ファクタリングは違法?2026年最新情報をFPが徹底解説

「ファクタリングは違法だ」

そんな書き込みを見て、ドキッとした経験はありませんか?

資金繰りに詰まった状態で調べていると、こういう一文が目に留まり、余計に気になったりするものですよね。

「ファクタリングを使いたいのに、使っていいのかわからない」

ファクタリングに関する情報は錯綜しているように見えますが、答え自体はそれほど複雑ではありません。

結論を先に言えば、事業者向けの正規のファクタリングは合法です。

「売掛金を期日前に買い取ってもらう」この取引の構造そのものは、金融庁も問題視していないのです。

ただ、「ファクタリング」という名前がついていれば何でも安全、とはなりません。

契約の中身が実質的に「お金の貸し借り」と判断された場合、貸金業の規制が適用されます。

実際、給与ファクタリングについては、最高裁がすでに「貸付けにあたる」と判断を下しています。

では、合法と違法の境界線はどこにあるのか。悪質な業者はどう見分けるのか

まず、金融庁の公式見解と最高裁の判断から確認していきましょう。

目次

ファクタリングは違法なのか?最初に結論をお伝えします

まず合法性について、三つのポイントから整理します。

①通常の事業者向けファクタリングは違法ではない

ファクタリングは、事業者が持っている売掛債権をファクタリング会社に売却して資金を得る取引です。

法律上は「債権譲渡契約」にあたり、金融庁もこの取引を「法的には債権の売買(債権譲渡)契約」と位置づけています。

銀行からの借入れとは性質がまったく異なるため、貸金業法の規制対象にはなりません。

金融庁は「ファクタリング全般を規制する法律はない」とも明言しています。

民法466条で債権の譲渡は原則として自由に認められており、事業者間で売掛債権を売買すること自体はまったく問題のない取引です。

②ただし、実態が貸付けなら話は別

注意が必要なのは、「ファクタリング」と名乗っていても、取引の中身が実質的に金銭の貸付けと同じ機能を果たしているケースです。

売掛金が回収できなかった場合に利用者が買い戻す義務を負わされたり、自己資金で補填しなければならないような契約は、形式上はファクタリングでも実態は融資と変わりません。

金融庁も「経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるものは、貸金業に該当するおそれがある」と警告しています。

こうしたケースでは貸金業の登録が必要となり、無登録での営業は刑事罰の対象になります。

③給与ファクタリングは貸金業に該当する

個人の給与(賃金債権)を対象とした「給与ファクタリング」については、金融庁が「貸金業に該当する」との法令解釈を示しており、最高裁も2023年2月20日の決定で貸金業法・出資法上の「貸付け」にあたると判断しています。

労働基準法の「賃金の直接払い」原則があるため、業者は結局のところ個人から回収するしかなく、構造的に「返済合意のある金銭の交付」と同じだと見なされたのです。

給与ファクタリングを無登録で行えば出資法違反・貸金業法違反となり、実際に逮捕・有罪判決に至った事件も複数あります。個人の方は絶対に利用しないでください。

そもそもファクタリングってどんな仕組み?基本をおさらい

売掛金を早期に現金化する「債権の売買」

ファクタリングとは、企業や個人事業主が取引先に対して持っている売掛金(まだ入金されていない代金)を、支払期日より前にファクタリング会社へ売却し、手数料を差し引いた金額を先に受け取る資金調達の方法です。

ここで押さえておきたいのは、ファクタリングが「借入れ」ではなく「債権の売買」であるという点。銀行融資のように返済義務が発生するわけではなく、あくまで自社が保有する債権を売却して現金化する仕組みです。

