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Interview

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どうする"小沢問題、景気対策 官僚政治、企業・団体献金"掲載号:2009年6月

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鳩山由紀夫 民主党幹事長

西松建設をめぐる小沢一郎代表の「政治とカネ」問題が発覚し、政権交代へ向け勢いづいていた民主党にブレーキがかかった。小沢氏続投への風圧が強まるなか、この難局を乗り切れるのか。鳩山由紀夫幹事長を直撃した。

麻生「不支持」は「支持」の倍以上

――都議選(7月12日)とのW選挙の可能性も取りざたされていますが、総選挙の時期をどう見ていますか。
鳩山 先日、河村建夫官房長官から「解散時期は公明党に配慮する」旨の発言がありましたが、あれはおそらく本音でしょう。配慮するとすれば都議選の直前、直後にはない。現段階では7月中の選挙はないとみています。
15兆円の補正予算を提出しておきながら、途中で解散・総選挙ということは常識では考えられない。われわれも徹底した審議を求めますが、引き延ばし戦術をする気は毛頭ない。通常の日程で終わるとすれば、解散・総選挙は都議選の前にも後にもできる。
総理が3代続けて解散・総選挙をやっていない。だからいまの内閣は国民に信頼されていない。そのことを考えれば、われわれは常に申し上げているが、できるだけ早く解散・総選挙をやるべきだというのが基本的なスタンスですね。
――時事通信社の4月の世論調査では内閣支持率は、前月比7・6ポイント増の25・2%。不支持は同13・6ポイント減の53・8%。「首相にふさわしい政治家」では麻生太郎総理(26・7%)が小沢代表(20・6%)を上回りました。
 鳩山 ご承知の通り、小沢代表の秘書の問題によって民主党に対する風当たりが今までよりも強くなりま した。その裏返しで麻生政権の支持率が戻ってきたかのように見える。でも、支持率よりも不支持率が2倍以上も多いというのは、決して麻生政権を国民が認め ているわけではないということを示しています。
麻生内閣は内政は官僚に任せ、外交で得点を稼ごうとしています。だから、官僚の天下りに甘い。こうしたことも日本を格差の巨大な国にしてしまっている要 因です。国が117億円かけて建設をめざしている「アニメの殿堂」1つとっても、結局は特殊法人、独立行政法人が運営を行うことになる。こんなばかばかし い無駄遣いを平気で行ってしまう。
i2  定額給付金にしても、本当に社会的に苦しい人たちにお金を支給するのならわかりますが、全員に渡すのは納得ができない。こんなことで景気が良くなるわけがない、ということを多くの国民が見抜いている。だから内閣支持率は低いのです。
それから外交に関してですが、北方領土問題で谷内正太郎政府代表が「3・5島返還でもいい」と発言しました。あれは以前、麻生総理自身が谷内さんに話し た発言を受けたもの。4島をあきらめて面積の半分でいいというのは、とんでもない国益の損失。こんなことを交渉前から言ってしまったら、永久に4島は返っ てこないことになりかねない。こういう功を焦りすぎた発言というのが極めて多いと私は思います。
一方で、アメリカに追随して基本的にアジアを軽視しており、過去の歴史に対する見方も古い。そういう発想では、この国が外交において各国から尊敬されるような主体には決してなれないと思います。どのように考えても麻生内閣は落第点をつけざるを得ません。

