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Interview

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電力値上げは消費者が納得できる形に掲載号:2012年12月

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小平忠正 国家公安委員会委員長兼消費者担当大臣

 小平忠正氏が父・忠氏の後を継ぎ、国政に打って出てから22年がたつ。7期目は民主党内で重鎮の部類に入る。支持者らの悲願がついにかない、野田第3次内閣で大臣ポストを射止めた小平氏に、意気込みを聞いた。

サイバー犯罪への対応で専門部門を

――国家公安委員会委員長と消費者担当大臣に就任されました。官邸から連絡を受けたときのお気持ちは。
小平 私も7期目ですし、ある程度は予想といいますか、具体的には言えませんが、シグナルがありました。今風の表現ですと「想定内」とでもいいましょうか。
野田総理からは「農水大臣は留任なので、あなたには国家公安委員長と、消費者と食品安全の担当大臣としてやっていただきたい」と、指示がありました。
――農林水産政務次官や衆議院農林水産委員長などを歴任されてます。やはり農水大臣をやりたかったのですか。
小平 私からは何も申し上げていませんが、そうした経歴を知っている野田総理が気を遣い、そうおっしゃったのでしょう。
――ご自身としては、どういった点が評価され、大臣拝命につながったと思いますか。厳しい国会情勢の中で、衆議院の議院運営委員長として粘り強くやった点が評価されたと見る向きもあります。
小平 ねじれ国会ですし、税と社会保障の一体改革の問題もありましたから、衆議院だけでなく、参議院対策でも苦労はしました。野田総理とは何度も会い、議会運営について報告、打ち合わせをし、相談も受けていました。
――就任後に地元に帰られた際、父親の忠さんの墓前に大臣就任を報告されたと聞きました。
小平 私の父は民社党という小さな党で国会議員を務めました。当時は55年体制です。そのはざまにあって、大臣ポストは夢のまた夢でした。父がもし生きていればどう受け止めたかな、と思いながら、手を合わせました。
――ご家族や支持者の反応は。
小平 支持者も家内も喜んでくれましたよ。ただ、選挙が近いかもしれないと言われる中で、なかなか地元に戻れなくなりましたので、家内に「私に代わって頼むぞ」とお願いしました。
――2つの職責がありますが、まず国家公安委員長としての抱負をうかがいたい。
小平 国家公安委員長は警察行政、簡単に言いますと、治安行政の責任者です。国民の生命と財産を守り、安心・安全な社会を構築することが最大の目的です。
治安については最近、北部九州の暴力団抗争が憂慮されています。一般市民、そして暴力団排除に協力していただいている勇気ある市民が、危険にさらされる事態になっています。警察がそうした人をしっかり守らなければならない。そして、暴力団抗争が他地域に飛び火しないよう、抑え込まなければなりません。
i2――インターネット技術を悪用したサイバー犯罪も頻発しています。
小平 今回、コンピューターウイルスを使って他人のパソコンを利用した、いわゆる〝なりすまし事件〟が明らかになり、誤認逮捕が生じました。誤って逮捕された方々に謝罪をしました。残念ながら、その分野の知識や技術で、警察が追いついていなかった面があるのは認めざるを得ません。
――こうした分野はまさに日進月歩の世界です。
小平 確かに追いかけっこの面はあります。今回の事態を契機に、警察庁ではインターネット技術への対応を急いでおり、新たな専門部門を立ち上げます。
私はツイッターもしていませんし、ペンや筆で手紙を書く方が好きなのですが、今の若い人たちはネットの世界と密着しています。そういう意味で、サイバー犯罪は、新しい時代の課題と言えます。
――サイバー犯罪の特徴として、国境を越える点があげられますね。
小平 各国と綿密な情報交換が必要です。しかし、安全保障の問題が絡む点があり、なかなか難しい。わが国としてはまずは専門知識を有する集団を組織し、高いレベルの防御態勢を構築することだと考えています。
――市民の意識も大切ではないですか。例えば、パソコンにウイルス対策ソフトを必ず入れるとか。怪しいサイトにアクセスはしないとか。
小平 利用者の意識を高めることも大切なことです。