融資との違いを整理すると、次のようになります。

このように、ファクタリングと融資はそもそもの契約形態が異なります。

ファクタリングでは「売掛先がきちんと代金を支払えるか」が審査の中心になるため、自社の業績が一時的に落ち込んでいても利用しやすいというメリットがあります。

2社間と3社間ファクタリングの違いを比較

ファクタリングには大きく分けて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の二つの形態があります。

どちらを選ぶかで手数料やスピード、取引先への影響が変わるため、違いをしっかり把握しておきましょう。

2社間ファクタリング

利用者とファクタリング会社の2者間で契約し、契約時点では売掛先への通知や承諾を取らない形が一般的です。

ただし、債権譲渡の対抗要件や回収局面では、債務者への通知、債務者の承諾、債権譲渡登記などの確認が別途必要になります。

最大のメリットは、取引先に知られずに資金調達ができること。

「資金繰りが厳しいのでは」と思われるリスクを避けたい場合に適しています。最短即日で入金されるケースもあり、急ぎの資金ニーズにも対応しやすいというメリットがあります。

一方で、ファクタリング会社にとっては売掛金の回収を利用者に任せる形になるため、未回収リスクが高くなります。その分、手数料は3社間に比べて高めに設定されるのが一般的です。

3社間ファクタリング

利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者が関与する方式です。

売掛先がファクタリング会社へ直接支払うため、実務上は売掛先の承諾を得て進めることが多く、法律上の対抗要件としては債務者への通知または債務者の承諾が基本になります。

ファクタリング会社の回収リスクが低くなる分、手数料が安く抑えられるのが最大のメリット。ただし、取引先に資金調達の事実が知られること、承諾を得るまでに時間がかかることはデメリットとして挙げられます。

両者の違いをまとめると、次のとおりです。

比較項目 2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
取引先への関与 契約時点では原則なし(対抗要件は別途確認) 売掛先の関与あり(実務上は承諾を得ることが多い)
資金化までの期間 最短即日〜数日 数日〜2週間程度
手数料の目安 8〜18%程度 2〜9%程度
回収方法 利用者が売掛先から回収し、ファクタリング会社に支払い 売掛先がファクタリング会社に直接支払い
秘密性 高い(取引先に知られない) 低い(取引先に知られる)

2社間は「スピードと秘密性」を重視する方に、3社間は「手数料の安さ」を重視する方に向いています。

ただし、2社間ファクタリングは構造上、架空債権や二重譲渡といった不正が起きやすい面もあるため、契約内容の確認がより重要になります。

手数料の相場はどれくらい?2社間・3社間それぞれの目安

ファクタリングの手数料は業者ごとに異なりますが、おおよその相場は次のとおりです。

  • 2社間ファクタリング:8〜18%程度
  • 3社間ファクタリング:2〜9%程度

2社間のほうが手数料が高いのは、先述のとおりファクタリング会社が負う回収リスクが大きいためです。

売掛先の信用力や取引の規模、支払期日までの期間などによっても上下します。

注意すべきなのは、相場から大きく外れた手数料を提示してくる業者です。手数料が20〜30%台に及ぶ場合は、相場から外れている可能性が高く、契約全体の確認が必要になります。

ただし、真正な債権売買である限り、手数料が高いという理由だけで直ちに違法になるわけではありません。

買戻し義務、償還請求、担保・保証、分割返済などにより実態が貸付けと評価される場合には、利息制限法や出資法の上限金利が問題になります。

一方、「手数料1%以下」「審査なし」といった条件を掲げている業者にも警戒が必要です。

極端に安い手数料で誘い込み、あとから事務手数料や調査費用などの名目で追加コストを請求したり、不当な契約を結ばせたりするケースが報告されています。

なお、ファクタリングの手数料には法律上の上限が定められていません。

ファクタリングが「債権の売買」であり「貸付け」ではないためです。ただし、取引の実態が貸付けと判断された場合には利息制限法や出資法の上限金利が適用されるため、「法的上限がないから何でもあり」というわけではありません。

