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土屋HDが木造4階建て共同住宅の販売を本格化

道産カラマツの集成材で木造4階建ての共同住宅を建設

 土屋ホールディングス(本社・札幌市、土屋昌三社長)が、木造4階建て共同住宅の販売を2月から本格的にスタートする。木造建築ならではの特徴に加え、減価償却期間がRC造と同じ47年で、融資や利回りも有利と話題だ。

 土屋HDは、約10年にわたり木造共同住宅の性能強化事業を展開してきた。2016年には、一般住宅で培ったZEH(ゼッチ、ゼロ・エネルギー・ハウス)技術や燃料電池、太陽光発電、地中ヒートポンプなどを導入した環境負荷の少ない省エネ賃貸住宅を発表している。

 また、脱炭素社会の実現に向けて中高層木造建築にも着手。持続可能な社会の構築のために掲げた「TSUCHIYA未来チャレンジ2022」の第1弾として、22年には道内初となる木造4階建て賃貸住宅「LAPEACE(ラピス)」を発表している。 

 ラピスは、主要建材に道産カラマツの集成材を使用し、接合部や柱脚をボルトで強化。コンクリートよりはるかに軽量で基礎工事費を抑えられるほか、工期の短縮や運搬資材量の削減により、集合住宅の主流となっている鉄骨造やRC造に比べて、建築費を10%以上抑制できる。

 また、資材製造や運搬時、建設時に発生する温室効果ガス排出量は、RC造と比較して51%削減。国が推奨するZEHの基準も満たしており、冷暖房エネルギーも50%以上削減。木造の調湿効果によって建物の長寿命化も実現している。

 さらに大きな特徴となっているのが、減価償却期間がRC造と同様の47年に認定されていること。木造建築物の減価償却期間は22年が通常で、融資条件や賃貸経営の利回りなどで大きなメリットとなる。認定を受けているのは国内で同社と大手ハウスメーカーの2社のみ。 

 こうした先進的な技術力が認められ、23年11月には土屋HDを代表企業とし、土屋ホーム(札幌市)、グローカルデザイン(札幌市)、北海道アセットマネジメント(札幌市)の4社で構成したコンソーシアム(企業連合)が恵庭市営住宅恵央団地PFI建替事業を受託した。

 恵庭市恵央町の約1万2000平方㍍の敷地に木造4階建て60戸の中層棟1棟と、各4戸の平屋5棟を建設、25年に完成予定だ。

 公営住宅を手掛けるのは同社初だが、今後は低コスト公営住宅の新しいビジネスモデルとしての展開も視野に入れている。

 大吉智浩土屋HD副社長は「建築費を抑制できるほか、脱炭素などの環境性能も高い。入居者の光熱費を抑えることができるのも大きなメリットとなります。道内には老朽化が進んでいる公営住宅が多く、各自治体の皆さんにも積極的に訴求していきたい」と意気込んでいる。

 

約1万2000平方㍍の恵央団地(恵庭市)
道内初の木造4階建て賃貸住宅「ラピス菊水」
集成材の接合部や主脚をボルトで強化