世界に誇るべき高い治安を維持

――警察行政の課題はいろいろあると思いますが、いち市民として感じることの1つに、交番に人がいない点があります。人員が不足しているのでは。
小平 東日本大震災、福島第1原発事故があり、その支援体制に人員が割かれ、先ほど申し上げた北部九州の暴力団対策にも応援態勢をしいています。さらに、尖閣諸島の問題のため、沖縄県警にも応援を送り込んでいます。そうした状況に対応するため、来年度に向けて、増員のための概算要求をしています。
また、今後の課題としては、取り調べの可視化、捜査手段としての通信傍受の是非もあります。今後、いろいろと協議をしながら、対応を考えていきたい。
――残念ながら警察官の不祥事が少なくない。地元の道警も懲戒処分の件数が非常に多い。
小平 不祥事が多いかどうかは一概に言えませんが、各地で好ましくない事案が起きていることは事実です。厳粛に受け止めています。基本的にどんな組織にも〝悪い虫〟はいますが、こと警察にあってはいけません。不祥事が起きないよう教育が必要ですし、発生した事案に対しては厳正に処罰します。
これはよく言われていることですが、日本の社会全体が昔と違ってきています。地域の連帯、助け合いの精神というのが、どこか希薄になってしまっている。警察組織でも職員同士が互いにコミュニケーションを図り、問題を抱えた職員が孤立化して悪い方向にいかないような雰囲気をつくっていくことも必要だと思っています。
多くの警官は真面目に頑張っています。若いころ、海外にあちこち行きましたが、日本は夜中でも、人気のないところも安心して歩けます。世界に誇るべき治安レベルです。これを絶対、維持していかなければなりません。
――次は消費者担当大臣としての話をうかがいたい。
小平 一見するとまったく違う警察行政と消費者行政の両方を預かることになったわけですが、国民生活に安全・安心を与えると言う点では同じです。
例えば、悪質な訪問販売を受けた市民は消費者センターに相談します。そして事件化すると、捜査するのは警察です。警察行政と消費者行政は、つながっているんです。
市民が消費者センターに相談した段階で、きちっとした処置をとれば、事件沙汰になる前に解決することもできる。未然防止が一番重要です。

消費者庁はいずれ「省」になるべき

――消費者庁はまだ歴史が浅い。今後、どのような役割を果たしていくのでしょうか。
小平 従来の行政は、どちらかというと企業側の視点に立っていました。しかし、今は、消費者サイドに立った目線が欠かせない。
昔、環境庁が発足したとき、ピンとこないと言う人もいましたが、今や環境は非常に重要な政策課題です。実際、「庁」から「省」になりました。消費者庁もいずれ「省」に昇格すべき存在だと思いますし、そういう方向にいくよう頑張っていく。消費者庁は時代のニーズにかなっています。
――PL法も制定されていますし、裁判によらない紛争解決の手段としてADR制度も導入が進んでいます。
小平 そうですね。ただ、そもそも問題が起きないように欠陥商品のチェック体制を強化する点も大事です。
――前任大臣の松原仁氏からの引き継ぎでは、電力値上げについて言及があったと聞きました。
小平 電気料金だけでなく、公共料金の適正化を図ることは非常に重要です。単純に言いますと、企業側、エネルギーを提供する側は料金を上げたい。一方で消費者は上げられては困る。そういう中で、消費者庁は、弱い立場の消費者に軸足を置いて、企業側に対峙するのが役割です。各消費者団体の意見をしっかり吸い上げ、電力会社、経済産業省と協議を重ねながら、消費者も納得できる方向性を出し、適正な料金にしていきます。
――消費者が納得する前提として手続きの透明性があると思います。
小平 もちろん手続きの透明性の確保は絶対に必要です。これは電力にかかわらず、公共料金体形の全てにおいてそうです。
――最後に所管ではないのですが、農業問題に精通されている小平大臣に、TPPについてうかがいたい。
小平 どの国も、文化や歴史、産業構造が違い、それぞれ守るべきものが異なります。そこで各国は関税を設けて貿易をしています。
ところが、TPPは関税の撤廃が原則です。つまり今の貿易のシステムを根本から覆すやり方です。私の主張としては、関税なき貿易交渉はありえないというものです。
――野田総理とTPPの話をしたことは。
小平 衆議院議院運営委員長の時から、折に触れてTPPについては国内の農業界、産業界など各界の議論が煮詰まっていないという認識を伝えています。拙速に事を進めると禍根を残すので、慎重に議論をすべだと具申しています。
民主党の中にも推進派の議員はおります。それはそれで信念として認めますが、私は、今の形のTPPに日本は参加はすべきではないと考えております。
――札幌のパーティーで、TPP参加を阻止する防波堤になるとおっしゃっていましたね。
小平 国益の観点から、今の概念のTPPに参加することは危険だと考えています。

=ききて/野口晋一=