ファクタリングが合法といえる3つの法的根拠

「ファクタリングは本当に合法なのか?」と不安に思う方のために、法的に認められている根拠を三つの観点から整理します。

民法466条 債権は原則として自由に譲渡できる

ファクタリングの法的根拠の土台となるのが、民法466条1項です。

「債権は、譲り渡すことができる」と定められており、事業者が保有する売掛債権を第三者に譲渡(売却)することは法律上まったく問題ありません。

取引先から受け取る予定の売掛金という「債権」を、ファクタリング会社に売って現金を得る行為は、民法が正面から認めている取引です。

ファクタリングが「グレーゾーンの取引」と思われがちですが、法律の世界ではごく当たり前の債権譲渡の一形態にすぎません。

2020年の民法改正で譲渡制限特約付きの債権も譲渡可能に

2020年4月1日に施行された改正民法は、ファクタリングの利用環境をさらに前進させました。

改正前は、取引先との契約に「債権の譲渡を禁止する」特約(いわゆる譲渡禁止特約)が付いていると、その債権を第三者に譲渡しても無効とされるケースがありました。

この制度が中小企業の資金調達を妨げる一因になっていたのです。

改正後の民法466条2項では、たとえ当事者間で債権譲渡を制限する合意があっても、「債権の譲渡はその効力を妨げられない」と明記されました。

これにより、譲渡制限特約が付いた売掛債権でもファクタリングに利用できるようになり、中小企業にとって資金調達の選択肢が広がっています。

なお、この改正では売掛先(債務者)の利益も保護されており、一定の場面では従来の相手に支払うことや供託による対応が認められます。

譲渡制限特約がある債権をファクタリングに利用する場合は、債務者への通知または承諾、債権譲渡登記、取引基本契約上のリスクを事前に確認しておく必要があります。

国も売掛債権の活用を推進している

売掛債権を使った資金調達は、国としても推進している施策のひとつです。

中小企業庁は、不動産担保に過度に依存しない資金調達の実現を目指して「流動資産担保融資保証制度」を運用しており、売掛債権を担保とした借入れについて信用保証協会の保証が受けられる仕組みを整えています。

一点、注意しておきたいことがあります。

ネット上では「経済産業省がファクタリングを推奨している」と書かれた記事を目にしますが、これは正確ではありません。

国が推進しているのはあくまでも「売掛債権の利用促進」や「債権流動化全般」であり、ファクタリング(債権売買)を名指しで推奨する公式文書は確認されていません。「国の施策として売掛債権の活用が後押しされている」という理解が正しい表現です。

こんなファクタリングは違法になる 危険な3つのパターン

ファクタリングそのものは合法でも、やり方次第では違法になるケースがあります。特に注意すべき三つの違法パターンを、具体的に解説します。

偽装ファクタリング(実態は高金利の貸付け)

最も被害が多いのが、ファクタリングを装った実質的な高金利の貸付け、いわゆる「偽装ファクタリング」です。

金融庁はこれを大きく二つのタイプに分けて注意喚起しています。

一つ目は、最初から貸金目的のヤミ金融業者が「ファクタリング」の看板を掲げて営業しているケース。

二つ目は、取引の形式はファクタリングでも、契約の経済的な実態が貸付けと同じ機能を果たしているケースです。

金融庁が示している、「実態は貸付け」と判断される典型的なパターンは次のとおりです。

  • 売掛金が回収できなかった場合に、利用者が債権を買い戻す義務を負わされている
  • 売掛先が支払わなかった場合に、利用者が自分の資金で補填しなければならない契約になっている
  • ファクタリング会社から受け取る買取代金が、売掛金の額面に比べて著しく低い

実際に確認されている悪質な手口としては、以下のようなものがあります。

  • 最初は低い手数料を提示しておいて、契約後に大幅に引き上げる
  • 名目上の手数料とは別に、事務手数料・調査費用・保証料などを上乗せする
  • 「ジャンプ」と呼ばれる手口で、元金を据え置いたまま手数料名目の利息だけを何度も支払わせる
  • 分割払いを認める(分割払い=利子の発生=金銭貸付とみなされる)

こうした偽装ファクタリングが貸金業に該当すると判断された場合、業者側には重い刑事罰が科されます。

無登録での貸金業営業は貸金業法違反、年20%超の利息は出資法違反にあたり、年109.5%を超える金利での契約はそもそも契約自体が無効です。

給与ファクタリングは貸金業にあたる

給与ファクタリングとは、会社員などの個人が「勤務先に対する給与(賃金債権)」をファクタリング会社に売却して、給料日前に現金を受け取ると称するサービスです。一見すると債権の売買に見えますが、法的にはまったく異なる評価を受けます。

