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Interview

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「2020年のその先を見据える」掲載号:2020年1月

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鈴木直道 北海道知事

2020年は“オリンピックイヤー”だ。マラソン、競歩の札幌開催が突如決まった札幌をはじめ、北海道でもその機運は盛り上がっている。しかし、鈴木直道知事が見据えているのは、オリンピック閉幕後の北海道だった。

アドベンチャートラベル市場に参入

――知事就任から早くも半年が過ぎました。この間を振り返った率直な感想は。

鈴木 あっという間でしたね。本当に全力で駆け抜けて来ました。

2019年は元号が平成から令和へと変わり、天皇陛下が御即位されました。私も北海道知事として、即位礼正殿の儀や大饗の儀など、まさに一世一代の行事に参加させていただくことができ、改めて大きな時代の節目を感じた1年でした。

――後志管内倶知安町でG20観光大臣会合が開かれるなど、北海道の観光産業に関わる話題が多く上がった年でもありました。

鈴木 北海道と世界のつながりは拡大しています。18年度は外国人観光客数が初めて300万人を超えました。G20観光大臣会合では、地元の高校生たちが各国の代表者を前に持続可能な観光についての提言をおこなうなど、北海道の存在感をしっかりと示すことができたと考えています。

道内7空港の一括民間委託も大きな動きの一つです。20年はいよいよこれが本格的に動き出します。

19年12月にはフィンエアーが新千歳―ヘルシンキ線を就航します。日本と欧州を結ぶ最速最短の路線です。北海道にとっては17年ぶりの欧州路線復活で、当初は季節運航の予定でしたが、予約状況などから通年運航に切り替えられました。

今後のインバウンド拡大を考えたとき、アジアは北海道にとって“成熟市場”となりつつありますが、欧米はまだまだ伸びしろがあるマーケットです。

一括民間委託やヘルシンキ線就航は欧州からの観光客を増やす大きな足がかりになると思っています。

――欧米で人気があるアドベンチャートラベルの国際会議「アドベンチャートラベル・ワールドサミット」の誘致にも熱心ですね。

鈴木 G20観光大臣会合のときに、サミットを主催する「ATTA」のシャノン・ストーウェルCEOに直接会い、道内開催を打診させていただきました。これをうまく勝ち取ることができれば、アジア初の開催となります。

世界のアドベンチャートラベルの市場規模は欧米を中心に約49兆円と言われていましたが、最新の数字は約72兆円にまで伸びていると聞いています。

私はこの巨大市場に北海道という新しいマーケットを投じていきたいと考えています。

例えばニセコエリアは冬以外でも大変素晴らしいアウトドア体験ができます。自然豊かな北海道はアドベンチャートラベルのコンテンツが充実していますから、まずはサミット開催を実現させるための準備を進めていきたいと考えています。

東京五輪との不思議な巡り合わせ

――19年10月16日に国際オリンピック委員会(IOC)が突然、東京オリンピックのマラソンと競歩の開催地を札幌に変更すると発表しました。知事はどのような場面で知ったのですか。

鈴木 あの日は確か夜の7時くらいに第一報がネットに出たんですよね。そのとき私は東京に行くため、飛行機に乗っていました。降りて携帯を見たら、橋本聖子東京オリンピック・パラリンピック担当大臣から着信が複数入っていました。何かあったのかなと思っていたら、一緒にいた秘書から「こんなニュースが出てます」と聞き、驚いたわけです。

思えば私が東京都庁に入ったのは、オリンピック・パラリンピック招致を最初に提唱した石原慎太郎都政がちょうどスタートしたときでした。

東京開催が決定した日、私は夕張市長としてテレビの報道番組に出演していました。それでIOC総会が開かれたアルゼンチンのブエノスアイレスにいる当時の都知事の猪瀬直樹さんなどと中継をつないで、祝福させていただいたのを覚えています。

スタジオでは共演していた石原さんと一緒にくす玉を割りました。

夕張市長時代も、開催決定前からオリンピック・パラリンピックのポスターを市内に貼って、機運醸成に取り組んでいました。こうしたことを考えると、オリンピックには何か縁を感じているところです。

先日おこなわれた全国知事会議で小池百合子都知事と会い、「一緒にがんばりましょう」と声を掛け合いました。

北海道に対してさまざまな意見が出ていますが、もうそういうことを言っている時期でもありません。とにかく大会成功のためにみんなが一つになるべきだと思います。これから札幌、そして北海道の名が世界に広く知られることになるわけですから、この千載一遇のチャンスを生かせるよう、関係各所との連携を深めていきます。

関係人口の拡大を北海道創生の軸に

――今後重視する政策は。

鈴木 北海道創生の総合戦略が見直しのタイミングを迎えています。私は「関係人口」という新たな概念を取り入れた戦略を打ち出していきたいと、かなり前から話してきました。「関係人口」とは、定住人口でも、交流人口でもありません。

例えば道外に住む北海道出身者とか、過去に住んだことがある人、道外から道内の市町村にふるさと納税をしている人など、何らかの形で地域、またはその地域の住民に関わっている人を指します。

安倍晋三総理が出席した11月の「まち・ひと・しごと創生会議」でも、まさに関係人口の創出・拡大を第2期総合戦略の中心に据えるという基本的方向の案が提示されました。

9月に立ちあげた「ほっかいどう応援団会議」では、関係人口の拡大を目的の一つに掲げています。現段階ですでに300を超える団体に入っていただきました。

現在国では、企業版ふるさと納税制度の期間延長や優遇措置の拡充など、民間の力を活用する税制改正の議論もされており、これから応援団会議でもより具体的な動きを示すことができると思っています。

――20年はどのような年にしたいですか。

鈴木 胆振東部地震の被災地では多くの人たちがまだ、応急仮設住宅での生活を余儀なくされています。全国、そして道内の多くのみなさまのお力をいただきながら、復旧復興に向けて、被災地域とともに力強く歩みを進めていきます。

20年は“東京2020”で日本中が盛り上がることでしょう。オリンピック聖火リレーの北海道ルートには、厚真、安平、むかわの3町も含まれています。復興に協力してくれた世界のみなさまに対する感謝と、これからも引き続き応援していただきたいという思いを、リレーを通じて発信できればいいと考えています。

民族共生象徴空間「ウポポイ」の開業も控えています。多くの人に訪れてもらうため、PR活動をさらに加速していきます。

そしていま、日本には20年のその先の目標が必要だと言われています。その点、北海道には先ほども話したアドベンチャートラベル・ワールドサミットの開催や、30年の冬季オリンピック・パラリンピックの札幌招致、さらには北海道新幹線札幌延伸といった大きな目標がいくつもあります。

20年はそれらを成功・実現させるため、東京オリンピック・パラリンピックのその後を見据えた新たな動きをつくっていく年になります。オール北海道でしっかりと取り組んでいきます。

=ききて/松田尚也=