【田中賢介・まだ見ぬ小学校へ】田中学園立命館慶祥小学校校長・吉田恒氏と語る(前編)

 本誌連載「田中賢介 まだ見ぬ小学校へ」より、来春開校の田中学園立命館慶祥小学校で校長に就任を予定する、吉田恒氏を迎えての対談を前後編に分けて全文公開する。吉田氏の経歴、執行部体制のほか「地域貢献はもちろん、北海道の教育界に一石を投じたい」という2人の意気込みにも触れている。以下はその前編から。

吉田恒氏 ©財界さっぽろ

従来の教育界の常識とは“逆”の体制

 ――吉田校長のご経歴は。

 吉田 立命館慶祥中・高に着任後、担任、外国語科主任、学年主任、新海外研修委員長、国内/海外入試事務局長などを担当してきました。

 立命館慶祥の国際教育は日本を代表するほどのレベルです。中学3年生ではニュージーランド研修があり、高校2年生ではガラパゴスやリトアニアなど、複数の選択肢から自分でコースを選び海外研修に行きます。

 2017年には私が中心となり、高2海外研修の8番目となるアフリカのボツワナ共和国・高校生親善大使文化コースを作りました。

 立命館慶祥では学校運営をおこなう、校長・副校長・教頭・主幹教諭からなる組織を学校執行部と呼び、私も19年からそのメンバーを務めています。 

 ――田中学園とのつながりは。

 吉田 田中学園のプロジェクトが始動したときから立命館慶祥側の責任者の1人として、田中(賢介)理事長と協議する役割を担ってきました。昨年の夏以降には正式に開設準備室が立ち上がり、そこから私が室長を務めています。

 ――吉田校長は43歳。校長としては若いですよね?

 吉田 全国的にも若い校長ではあると思います。

 ――田中理事長も39歳です。

 田中 当校は「世界に挑戦する12歳」を教育目標に掲げています。理事長も、校長も、まだまだ若いですが、そこを前面に出し、我々もチャレンジしていきたい。そういう新しい学校をつくっていきたいと思っています。

 吉田 田中理事長は教育畑のご出身ではありませんから、我々にはない柔軟で既成概念にとらわれないアイデアがよく出てきます。私も、若さを生かし、柔軟で挑戦的な姿勢で、田中理事長をサポートしていきたいと考えています。

 田中 一方で、先輩たちのお力もお借りしたい。バランスの取れた年齢構成で、学校運営をすることが重要だと考えています。

 副校長には、札幌市の中学校で校長を歴任し、立命館慶祥中・高の勤務経験もある武田光一先生を、教頭には昨年まで京都の立命館小学校の校長だった長谷川昭先生を据えます。 

 従来の教育現場であれば、年齢や経験からして2人が理事長、校長かもしれませんが、当校では常識とは“逆”の体制を取っています。

 吉田 執行部に、小・中・高のプロフェッショナルが入ることがポイントです。長谷川先生は小学校、武田先生が中学校、私は中高両方を担当してきました。

 田中理事長がいつもおっしゃるのが「小・中・高一貫教育の可能性」です。田中学園が立命館慶祥と特別提携校として連携したことで、それが可能となりました。

吉田氏(左)と田中賢介氏 ©財界さっぽろ

学びの環境次第で子どもは変わる

 ――4月29日の学校説明会で授業料などを発表しました。

 田中 授業料は基本、月額6万6000円になります。当初の試算では、もう少し高くなる予定でしたが、抑えることができました。

 実現できたのはたくさんの企業からのご寄付、ご支援があったからです。北海道の企業のみなさまには感謝しかありません。応援していただける企業の募集は引き続きおこなっていきます。

 吉田 企業連携は、授業・行事・食育などさまざまな場面で学校教育に役立ちます。これからの教育に必要なものは、実際の社会の中での本物の学びです。当校では、教科等横断型カリキュラム「LINK(リンク)」をおこなっていきます。科目に限らず、さまざまな社会の本物を連携させた授業になります。社会連携が進めば進むほど、授業の幅は広がり、児童に教育的な還元がなされます。

 田中理事長は本物の学びにつながる社会/企業連携の重要性を高く認識し、自身のこれまでのキャリアを生かし連携を進めています。発想力と行動力が最大の武器である理事長だと感じます。

 ――小学校時代から教育にお金をかけるという文化が北海道には根付いていません。

 吉田 とりわけ首都圏・関西圏に比べ、確かにそうですね。しかし田中学園の教育は、その学費に十分見合う内容だと考えています。初等教育における教育環境の重要性、教育環境次第で児童が大きく成長する、そうした発信をしていきたいと思っています。 

 田中 校舎もできてきました。5月23日からは隔週ペースで、イベントを開催していきます。体験授業なども予定しているので、施設を見て、実際に習う先生たちに会って、田中学園の教育を肌で感じてもらいたいです。きっと、この学校で学びたい、学ばせたいと思ってくれるはずです。

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