2020年3月、金融庁は給与ファクタリングについて「貸金業に該当する」との法令解釈を公式に示しました。2023年2月20日には最高裁第三小法廷もこの判断を追認する決定を下しています。

なぜ給与ファクタリングが「貸付け」とされるのでしょうか。

根幹にあるのは、労働基準法24条1項の「賃金の直接払い」原則です。

この原則により、たとえ賃金債権がファクタリング業者に譲渡されたとしても、勤務先は労働者本人に直接給与を支払わなければなりません。

つまり業者は勤務先から直接お金を回収する手段がなく、結局は労働者個人から回収するしかない。この構造は、お金を貸して返済してもらう「金銭の貸付け」とまったく同じ機能を果たしています。

最高裁も「実質的には返済合意のある金銭の交付と同様の機能を有する」として「貸付け」に該当すると判示しました。

被害の実態は深刻です。

国民生活センターが報告した事例では、7万円を受け取って12万円を返済させられたケース(年利換算で700%超)や、手数料として20%を差し引かれた挙げ句に「現金書留で送れ」と不審な指示をされたケースなどが報告されています。

返済が遅れると、勤務先や家族への執拗な取り立てが行われるのも特徴です。

過去の大規模事件では、ある給与ファクタリング業者が504人に対して約2,790万円を貸し付け、法定利息の約10倍にあたる利息を受領していたとして有罪判決(懲役3年)が確定しています。

年利換算で数百%から千数百%にもなる暴利であり、ヤミ金融と変わらない実態でした。

給与ファクタリングは、仮に業者が「これは売買です」「借金ではありません」と説明しても、法的には完全に「貸付け」です。絶対に利用してはいけないのです。

利用者側が罪に問われるケースもある

ファクタリングの違法性というと業者側の問題ばかりが注目されがちですが、利用者側が犯罪に問われるケースも少なくありません。

ファクタリングを悪用した不正行為は刑法上の犯罪にあたり、逮捕・起訴・実刑に至った事例も複数存在します。

利用者が問われる可能性のある主な犯罪と法定刑は次のとおりです。なお現行法では、従来の懲役・禁錮が2025年6月1日から拘禁刑に一本化されています。

実際の逮捕事例を見ると、事態の深刻さがよく分かります。

ある製造会社は、大手企業の印鑑を偽造して架空の売掛債権を作り出し、ファクタリング会社から7億円超をだまし取りました。

2020年にはイベント企画会社の代表が架空売掛債権を約100件作成し、総額約45億円の債権を売却して約3億4,600万円を詐取した事件も起きています。

2022年には情報セキュリティ会社の元社長が架空売掛債権で約1億円を詐取して逮捕されたほか、病院からの発注を装った虚偽の売掛債権で約3,600万円を詐取し、懲役2年の実刑判決を受けた事例もあります。

刑事責任の有無や量刑は、被害額だけでなく、行為態様、計画性、弁償の有無、前科、被害者数などを総合して判断されます。

「ファクタリングだから」「売買だから」と軽く考えて不正に手を染めると、重大な刑事責任を負う可能性があります。資金繰りがどれだけ厳しくても、架空債権の作成や二重譲渡は絶対にやめましょう。

