道内人気企業の人事担当者に集まってもらい、今年も恒例の匿名座談会を開催した。テーマは日ごろの採用活動の中で感じる疑問、戸惑い、憤りなど。就職活動に対する本音を集めた“ぶっちゃけトーク”をお届けする。
――ここ数年、「就職が厳しくなっている」といわれますが、どう感じていますか。
A 採用する側から見ていると、例年に比べても採用人数は変わらないし、それに対して学生がドッと押し寄せることもない。就職が厳しくなったというイメージはあまりありません。
B うちは不況の影響で会社が厳しいので、採用枠をグッと下げた。そういう意味では学生が希望する業種、会社の採用枠は少なくなったと思います。
C 以前は案内を出しても来ないという状況が長く続いていたので、マスコミで言われているような「就職が厳しい」というのは、あまり実感としては持っていないですね。2年前くらいからガラッと状況が変わって、急に元気ないい学生が入ってくるようになった。しかも、入社後の定着率がよく、全員残っています。
――それは学生の意識の変化によるものですか。
C そうとらえています。
――御社は金融関係ですが、人気業種ですね。
A 確かに、人気は高いと言われています。ただ、学生さんに「ほかどこ受けているの?」と聞いたとき、H洋さんとかD銀さんとかの名前が出てくることがある。「うちと内定がダブった場合は、辞退されてしまうのかな…」というイメージは当然ありますね。いい学生であればあるほど、第一志望はそちらなんだなと感じてしまいますね。
――人気企業ランキングについては、いかがでしょうか。
B 毎回同じ顔ぶれだなと思いますね。固定化されてしまっていて、たぶん定期採用をやっていて、学生がよく社名を聞くようなところは、ここに出てくるような会社しかないのかなと思います。
――本州のほうでは就活の開始時期をもっと遅くしようという動きがありますが、北海道での影響はありますか。
C うちは関係していないですね。
B 北海道はあまり影響はない。
――人事から見て、どういう学生がNGですか。
B よくある話ですけど、就活がインターネット化されて、セミナーの参加率は僕らも全然読めなくなった。100人の予約が入っていたら、大体2、3割は来ないだろうという気持ちでいるんですが、最近は4割が来ない。会社のブランドの問題もあるんでしょうけど…。欠席の連絡がある子はいますが、連絡なく来ないケースも結構多い。
こちらも枠に合わせて会場を借りて、お金をかけているわけですから、何とかならないんだろうかと思います。満員になって入れなかった子もいるので、かわいそうだなと感じますよ。
A 会社説明会で「予定人数の4割」というのは同じです。それを見越して資料を用意しても大丈夫(笑)。私が採用を始めた時点ではすでにそうでしたので、これが当たり前なんだと思っています。
それから、内定を出した後の辞退の仕方はひどい。通常だと学生さんから電話をいただくのが普通だと思います。それがない方がたまにいる。
B 「これから一緒にやっていこう」と思っているところで辞退されると、彼女にフラれたような気分になりますね。
A 内定者対象のセミナーで、会場までの飛行機のチケットも渡してあったんですが、それをドタキャンという学生がいました。電話をしたら「忘れてました」と。これはすごいと思いましたね。
B すごい、すごい(笑)
――それ、本当に忘れていたんですかね。
A いや、たぶん覚えていたとは思いますけどね。辞退するつもりだったけど、連絡をしそびれてズルズルといっちゃった。そんな感じだと思います。
B うちは一次面接を50〜60名の規模でやるんですけど、やっぱりすごい子がたくさんいて(笑)。例えば、志望動機がまったくなく、「とりあえず受けに来た」みたいな学生がいっぱいいるんですよね。そういう子たちを一次面接でふるいにかけるんですけど、その中でまったく志望動機が出てこない。
それで、「なんでうちに入りたいんですか」という話を延々とするんです。志望動機がないだけならまだしも、働こうという意欲もほとんど感じられない。「どんな風な人生計画を考えているんですか」と質問をしたら、「30歳ぐらいには結婚して」とか言うんですけど、じゃあ「どれくらい年収は稼ぎたいですか」と聞いたら、「150万円」とかいうんですよ。
――共稼ぎですかね?
