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快進撃を続けるIT企業「インプル」の大きな挑戦

西嶋 裕二
にしじま・ゆうじ/1973年札幌市生まれ。ソフトフロントホールディングス、コネクトテクノロジーズ(現:ジー・スリーホールディングス)で金融機関向けモバイルアプリ開発事業に携わり、2011年インプルを設立。F&PジャパンCTO。22年9月より一般社団法人「北海道モバイルコンテンツ・ビジネス協議会」会長。

先進技術を駆使したITテックカンパニーとして、IPOを目指す「インプル」(本社・札幌市)が急成長を遂げている。IT業界の発展にも尽力する西嶋裕二社長に、快進撃の原動力と今後の展望を聞いた。

優秀なエンジニアが集まる好循環

――事業内容は。

西嶋 スマートフォンのアプリ・システム開発を得意としています。例えば、大手ショッピングサイトにおけるショッピングカートのシステムを手がけたほか、金融機関の残高照会アプリの製作なども担っています。国内大手の大企業との取り引きも増えてきました。

――先進技術を積極的に取り入れていますね。

西嶋 当社は新しい技術に特化したIT企業を目指しています。一例としては、アプリ開発の生産性を高める「ReactNaitive」というフレームワークを業界に先駆けて研究してきました。これまではiPhone用、Android用に別々のアプリを開発する必要がありましたが、「ReactNaitive」は互換性のある1つの言語コードで開発でき、開発コストを半減できます。
この技術を扱える企業はまだ少ないこともあり、多分野から依頼をいただいていますが、これもやがては過去の技術になります。日進月歩のIT業界で、常に最新技術に対応することは容易ではありません。言わば下りのエスカレーターを上っている感覚です。普通に上れば現状維持がやっとで、モタモタしているとあっという間に衰退してしまう。だからこそ大きなビジネスチャンスがあると考えています。特定の技術で先駆者になることもできますし、技術力次第で後発企業でも大手に勝つこともできる。当社が先進技術にこだわる理由はここにあります。

――最新の技術を学べる環境は、採用面においてもプラスに働きそうですね。

西嶋 給与や待遇はもちろん大切ですが、エンジニアにとって最も重要なポイントは、個人のキャリア形成です。つまりは、どんな仕事をしてきたのかという〝トラックレコード〟づくりにあります。例えば「React」のスキルを持つエンジニアは現在引く手あまたであり、業務で先進技術に触れられる・学べる職場環境を築くことができれば、成長志向の優秀なエンジニアが集まってくれるのです。

――4月に11人の新卒者が入社したようですね。

西嶋 社員数は100人を超えました。当社のようなIT企業は、エンジニアが増えれば増えるほど、大きな仕事を受けられるようになります。当然、エンジニアにとって魅力的な仕事が増えていけば、より優秀な人材を獲得しやすくなります。当社はこうした好循環で成長速度を上げており、直近5年の年平均成長率(CAGR)は60%を超えています。

――今後のビジョンは。

西嶋 まずは3年後のIPOを目指し、準備を進めています。企業間取り引きにおいて重視されるのは、やはり信用力であり、より大きなプロジェクトのオファーを獲得するため、そして会社としてのさらなる成長のため、IPOを目指す道を選びました。
また、資金調達の面でもIPOにはメリットがあります。そこで人材採用の予算も増やしていき、社員数も200人、300人、400……とスピード感を持って拡大させていく方針です。将来的には、先進技術に特化した日本でナンバーワンのテック企業となることが私の目標です。

――大きな挑戦となりますね。

西嶋 会社を立ちあげた時から、せっかく経営者になるのなら大きな会社に成長させたい、依頼してくれたお客様にとっても、働いてくれるエンジニアにとっても喜ばれる会社にしたい、と事業にまい進してきました。今もその理想が私を突き動かしています。良い会社には、素晴らしい仕事が集まります。当社に入社してくれたエンジニアが、ワクワクできる面白い仕事に携わる機会をどんどん増やしていきたいですね。

サッポロバレーの復活にも尽力

――昨年、「北海道モバイルコンテンツ・ビジネス協議会」の会長に就任されました。

西嶋 新たなモバイルコンテンツビジネスの創出を支援する目的で2010年に誕生した団体で、道内のIT企業が中心となって業界の発展に力を注いでいます。かつて札幌はIT企業の集積地として「サッポロバレー」と呼ばれ、数多くのITベンチャー企業を輩出しました。私もサッポロバレーで誕生したベンチャー企業で20代を過ごし、多くの影響を受けました。
サッポロバレー出身者として、再びこの札幌をIT企業が集まる都市として復活させ、かつてのような活気を取り戻すことも私に課せられた使命だと捉えています。そしてサッポロバレーを復活させることが、私を育ててくれた札幌、ひいては北海道への恩返しになると考えています。今後も札幌市や北海道、総務省や経済産業省などとも連携し、IT業界を盛り上げていきます。