合法と違法はどこで分かれる?判断基準を一覧で整理

ここまで、合法な形態と違法になるパターンをそれぞれ見てきました。

では、具体的にどこで「合法」と「違法」が分かれるのか。金融庁や裁判所が実際に重視しているポイントと、過去の裁判例をもとに整理していきます。

金融庁・裁判所が重視する7つのチェックポイント

ファクタリングが「正当な債権の売買」なのか、それとも「実質的な貸付け」なのかを見極めるにあたって、金融庁や裁判所は以下の7つの要素を総合的に判断しています。

ここで重要なのは、金融庁が「形式だけで判断されるわけではない」と繰り返し注意喚起している点です。

たとえ契約書に「ノンリコース(償還請求権なし)」と書かれていても、実態として利用者がリスクを負っている構造であれば、貸付けと判断されることがあります。

契約書の文言だけを見て安心するのではなく、上記7つの要素を総合的にチェックすることが大切です。

複数の項目で「違法の疑い」に該当するようであれば、その取引は実質的に貸付けである可能性が高いと考えるべきでしょう。

主な裁判例から見る違法ラインの実態

ファクタリングの合法・違法をめぐっては、これまでに複数の裁判が行われています。裁判所がどのような基準で判断したのか、代表的な判例を確認しておきましょう。

【合法(債権売買)と判断された判例】

判決日 裁判所 判断のポイント
令和2年9月18日 東京地裁 償還請求権がなく、買戻しの予定もなし。売掛先の不払いリスクがファクタリング会社に移転しており、手数料水準も担保目的を推認させるほどの大幅なものではなかった。「債権の確定的売買」と判断
令和4年6月15日 東京高裁 売掛先が支払わなかった場合の責任を利用者が負わない契約であり、不払いリスクがファクタリング会社に移転。手数料も不当に高額ではなく、「債権の確定的な売買」と認定

合法と判断された判例に共通しているのは、①ノンリコースで利用者に返済義務がないこと、②不払いリスクをファクタリング会社がきちんと負担していること、③手数料が不当に高額ではないことの3点です。

いずれも「形式だけでなく実態として債権の売買が成立しているか」が重視されています。

【違法(実質貸付け)と判断された判例】

判決日 裁判所 判断のポイント
平成29年3月3日 大阪地裁 業者が不払いリスクをほぼ負っておらず、債権の一部だけを買い取る形で額面とは無関係な金銭をやり取りしていた。債権譲渡通知を送る不利益を利用して事実上の買戻しを強いており、金銭消費貸借に準ずると判断。利息制限法を適用して過払い金の返還を命令
令和3年7月1日 東京高裁 利用者に債権額以上の金額を支払わせる公正証書を作成させており、業者は不払いリスクを実質的に負っていなかった。貸金業法上の「貸付け」と認定
令和4年3月4日 東京地裁 契約書上はノンリコース(償還請求権なし)だったが、「表明保証条項」によって利用者に実質的な保証義務が課されていた。形式と実態が乖離しているとして実質貸付けと判断
令和4年7月7日 札幌高裁 利用者に買戻しの法的義務はないものの、債権譲渡が取引先に発覚すると事業継続が困難になるため、事実上買い戻さざるを得ない状況を業者側が認識していた。出資法の上限を大きく超える利益を得ていたことも踏まえ、公序良俗違反で契約を無効と判断

違法と判断された事例に共通しているのは、「利用者に実質的なリスクが残っている」という点です。

ノンリコースの契約書であっても、表明保証条項や心理的な圧力によって事実上の買戻しが生じていれば、裁判所は「貸付け」と判断します。

特に札幌高裁の判決は注目に値します。法的な義務がなくても、取引先との関係悪化を恐れて買い戻さざるを得ない状況そのものが「実質的な返済義務」と評価され、しかも公序良俗違反として契約全体が無効とされました。

【給与ファクタリングの判例】

給与ファクタリングについては、下級審の段階から一貫して「貸付け」と判断されてきました。

2020年の東京地裁判決を皮切りに、熊本地裁、東京地裁と続き、2023年2月20日の最高裁第三小法廷決定で最終的に確定しています。

なかでも大きな影響を与えたのが、ある給与ファクタリング業者をめぐる集団訴訟です。

2020年5月に5都県の9名が東京地裁に提訴し、2021年2月に裁判所は年利250%超の手数料を違法と認定。

約430万円の全額返還を命じる判決が下されました。支払った金額は「不法原因給付」にあたるとされ、利用者は元本すら返す必要がないという、闇金融と同等の扱いを受けた画期的な判決でした。

