魚よもやま話

2012年6月号
サワラ

 春の魚といえば北海道の代表は春告魚のニシンだが、全国的には文字通り魚へんに春の鰆(サワラ)だろう。まさに春が旬。そう言えば最近スーパーなどの生鮮コーナーにサワラの刺し身が並んでいる。いまでは回転寿司でも食することができるし、すっかり道民にも馴染み深い魚になってきた。  サワラの語源は、狭腹(さはら=さわら)と呼ばれたことからくる。ただ、決して小さな魚ではなく、1b以上成長するものもいる。幼魚の時期をサゴシ(狭腰)と呼ぶ地方もあり、魚に春と書くのは産卵期が春であることや食べては春が旬だからと考えられる。  カツオ、スマなどの仲間でサバ科に属する。そういえば体側にいずれも縦や横の黒色班が並んでいるのがこの魚族の特徴。背中の部分から尾にかけて点々と並ぶのがサワラ、横に並ぶのがヨコシマサワラだ。細身でやさしそうな魚だが、意外にも魚食性が強くアジやイワシにはじまりイカ、エビなどなんでも口に入れる。人間のデブ族に言わせるとこれだけ食っても痩身とはなんともうらやましい限り。そういえば本州のサワラ釣りの餌は、生きたアジかイワシに限るそう。  サワラは「刺し身の王様」という人もいて食べては造りが最高。また、白みそを使った西京漬けは忘れられないほどの美味とか。

2012年5月号
スズキ

 函館に釣行した折、地元の釣友に離れ堤に案内してもらったことがある。もちろん目指すは生まれて初めて挑戦するスズキ釣り。道内ではこの地方でしか釣れない魚で「アブラコ、ソイは期待できるがスズキは無理かも…」と念を押されたが、幸運にも40センチの本物をゲットできた。予想通りソイなどにも勝る引きの強さで、数年たってもその時の感触が忘れられない。後日、「待望のスズキを釣ったよ」と報告したらその相手、なにを勘違いしたのか「なにかだましたのか?」と話が合わない。どうやらスズキを人間の鈴木さんと思ったらしい。本州ではスズキ釣りはそう珍しくはないが、北海道ではそれほど貴重な魚といえる。ちなみに全国の名前の多い順は(1)佐藤(2)鈴木(3)高橋(4)田中(5)渡辺(年により変更あり)だそう。
 話を戻してスズキという魚はブリなどのように成長するにつれ呼び名が変わる出世魚で関東ではセイゴ→フッコ→スズキ。関西ではセイゴ→ハネ→スズキとなる。大きなものでは1bにもなり、全国的にはルアーフィッシングとして年々人気が高まっている。春から夏にかけて汽水域や淡水域に入り込むものがあり重要水産魚種でもある。食べては夏の時期の刺し身が最高とされるが、冬の抱卵した腹太のものは焼き物が美味。最近は寿司のネタにもなる。漢字で書くと鱸となんとも難しい。

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阿部 明

阿部 明

昭和14年12月生まれ
37年スポーツ新聞社に入社、高校野球などの一般スポーツほかプロレス、競馬、釣り記者を経て現在に至る。記者歴37年。北海道スポーツ記者倶楽部会友。