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Interview

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「知事選出馬は2万%ない」掲載号:2018年8月

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古賀茂明 フォーラム4代表

元経済産業省官僚の古賀茂明氏に道知事選出馬の噂が出ている。その根拠の1つが、6月16日に札幌でスタートした「古賀みらい塾」だ。塾の関係者も出馬を期待している。来札した古賀氏に政治塾の狙い、そして知事選出馬の可能性を聞いた。

上田前札幌市長も政治塾に強い関心

――「フォーラム4北海道・古賀みらい塾」を始めるきっかけは。

古賀 役所を辞めた後、あちこちから「政治塾を作ってください」といった依頼がありましたが、ずっと断ってきました。

今回は「北海道の未来を拓く会」の代表者らから、お話をちょうだいしました。私が提唱する「フォーラム4」の理念に賛同されていらっしゃったこと。そして、具体的なプランをお持ちになっていたことから、引き受けました。現時点で来年春まで継続していくことがはっきりしています。

――あらためて「フォーラム4」について教えてください。

古賀 「改革はするけど戦争はしない」を基本理念として掲げています。

いま、そうした考えの政党や政治家集団はあるでしょうか。私は、市民にとって有力な選択肢が空白になっていると考えています。実際、他にないから自民党、仕方なく立憲民主党という有権者は少なくない。

では、「フォーラム4」の政党を立ち上げればいいと思う方もいるかもしれません。実は、理念に賛同する政治家は何人もいます。しかし、みなさん踏み切れない。当選できるのか不安があるわけです。

それなら順番を逆にすればいい。「改革はするけど戦争はしない」を軸にする政治家を支持する市民は、世の中にたくさんいる。それを示せば政治家も動くと、ずっと考えていました。今回、この塾が開講して継続をしていくことで一歩、行動に移したと言えます。

――どんな方に参加してほしいですか。

古賀 前提として「フォーラム4」の理念に興味を持つ方ですが、限定はしていません。勉強をしたい人、理念を発信したいと考えている人、自分自身が政治家を目指している人。あるいは、理念に賛同する政治家を探し出し、応援したい人でも構いません。

個人的には官僚にも参加してほしい。役所内と議会だけでなく、市民と一緒に議論をして政策を考えてみたい人に来ていただければうれしいですね。

――第2回目の講師として上田文雄前札幌市長、3回目は映画監督の森達也さん、4回目は小説家の室井佑月さんと聞いています。人選は古賀さんと事務局で検討しているそうですね。

古賀 ええ。上田さんとは今朝も話をしました。この塾に強い関心を持っていただいています。北海道の展望についてなど、主に政策の議論をいたしました。

タブーに挑戦する取り組みが必要

――お話の内容は。

古賀 例えば、農山村では農業や林業だけではなく、エネルギーも主要産業だという話をしました。

――どういうことですか。

古賀 江戸時代ぐらいまでは農山村から出た薪と炭が、日本のほぼすべてのエネルギー源でした。つまり昔の農山村は食料とエネルギーの両方を供給し、その2本柱で成り立っていたと言えるわけです。

近代化が進み、エネルギーの主役が石炭に代わり、そして石油になっていくのに伴い、農村は衰退していきました。しかし、いま再び農山村でエネルギー産業の可能性が出てきています。農業と太陽光発電が共存するソーラーシェアリングが代表的な例です。そうした新しい技術や発想で農家の利益が増えれば、地方は活性化できるのではないか。

――北海道についてどのような印象を。

古賀 自然エネルギー、観光、農林水産業の分野で大きなポテンシャルを秘めていることに、異論を挟む人はいないでしょう。ただ、それぞれ大事だから補助金を出しましょうというような発想では、北海道は豊かにはなりません。

農業について言えば、どこそこの農家が6次化に取り組んでいるとか、高い価格で作物を輸出したとか、そうした話を耳にしますが、それらの取り組みのほとんどが点の話に過ぎません。果たして北海道全体を豊かにするというレベルになるでしょうか。