悪質なファクタリング業者に騙されないための見分け方

ファクタリングには業者の登録制度がないため、残念ながら悪質な業者が紛れ込みやすい環境にあります。

自分の会社を守るためには、利用者自身が「おかしい」と気づける知識を持っておくことが不可欠です。

悪質業者を見抜くための具体的なチェックポイントを五つ紹介します。

契約書が「債権譲渡契約」になっているか確認する

ファクタリングは債権の売買ですから、契約書のタイトルは「債権譲渡契約書」や「売掛債権譲渡契約書」となっているのが正常です。

もし契約書の表題が「金銭消費貸借契約」だったり、何の契約か分からないような曖昧な名称になっていたりする場合は、それだけで大きな危険信号です。

そもそも契約書を交付しない業者は論外と考えてください。正規のファクタリング会社であれば、契約内容を書面で明確に示すのは当然のことです。

契約書を受け取ったら、タイトルだけでなく中身も必ず確認しましょう。

特に、返済に関する条項や利息の記載がないか、後述する償還請求権や買戻し条項が含まれていないかを重点的にチェックすることが重要です。

償還請求権や買戻し条項が入っていないかチェックする

貸金業登録を前提としない買取型ファクタリングでは、売掛先の不払いリスクをファクタリング会社が負うノンリコース型であることが重要です。

売掛先が支払わなかった場合に利用者へ買戻し義務や補填義務を課す契約は、実態が貸付けに近づきます。

ところが悪質な業者の契約書には、「売掛先が支払わなかった場合、利用者が買い戻す」といった条項がこっそり入っていることがあります。

こうしたリコース契約(償還請求権あり)の場合、それは実質的に融資と同じであり、業者は貸金業の登録を受けなければなりません。

また、前述の裁判例で問題になったように、「表明保証条項」という形で実質的な買戻し義務が課されているケースにも注意が必要です。契約書の文言が「ノンリコース」であっても、別の条項で事実上の返済義務を負わされていないか、隅々まで目を通すようにしましょう。

手数料が相場から大きく外れていないか比較する

ファクタリングの手数料相場は、2社間で8〜18%、3社間で2〜9%です。この範囲から大きく外れている場合は、業者の適正さを疑うべきです。

特に手数料が30%を超えるような業者は明確に危険です。

これは、年率に換算すれば利息制限法の上限(年15〜20%)を大幅に上回る水準であり、取引の実態が貸付けと判断されれば刑事罰の対象にもなり得ます。

一方、「手数料1%以下」や「審査不要」などの甘い条件で誘ってくる業者も警戒してください。

こうした業者は、契約後に名目を変えてさまざまな費用を上乗せしてきたり、そもそも不正な契約を結ばせることを目的にしていたりするケースがあります。

うまい話には必ず裏があると考えて、複数の業者から見積もりを取り比較する姿勢が大切です。

会社の所在地・連絡先・実績が実在するか調べる

悪質なファクタリング業者には、会社としての実態が怪しいという共通の特徴があります。

以下の点に一つでも該当する場合は、利用を見送るのが賢明です。

  • 架空の住所:レンタルオフィスの住所だけが記載されており、実際のオフィスが存在しない
  • 携帯電話番号のみ:固定電話の番号がなく、携帯番号しか案内されない
  • 個人名義の口座への振込指定:法人名義の銀行口座を持っておらず、代表者の個人口座に振り込ませようとする
  • 公式サイトの情報不足:代表者名、設立年月日、資本金、事業実績などの基本情報が記載されていない

これらはヤミ金融業者に共通する特徴でもあります。

正規のファクタリング会社であれば、会社概要を公式サイトにきちんと掲載しているのが普通です。

少しでも不自然な点があれば、国税庁の法人番号検索で法人の実在を確認したり、所在地の住所を地図で調べてみるといった基本的なチェックを怠らないようにしましょう。

分割払いや保証人を求められたら利用しない

ファクタリングは「債権の売買」であるため、買取代金は一括で支払われるのが原則です。

業者から「分割で支払います」と言われたり、「分割で返済できます」と持ちかけられたりした場合、それはファクタリングではなく融資です。

分割払いには利息の発生がつきものであり、金銭消費貸借契約と見なされます。

同様に、担保や保証人を求められた場合も要注意です。

ファクタリングでは売掛先の信用力が審査の中心であり、利用者本人に担保や保証人を求める必要はありません。

にもかかわらず「保証人を立ててほしい」「通帳や印鑑を預けてください」と言われたら、実質的には融資と同じ構造であり、貸金業の登録を受けていない業者であれば違法な取引の可能性が極めて高いと判断できます。

