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若手採用やDX化を実践。独自サービスで好調 丸喜運輸が50周年。顧客と 社員重視で成長

トラックは約60台が稼働。自社保有のレンタル資材を現場へ輸送し、帰りに産業廃棄物をリサイクルステーションへ運ぶ

丸喜運輸(本社・札幌市東区、工藤賢一社長)は1973年に建設資材の輸送業として設立した。現在は建設現場周辺のワンストップサービスを提供している。50周年を迎え、好調な経営を続ける同社の工藤社長に経営戦略を聞いた。

新卒採用と育成、働き方改革も実現

――現在の事業内容は。

工藤 私の父である先代が1973年に創業し、2023年で50周年を迎えました。当初は建設資材の運送を行っていましたが、私が入社してからは、97年に仮設資材のレンタル事業、99年に産業廃棄物処分事業と新規事業に参入しました。
現在は建設現場の周辺事業をワンストップで担っています。ほかにも、仮設計画やイベント会場設営、揚重サービスなど、現場に関わるさまざまな業務を行っています。

――事業多角化の背景は。

工藤 私が入社した92年は、バブル経済崩壊が日本を襲い、業界を問わず企業の倒産や事業縮小が相次ぎました。前職の経験もあり客観的な視点から、今までとは違うやり方が求められていると、大きな危機感を感じていました。
そこで目を付けたのが、資材のレンタルや輸送、廃棄物処理などの業者をそれぞれ手配する非効率的な建設現場の現状です。これらの業務をまとめて受注することで、発注者の手間や時間、コストの削減に貢献できると考えました。 

――21年導入の自社アプリ「MaRu」(まーる)について教えてください。

工藤 お客様が24時間いつでもご注文できるアプリです。電話とファクスによるアナログの受注作業から移行し、DX化を実現したことで、お客様の業務効率化や利便性の向上に貢献しました。
トラックを増やすような売り上げ増に直結する投資ではありませんが、時代に即した働き方の実現に加え、サービス品質や顧客満足度の向上につながります。

――働き方改革にもつながった。

工藤 社内のミス防止や労働時間削減も実現しました。例えば、配車計画は1人の社員が職人技で行っていましたが、車両の稼働率や移動時間、配達件数などのデータ化と分業化で、配車業務の負担軽減につなげました。
また、ドライバーは地図や担当者名、連絡先などの情報をスマートフォンでまとめて確認できます。この結果、22年12月には国土交通省が定める「働きやすい職場認証制度」の認証を取得しています。

――人材の採用・育成にも力を入れています。

工藤 即戦力が求められるために、未経験者や若手の就職が難しい業界ですが、16年から新卒採用を開始し、育成にも注力しています。大型免許などの資格取得費用を貸与し、2年間の勤務継続で返済が不要となる制度を設けています。
また、3年間の研修プログラム策定や外部の専門家によるキャリアコンサルティングの実施、評価基準とキャリアステップの〝見える化〟に加え、社内の専任担当者が一人前になるまでサポートします。
地方から移り住む新卒者に向けて、住居支援や各種手当といった福利厚生の充実も図りました。若手や女性社員も定着しています。

――環境への取り組みを教えてください。

工藤 04年に環境マネジメントシステムの認証を取得しました。産業廃棄物のリサイクルやCO2削減に直結する立場であることから、環境負荷の軽減にも積極的に取り組んでいます。今後もトラックのEV化など、業界全体で大きな変化が予想されます。〝半歩先〟を予想し、敏感に対応していきます。

変化に対応する強い企業体質で

――今後の展開は。

工藤 社会が大きな変革期を迎えており、物流の在り方の正解は誰にもわかりません。しかし、いつの時代もなくてはならないのが運送業です。時代の変化を先取りし、柔軟な投資や経営戦略で対応する「強い体質」を持った企業になることが必要です。
お客様や地域社会、社員など、ステークホルダーのニーズに堅実に応えることが第一です。今後もDXなどによる業務効率化やSDGs、働きやすい環境の整備などをいち早く取り組んでいきます。

工藤 賢一社長(くどう・けんいち)1964年札幌市生まれ。北海道東海大学芸術工学部建築学科を卒業。伊藤組土建を経て、丸喜運輸に入社。2004年から現職。
新卒採用も積極的に行い、19歳から70代まで約120人が活躍
女性ドライバーが活躍