もちろん個々の農家のそうした戦略は必要ではありますが、北海道産という全体的な差別化が、底上げには必要だと思います。

そもそも道内の農家には農協と一緒にやっていれば、という意識が強くあると感じています。実際、無農薬野菜を作っている農家と話した時、私が東京での実感から「高く売れるでしょう」と話すと「いや、農協に卸しているから」と。もったいない。北海道産の無農薬野菜なら首都圏で高く売れます。

北海道が大生産地である牛乳についても、既存の枠組みでなるべく本州に持ち込まないことになっていますが、私は、タブーに挑戦をする取り組みが必要ではないかと考えています。

道産米はおいしいですよ、と宣伝しています。ブランド米戦略もあっていいですが、北海道は広い水田があります。おいしくて安い。そういう米をたくさん作ることができるはずです。

今、種子法の廃止が話題になっていますが、従来は減反政策に合わせて多収量品種は開発しませんでした。それを転換し、収量も重視した低コストの多収量米でたくさん作っていいよ、とやって輸出も狙う。価格を抑えることができれば、経済発展をしている東南アジア圏の市場も十分に狙えるようになるでしょう。

パターン化している野党の戦い方

――新潟県知事選の現場にも行ったそうですが……。

古賀 野党の戦い方がパターン化している印象を受けています。安倍批判、原発批判。それと安保法制、憲法改正への批判。

――3点セットですね。

古賀 野党は安倍批判を繰り返すが、県知事選のような地方選挙では、外交・安保は主要テーマにはなりにくい。安倍首相が嫌いだという人以外の心には、そうした批判は響きません。

原発について、自民党は戦略を変えてきました。

おそらく来年の道知事選でも、自民党が推す候補は「泊原発を動かします」とは言わないと思います。「道民の意見を尊重して慎重に判断する」「そう簡単に動かせません」と、選挙期間中は言うでしょう。

――3点セットの有効力は地方選挙でなくなってきている。

古賀 安倍政権がこれだけ失態を続けても一定の支持率があるのは、少なくとも経済政策では野党より安倍さんがいい、という認識が有権者の間にあるからだと考えています。

野党も安倍さんの強みは経済だと認識し、自分たちの経済政策を打ち出そうとしていますが、出てくるのは、いわゆるバラマキ色の濃いもの。「野党は変わった」と思われるくらいの政策を打ち出さないと、自民党に対抗するのは難しいのではないか。

――例えば……。

古賀 エネルギー分野なら「原発をなくします」だけではなく、原発を停めると新産業が興り、拡大して儲かる。そして、その果実は地方に行き渡るという部分までをセットにした政策を打ち出す。そうすれば、脱原発にも勢いがつきます。

――ご自身に対して来春の道知事選への出馬を期待する声があります。

古賀 2万%ありません。

――どこかで耳にしたセリフです。2017年の総選挙で出馬の話があったと著書に書かれていました。政界進出については。

古賀 あの時は小池百合子さんから上杉隆さん経由で「話題性のある候補が必要なので出てください」といった話があり、検討したのは菅官房長官の選挙区でした。

昔から、立候補させられそうになったことは何度もありました。ただ、どちらかというと私は大きな考え方や政策を構築し、政治家にアドバイスをする役割です。役人時代からそうでしたし、退官後も同様で、維新八策にも関与しました。私には自分が政治家になる気持ちはあまりありません。そう思っていたら、とっくに挑戦していますよ。

  ◇    ◇  

道知事選への出馬について「2万%ありません」と否定した古賀氏。このセリフは、かつて蜜月関係にあった橋下徹氏が大阪府知事選への出馬を問われた時に言ったもの。その後、橋下氏は出馬し、当選を果たしたのはご存じの通りである。本音なのか、それとも……。

=ききて/野口晋一=