「分割OK」「保証人必要」と言われた時点で、その業者の利用は即座にやめるべきです。

もしトラブルに巻き込まれたら?相談先と対処法

万が一、悪質なファクタリング業者とトラブルになってしまった場合でも、泣き寝入りする必要はありません。

公的な相談窓口や専門家を活用することで、状況を打開できる可能性があります。

すぐに相談できる公的窓口の一覧

ファクタリングに関するトラブルや不安を感じたら、まずは以下の公的窓口に相談してみましょう。

相談自体は無料で利用できる窓口が多い一方、法テラスの無料法律相談や費用立替には収入・資産などの要件があります。

「どこに相談すればいいか分からない」という場合は、まず金融庁の相談室(0570-016811)に電話するのがおすすめです。状況をヒアリングしたうえで、適切な対応先を案内してもらえます。

身の危険を感じるような取り立てを受けている場合は、迷わず#9110(警察相談)または110番に連絡してください。

弁護士への相談で取り立てを止められるケースもある

悪質なファクタリング業者からしつこい取り立てを受けている場合、弁護士に相談することで状況が大きく変わることがあります。

弁護士が依頼を受けて「受任通知」を業者に送付すると、以後の連絡はすべて弁護士を通じて行うことになり、利用者への直接の取り立ては事実上停止します。

精神的な負担が大きい取り立てから解放されるだけでも、大きな意味があるでしょう。

さらに、取引の実態が貸付けであり違法な高金利が適用されていた場合には、契約そのものが無効になる可能性があります。

年利換算で109.5%を超える利息の契約は、貸金業法により契約自体が無効とされます。利息制限法の上限(年15〜20%)を超える部分も無効です。

過去の裁判では、給与ファクタリング業者に対して約430万円の全額返還が命じられた事例があります。

この判決では、業者が受け取ったお金は「不法原因給付」にあたるとされ、利用者は元本すら返す必要がないという結論になりました。違法業者に対しては支払ったお金を取り戻せるケースがある、ということです。

「弁護士費用が心配」という方は、法テラス(0570-078374)を活用してください。

収入が一定以下であれば無料で法律相談を受けられますし、弁護士費用の立替制度も利用可能です。多くの弁護士事務所が初回相談を無料で実施していますので、まずは相談だけでもしてみることをおすすめします。

ファクタリングの違法性に関するよくある質問

ファクタリングの違法性に関するよくある質問をまとめました。

Q. 2社間ファクタリングは違法ですか?

2社間ファクタリング自体は違法ではありません。売掛先への通知なしに契約できる合法的な取引形態です。

ただし、偽装ファクタリングは2社間スキームで行われるケースが多い点には注意が必要です。売掛先に通知しないため不正が発覚しにくく、悪質業者が利用しやすい構造があるためです。

実際の裁判でも、合法と判断された例(東京地裁令和2年9月18日、東京高裁令和4年6月15日)と、違法と判断された例(大阪地裁平成29年3月3日、札幌高裁令和4年7月7日)の両方が存在します。合法・違法の分かれ目は、あくまで「償還請求権の有無」「手数料の水準」「不払いリスクの負担先」といった取引の実態です。2社間だから危ない、3社間だから安全、という単純な話ではありません。

Q. ファクタリングの手数料が高いと違法になりますか?

ファクタリングは「債権の売買」であるため、手数料の法定上限は設けられていません。したがって、手数料が高いというだけで直ちに違法になるわけではありません。

ただし、取引の実態が「貸付け」と判断された場合は話が変わります。貸付けであれば利息制限法と出資法が適用され、年20%を超える利息には刑事罰が科されます。年109.5%を超える金利での契約は契約自体が無効です。

実際、札幌高裁令和4年7月7日の判決では、出資法の上限を大幅に超える利益を業者が得ていたことが「公序良俗違反」の根拠のひとつとされ、契約が無効と判断されました。相場(2社間8〜18%、3社間2〜9%)を大きく超える手数料を提示された場合は、売買形式であっても契約条項と費用総額を必ず確認しましょう。特に、買戻し義務、償還請求、保証人、担保、分割返済に近い条項がある場合は、実質貸付けの疑いが強まります。

