書類提出や請求手続きは、事故を受け付けたあとに各引受保険会社の案内に従って進めます。

必要書類は保険金の種類で変わります。楽天カードの公式ページには、傷害・疾病治療費用なら医師の診断書と治療費明細書・領収書、携行品損害なら損害証明書と写真、購入時の価格・購入先を示す書類などが挙げられています。

日本を出国したあとでも保険を有効にできますか

A. 4枚は出発後でも条件を満たせます。JCBゴールド、エポスカード(Visa付)、エポスゴールドカード、セゾンプラチナ・アメックスです。日本出国後に公共交通乗用具の料金を初めてそのカードで支払えば条件を満たします。

補償が始まるのは支払った時点からで、出発時にさかのぼりません。三井住友カードは2025年10月16日以降に出発する旅行から、この条件が廃止されています。楽天カードと楽天ゴールドカードも、出国後に決済した海外ツアーは対象外です。

まとめ

海外旅行保険付きクレジットカード10枚を、保険が発動する条件と補償の中身で比べてきました。要点は次のとおりです。

  • 10枚のうち、旅行代金を決済しなくても補償が始まるのはdカード GOLDと楽天プレミアムカードの2枚。その2枚も決済の有無で金額が変わる項目を持っている
  • エポスカード、楽天カード、JCB、三井住友カード、セゾンプラチナ・アメックスは、複数枚持っても傷害死亡・後遺障害を合算しないと案内している。エポスカードと三井住友カードは、法人カードとそれ以外のカードでは区分ごとの最高額を合わせた額が限度になるとしている
  • 利用付帯を成立させる支払いはカードごとに違う。楽天カードと楽天ゴールドカードは募集型企画旅行だけが対象で、航空券だけでは条件を満たさない
  • 三井住友カードは2025年10月16日以降に出発する旅行から、日本出国後の決済条件を廃止した。出発前にカードで支払いを済ませておく必要がある
  • 「最高◯◯万円」は多くの場合、傷害死亡・後遺障害の金額を指している。傷害治療費用は50万円から300万円まで開きがある
  • カードを持たない家族が補償されるのは家族特約があるJCBゴールド、dカード GOLD、セゾンプラチナ・アメックスの3枚。家族特約の治療費用も50万円から300万円まで差がある

次にやることは、手持ちのカードの公式ページで付帯方式を調べることです。利用付帯だった場合は、どの支払いが対象になるかを見たうえで、出発前にその支払いをそのカードで済ませておいてください。

旅行代金の明細と保険会社の緊急連絡先も、出発前に手元にそろえておくと安心です。

カード選びをもう少し広い視点で考えたい場合は、次の記事もどうぞ。

この記事の年会費・補償内容・適用条件は2026年8月1日時点で各カード会社が公表している内容です。条件は変更されることがあるため、申し込み前に公式サイトで最新の内容をご覧ください。

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