野口観光は道内を代表する温泉ホテルチェーン。登別、北湯沢、洞爺、函館など7カ所に温泉ホテルを構えている。ここ数年は、高品質路線にも力を注ぎ、「フレッシュ アンド ファスト」の社是のもと、時代のニーズに対応している。
野口観光
野口秀夫社長
1948年登別市出身。71年早稲田大学商学部卒業後、登別プリンスホテル(現在の野口観光)に入社。専務取締役を経て90年に代表取締役副社長、99年6月から現職。創業者である秀次氏の二男で2代目。
――最近の動きを教えてください。
野口 1964年に登別プリンスホテルを開業以降、身の丈に合わせた経営をやってきました。そういう意味では、安定感はあると思っています。07年からは新しい柱として“高品質路線”を掲げていて、少しずつ軌道に乗りだしています。
当社の社是は「フレッシュ アンド ファスト(変化とスピード)」です。業界はいま、コスト高、売値安の時代です。今後は、なお一層変化とスピードが求められますね。
――仕事の魅力として、どのような点があげられますか。
野口 何と言っても人と会うということです。当社は、モノをつくっているわけではありません。われわれは、ステージの上に立っている演者なんです。舞台で演じているからお客さんの反応が、即座に分かります。自分たちがとる行動によって、拍手をされるかブーイングをされるかが決まるんです。そんな直接分かる仕事は、少ないと思います。
また仕事中、悲しい顔やしかめ面をする必要がありません。楽しく働くことができます。われわれが笑顔で接客すると、それが伝わってお客さまが元気になります。沈んだ気持ちの人が元気を取り戻し、旅館でしばらくぶりに会った人が仲良くなって帰っていきます。こんなに素敵な仕事は、ほかにないと思います。
――どのような学生を求めていますか。
野口 入社した社員にまず話すことは、「明るい笑顔」と「元気なあいさつ」が基本だということです。この両方ができれば、まずは合格です。それから社是である「フレッシュ アンド ファスト」の中でも、変化が大きく起きてる時代です。だから、昨日のことを振り返った時、「これでよかったのか?」と疑問を持ち、変化に柔軟に対応できる人を望みます。素養として今日に満足しない部分を持っていてもらいたい。
もう一つ、いろいろなことに好奇心を持ちながら生活を送っている人もいいですね。好奇心を持つと感性が磨かれ、変化にも対応しやすくなります。
――野口社長も面接に携わっていますが、受ける上で大切な点は。
野口 自分が志望する会社には、情報収集をして興味を持っていることが最低限必要です。「社長は誰ですか?」と聞くと答えられない学生までいます(笑い)。一生託すとまでは言わなくても、初めて社会に出るときなんです。いい状態でスタートしたいと思えば、面接試験にまじめに取り組むはずです。
会社を選ぶ場合、社風や業種、性格などを考えます。そうやって自分に合う企業はどこかなと考えて選択すれば、くすんだ空気の面接にはならないと思います。「自分のここが素晴らしいんだ!」、「ここを買ってくれ!」と、どんどんアピールしてほしい。学生側から「自分はこういう部分で観光業、温泉ホテル業に向いてると思う。いかがでしょうか?」と聞いてくれても結構です。「君、なぜそんなこと言うんだ」とはね返す会社には、行かなくていいです。きちんと答えてくれる会社がこれから伸びていくと思います。
――最近の就職活動中の学生を見て、どのような印象を受けますか。
野口 女性の方が積極的でハキハキしていて、明るく元気です。一方男性は、元気がない傾向があります。グループ面接などをやると、はっきりしますね。マニュアル本を参考にするのは結構ですが、頼るだけではダメです。ちょっと違う質問をすると答えられない人もいますね。
――志望動機として北海道観光に対する思いは必要でしょうか。
野口 当社の場合、応募者や採用者は女性の方が多いです。出身地も8割、9割は北海道です。みなさん北海道観光に対する思い入れを強く持っていますね。北海道の地域の魅力、人の魅力を感じて北海道で働きたいという本州の方や留学生もいます。
――最後に社会人の大先輩として、学生にメッセージをお願いします。
野口 採用になった場合、そこの会社と縁があって入社したのだから、半歩でもいいから足跡を残してほしい。それが人生だと思います。ただ働くだけなら何も意味がない。足跡はバタバタでもいいし、片足だけでも結構です。例えば書類の書き方や、字の大きさが変わった場合、「○○がいたから変わったんだ」と思い出すといったことです。足跡を残す気持ちで仕事に取り組めば、会社が絶対離しません。そういう素養を感じたら面接でも採用します。
どんなに能力があっても、“やる気”のある人にはかないません。やる気の有る無しで仕事の結果が違います。わたしたちは来てくれた人たちを上手に育てていきたい。個性や能力を出し切れるような環境をつくっていきたいと思っています。
担当者に聞く
常務取締役|今西俊昭さん
1次試験では筆記試験(適性試験・短文記述)、5、6人でグループ面接を行います。短文では、志望動機や北海道観光への考えなどを書いてもらいます。内容はそれほど難しくないですが、結構書けない学生がいます。
面接で志望動機を聞くと多数の学生は、「人と話すことが好きだから」と言います。それだけでは、どんなサービス業にも当てはまります。なぜ観光、温泉ホテル業なんだということが一番重要になってきます。気概を持って、面接では、当社で働きたい理由を思い切ってアピールしてください。
当社の仕事は、人に喜んで元気になってもらう商売です。お客さまが置いていったストレスなどは、われわれの肩にのしかかってきますが、帰り際のお客さまの「ありがとう」という感謝の言葉で生き返るのです。そんな喜びを分かち合える人にきてもらいたいと思います。
(ききて・前田)