Q. 給与ファクタリングを利用してしまったらどうすればいい?

まず、現在進行形で返済を続けている場合は、直ちに返済をストップしてください。追加の支払いを求められている場合は、契約書、入出金履歴、業者とのやり取りを保管し、弁護士、消費生活センター、金融庁の相談窓口に早急に相談しましょう。個人の賃金債権を買い取って本人から回収する給与ファクタリングは貸金業に該当し、無登録営業や上限金利を超える請求は違法になり得ます。

弁護士へ依頼した場合、受任通知により業者からの直接連絡を止められる可能性があります。金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)、消費者ホットライン(188)、法テラス(0570-078374)も相談先になります。

違法な高金利(年109.5%超)であれば、契約自体が法律上無効となり、支払ったお金は「不法原因給付」として元本を含めて返還不要になる可能性があります。過去の裁判でも全額返還が命じられた先例がありますので、「自分が悪いから仕方ない」と諦めず、必ず専門家に相談してください。

Q. ファクタリング会社に業法上の登録制度はありますか?

2026年3月時点では、ファクタリング業を直接規制する業法や登録制度は存在しません。金融庁も「ファクタリングは当庁が所掌している事業ではなく、ファクタリング全般を規制する法律はない」と明言しています。

そのため、誰でもファクタリング会社を開業できる状態であり、これが悪質業者の参入を許してしまう一因になっています。業界内では自主的に規制団体が設立され、ガイドラインの策定や会員企業の審査が行われていますが、法的な拘束力はありません。

なお、償還請求権あり(リコース型)の取引を行う場合は「貸付け」に該当するため、貸金業の登録が必要です。給与ファクタリングも同様です。将来的に登録制度の導入が議論される可能性はありますが、現状では利用者自身が業者の信頼性を見極める必要があるという点を覚えておいてください。

Q. 偽装ファクタリングの被害はどれくらい起きていますか?

残念ながら、偽装ファクタリングの被害を網羅的に把握した公的な統計は存在しません。ファクタリング業に届出義務がなく、金融庁も所管外としているため、被害の全体像をつかむのが難しい状況です。

ただし、報道や裁判記録から確認できる個別事件の被害額だけでも深刻さが分かります。給与ファクタリングの大規模事件では集団訴訟で約430万円(9名分)の返還が命じられ、事業者向けの詐欺事件では約3億4,600万円が詐取されたケース、約1億円が詐取されたケースなどが報告されています。

国民生活センターも2020年6月に給与ファクタリングについて注意喚起を発出しており、相談件数は年々増加傾向にあるとされています。目に見える数字以上に潜在的な被害者は多いと考えられますので、少しでも不審に感じたら早めに公的窓口に相談するようにしてください。

まとめ

ファクタリングは、民法466条に基づく債権譲渡契約として法律で認められた合法的な資金調達手段です。

銀行融資が難しい場面でも、売掛金を活用して迅速に資金を確保できるメリットがあり、2020年の民法改正で譲渡制限特約付きの債権も利用しやすくなりました。

ただし、すべてのファクタリングが安全というわけではありません。

ファクタリングを装いながら実態は高金利の貸付けを行う「偽装ファクタリング」や、貸金業に該当すると判断された「給与ファクタリング」には十分な警戒が必要です。

合法と違法を分けるポイントは、次の3点に集約されます。

  1. 償還請求権の有無:ノンリコース(償還請求権なし)が正規のファクタリングの基本
  2. 不払いリスクの負担先:リスクをファクタリング会社が負っているかどうか
  3. 手数料の水準:2社間8〜18%、3社間2〜9%の相場を大きく逸脱していないか

加えて、契約書の内容、担保・保証人の要求の有無、会社の実在性といったチェックポイントも忘れずに確認してください。ファクタリング業には登録制度がないため、利用者自身が業者を見極める目を持つことが何よりの防衛策です。

少しでも「おかしいな」と感じたら、金融庁の相談室(0570-016811)や法テラス(0570-078374)に早めに相談しましょう。

悪質業者に対しては弁護士を通じて取り立てを止めることもでき、支払ったお金を取り戻せる可能性もあります。

正しい知識を持って、ファクタリングを安全に活用してください。

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