B わかりません。生活感がないというか、そういう計算ができない子が受けに来ている。そういう子は大体、実家暮らしの子ですね。そういう子が集団面接とかで一番最初に発言すると、おかしなことに、その後の子も同じようなペースになってしまう。次の方に「どれくらい稼ぎたいですか」と聞くと、「じゃあ、私は180万円!」みたいな(笑)。
説明会で「初任給はいくらで、年収これくらいですよ」と説明をしているんですけど、聞いていないんでしょうね。本当にガク然としました。適性検査だけでふるいにかけたくないという会社の方針があって、「実はいい子もいるんじゃないか」というつもりでやるんですが…。ある程度適性検査にそった形になりますね。
――ゆとり教育と関係ありますか。
B あると思います。
C うちでは「お引き取り下さい」というひどいケースは、最近はなくなりました。問題はいざ職場に行ってから続くかどうか。入社までは割とスムーズです。傾向があるとすれば、女性のほうが快活であるということ。パワーバランスでいうと、女子6、男子4くらい。
――男女比を考えずに選考を進めたら女性ばかりになってしまうので、泣く泣く優秀な女子を落とすという話をよく聞きます。
C 男のほうが精神年齢が低い。
B 女子の方がコミュニケーション能力が男子より高いことが多い。話慣れはしていますよね。うちは流通・小売なので女性のお客さまが多く、女性の感覚は必要なんです。
A 面接でも女子の方がは受け答えもしっかりしていますよ。
B 変な“群れ”がいることがある。合同説明会をやっていたら、信じられない会話なんですけど「私こっち聞くから、あなた、あっち聞いてきて」とか、よくわからないことを言っているんですよ。
一同 爆笑
B エッ!?となりました。お互い「どんな話だったのか教えてね」とか言っているんですよ。「全部回れないから」という理由みたいです。回ることに達成感を求めている。売り手市場のころ、スタンプラリーで何社まわったらマニュアル本もらえるだとか、よくわからない企画をやっていたじゃないですか。終わり間際にきて「スタンプ押して下さい」という学生もいました。とりあえず、押してあげるんですけどね。
あとは資料を2部下さいとか。「なぜ2つ必要なんですか」と聞いたら「友だちが今日来られないんで」と。こちらとしては「そうですか、わかりました…」というしかないです。
――最近、親御さんが説明会に付いてくることがあるみたいなんですけど。実際に見聞きしたことはありますか。
A まだないですね。
B 年に2、3回は親から問い合わせはきます。明らかに年上の声で「採用はやっているんですか」と。どういった用件か聞くと「息子が…」みたいな。「ご本人から連絡させてください」と返しました。
A 中途採用のとき、「どうやってうちの採用情報を知りましたか」と聞くと、「親が行っておいでと言った」と返ってきたことはあります。
B 子どもは自立するために就職活動をしているわけですから、親は手を貸さないで、突っぱねてほしい。
C 同意見です。就職活動は今後社会に出て、自分の力で生きていく準備期間。やはり親御さんの力を借りずに、やっていただきたい。
――どんなところに気をつけて学生を見ているか、みなさんなりのポイントを教えてください。
A 人間性とか、明るさとか、そういったところを見ます。一概にこれができればというのは特にないんですが、1つ言えるのは、会社が欲しい人材というのは会社にとって利益になる人。「厳しいのは承知の上で私はやりますよ」というような、やる気が前面に出ていると非常に好印象です。そういったところが人事担当者から見えると、内定は近づくんじゃないかと思います。
B 当社は面接試験の前に「お店に行ってみてください」と課題を与えています。そんなに難しいことはない。ただ、働く場所を見てきてほしいだけです。それなのに、行かない子がいる。自分が働くかもしれない場所を見ようという気がない。そういう子はやっぱりダメなんですよね。うちは行動力を見ていますね。
それから、面接のとき、緊張しているのか、性格なのか、下を向いて入ってくる子がいる。なんとか場を和ませようと好きな話、趣味の話題なんかを振るんですけど、ガチガチに硬くなっていて笑顔が出ない。緊張しているのはわかるんですけど、うちは客商売なので売り場でそんな状況になられても、というのがある。そういう学生はちょっと。
でも、そういう子に限って「何社受けましたか」と聞くと「40社」とか返ってくるんですよ。「それだけ受けても場慣れしないのか」と驚きました。よくよく聞いてみたら、面接を受けたのは2、3回だと言ってました。
C 私は質問の答えが明確な子を、注意して見るようにしています。うちはパソコンを使う現場が多いのですが、「こういう作業はできるか」と質問したときに、「大体、なんとかできます」などとあいまいな返事が多いんです。そのときに「私はわかりません」と明快に答えられる子。そういう子は入社後、あいまいなことにならない。業務上の事故防止にもなる。
B 就職媒体さんが主催する就職セミナーがすごい人気ですが、そういうところに参加されている学生の履歴書は書き方がソックリ。特徴を持たせたいのだと思うのですが、例えば、太字のペンを使ったり、波形の下線を引いたり、色をつけたり。みんなで同じことやるので、正直、「何をやってるんだろう」と思う。「あ、これはあそこのセミナーに出た人だ」とわかってしまう。わかったらあまり意味がないんじゃないかと思います。
A 小細工は必要ないですね。
B 書かれている内容と面接での受け答えが、ちゃんとリンクしているならいいんですけど。書いてあることと言っていることが違うと、逆効果になってしまう。せっかく手をかけたのにマイナスですね。
――学校別の傾向はありますか。
B 国公立大で「ここの大学はいつも面接がうまいな」と思う学校はあります。うちは短大、専門学校などを含め学歴問わず募集しているので、かなり広い範囲から応募がきますが、学校のレベルはほとんど関係ないように感じます。
ただ、たまたまかもしれないですが、某有名国立大学の学生さんは、受けに来た子だけをみるとあまりよくない印象が多い。「何でうちを志望したのですか」と聞いても答えられない。当社の場合は流通・小売ですので、人当たりも重視します。勉強ができてもバランス感覚がないと、ちょっと…
C うちも入社前は、それほど学校差を感じません。
――会社に入って伸びる子と伸びない子では何が違いますか。
C 素直さかな。そういう子は吸収が早くて伸びてますね。自分に固執する子はそこで止まってしまっている感じはする。
A 謙虚さは大事ですね。
――「就活は○○だ!」の○○に当てはまる言葉をお答え下さい。
A 私は就活は「始まり」だと思います。内定をもらうことが決してゴールではない。むしろ就職後に、社会に対して何ができるかというほうが重要です。就活は、その入り口ですね。
B ちょっと長いですが、就活は「理想と現実を知るファーストステップ」だと思います。夢とか希望を持って生きて欲しいと思うんですけど、それは必ずしも理想通りにはいかない。「やりたい」と「できる」は別物です。それをしっかり認識している子は、たとえ最も希望する業種や会社じゃなかったとしても、内定は取れているような気はします。
C 自分はおじさんだから考えが古いんだけども、就活といったらわれわれの世代は「自立」だとか「自活」、つまり自分で生活すること。いまは巣立ちができないというか、生活感が薄れている。自分の位置がどこにあるのかわからなくなってしまって、親が勝手にいい会社、悪い会社を決める。まず、自分のいる位置を知ること。そうすれば努力は報われると思います。
――大人になる年齢が、だんだん後ろにずれている傾向はありますね。
C 世の中不況と言われている割に、不況感がない学生さんが多いの。世の中の不況を語ったって、ピンとこないのではないか。本当は雇用はあるんですよ。職があったって就かないということですよ。そこを理解されていないんじゃないかなと。
B 就活をイベントみたいにしている社会がよくないですよね。やはり学生が、自分のことをよくわからず就活していることが、よくない。自分に見合った活動をコツコツやってきた子は、たとえそれが実らなくても、次のところでいい結果は出ると思うんですけど。
――努力は報われますか。
B 報われると思いますよ。まあ報われないと言っちゃうと救いがないですからね(笑)。
――最後に、まだ就職が決まっていない4年生、または、卒業したけどまだ就活中だという方にアドバイスをお願いします。
C とにかく情報収集に励みなさいということ。誰も紹介なんかしてくれないんでね。自らどこでどういう募集をしているのかという情報を集めることが、不十分だと思います。
B たくさんの学生さんが当社を受けにきてくれるんですけど、学生たちを見ていて思うのが、就活がうまくいかないのを社会のせいにしているような発言が多い。ちゃんと企業研究もしないし、ただなんとなく就活をやっている。いたずらに受験した会社だけが増えて、それを「頑張った」という形で発表する子もいるんだけど、結果が出てないじゃないですか。
原因を自分で理解しておらず、ただ社会のせいにしているように見えてしまうんです。もちろん努力しても実らない子はいるんですけど、最近の学生を見ていると、それ以上にやるべきことをやっていないという感じはします。「働く」とはどういうことかをもっと考えてほしいです。
――就活がうまくいかず留年するのはありですか。
B 面接のときに、結局は「なんで5年いたのですか」という話になる。学費も1年間余計にかかるし、個人的に印象はよくない。
――就活での失敗が、人間的な成長につながっているケースはありますか。
B 自分でダメな部分に気づけば、やり方や考え方も変えるでしょうから、どこかで内定がとれると思います。
A アドバイスとしては視野を広げること。有効求人倍率なんかは、4、5年前から半分ぐらいになっているわけですよね。そういうところだけを見ると「就職は厳しい」と思うかもしれないですけど、そういうのを1度取り払ってもらって、もっと視野を広げて就活をやってもらいたい。たとえ自分が一番やりたかった仕事ではない会社に入ったとしても、必要とされて働くうちにやりがいも出てくると思います。
――「学生の企業の選び方は幼稚だ」と言われます。
C 昔はよく親と同じような仕事に就く傾向がありましたよね。学生時代はその範囲でしか目に入らないから、その中でセレクトしていった。いまの学生は自由でいいようですけど、これだけ情報化が進むと、どこで絞ったらいいかがわからないんじゃないですか。だから40社も50社も受けることになる。インターネット化されたことで、どうも情報に溺(おぼ)れちゃっている感じがします。
――本日はありがとうございました
(進行・安藤由)