吉と出るか、凶と出るか「小沢続投」

――党内でも反小沢の動きが活発化しています。小沢代表の続投は民主党にとって本当によい選択でしょうか。
鳩山 代表が幹事長を指名するわけですから、当たり前の話ですが幹事長は「一蓮托生」です。小沢代表には全力で頑張ってもらい、それでも「国民が納得しない」「政権交代が難しい」という話になったら「お互いに辞めることで打開しようじゃないか」という点を確認している。
秘書逮捕問題の本質は、なぜ、この時期に、ほかの何百人という人間が修正申告で済んでいたレベルの問題であるのにもかかわらず、公設秘書が逮捕されてしまったかということです。この部分の不可解さが残る。どう考えても検察が狙い撃ちをしたとしか思えません。
このようなやり方を許せば、検察の思い通りの、例えば検察が「あいつをつぶせ」と言ったら、いつ誰でも逮捕できてしまうことになりかねない。小沢代表1 人の問題として捉えられていますが「みんな危ないぞ」というメッセージになっている。それぐらい大きな問題であることをみなさんにも認識してもらいたい。
代表を代えるのは簡単です。でも、代えてもまた同じことをされる可能性は十分にある。今回の一件は、恣意的に狙いを定めて検察が動けば、誰だって逮捕で きてしまうという話ですから。当然、そのようなことが繰り返されることがないように、われわれとしても検察にはきちんと物を言っていかなければいけない。
一方では、このようなことが起きてしまうのは、法律にも不備があったということ。ある意味、ザルみたいな法律にしていた。そのザルの部分を検察、警察の裁量に委ねてしまっていた。だから企業・団体献金の全面禁止をわれわれは強く求めていきます。
小沢代表がかつて自民党のボスであった人間だから、「西松建設とうまい関係ができているのでは」と国民に考えられている部分はあると思う。これは法を犯 した、犯さないという以前の問題。例えば、小沢代表がほかの人よりもたくさんお金を集めていると思われているが、企業献金では国会議員の中では27位、総 収入でも71位にすぎず、決して多くはない。
私は新党さきがけから民主党にきた人間として、政治とカネの問題に対して「自民党とは違うクリーンな政党をつくりたい」という思いがありました。だか ら、今回の件で「なんだ、自民党と同じではないか」といわれることは、決してありがたいことではない。そのようなイメージを払しょくしなければなりませ ん。
それから「後ろめたいことは何もしていないぞ」ということを示す必要もあります。「ないこと」を証明するのは非常に難しいが、そのためには小沢代表自身 がもっと前面に出て、国民に説明をする。そういう行動を通じて国民に誤解を解いてもらえるように、とことんベストを尽くしてもらいたい。ベストを尽くせ ば、この困難を乗り越えることができると思います。

小沢続投を支え、 代表選は最後の手

――小沢代表で本当に選挙は勝てますか。
鳩山 勝てるように全力を尽くすということです。国民は「何かウラがあるのだろう」と不信感を持っているところがある。それを払しょくするためには本人から言ってもらうのが一番いい。
小沢代表は「西松建設の社長に会ったことがない、顔も見たことがない」ということなので変な関係があるわけがない。その辺をしっかりと説明をすれば、こ の問題よりはるかに大きい、政権交代という国の未来がかかっている事柄が目の前に迫っているわけですから、国民のみなさんにも納得いただけると思っていま す。
――党内には小沢代表に代わり、岡田克也副代表をはじめ、別の人を担ごうとする動きも見られますが。
鳩山 小沢代表とはこの問題が起きた直後に2人で話し合った。その中で代表は「万が一のことがあった時に自分は代表を降りることもある。そのときは一兵卒になっても政権交代のために党の団結を守って戦っていく」と話していました。
私どもとすれば、政権交代を行うことが至上命題。そのことは小沢代表自身が一番分かっています。この政権交代ギリギリのところまで来て、この党が割れてしまったら、何のためにいままで政治をやってきたのかということになる。
小沢代表が続けられる環境をできるだけつくり上げていく義務が私にあるというのは言うまでもないことですが、それでも小沢代表自身がこれでは政権交代が できないと思い、また、われわれがそのことを悟ったときには、幹事長として公正公平、オープンに代表選挙を行う役割があると思います。

弱い立場の人をターゲットにした予算へ

――民主党が政権を取ったら日本はどう変わりますか。
 鳩山 まず、麻生政権に対する国民の不満、その声に応える政権をつくることが必要だと思います。すなわち何でもかんでも官僚任せ、アメリカ任せの政治ではなくて、国民主権、政治は国民自らが行うということを打ち出す政権を私たちは実現したいと思います。
徹底的に無駄をなくすこと、いわゆる官僚支配を断ち切ることです。いままでは政策決定を官僚に委ねてきたので、天下りや官製談合など、無駄遣いが非常に多かった。こういった既得権益を一掃する。
彼ら(自公政権)はそれができないものだから公共事業等で大盤振る舞いをした後、増税するしかない。われわれは増税は必要がないと思っています。
一般会計と特別会計を合わせると、国の総予算は212兆円くらいある。その212兆円を国民に訴えかけて、どのような優先順位でそれを使うかを議論をし ていく。われわれの考え方の中では、そのうちの1割、20兆円くらいは自分たちの自由意思で使い道を変えられると思っています。
例えば、農家に対する戸別所得補償制度で農業を守る。あるいは年金でお年寄りをしっかり支える。子供には中学卒業まで毎月2万6000円、年間31万 2000円を、これは恒久的な施策として少子化対策に使わせてもらう。また、道路づくりはいったんなくす。そして高速道路はただにする。このようなことを 考えています。
バラまきではなくて、本当に社会的に弱い立場の人を守る社会保障の充実や、子育て支援、農業、年金、医療、福祉、中小企業対策などの大事なところにターゲットにした予算に組み替える。
また、根源的には、国と地方のあり方を大逆転させるというのがわれわれの考え方。国民主権、地域主権、地域のことは地域でやろうじゃないかと。国があまりかかわりすぎるから無駄が生じてしまっている。
建物を建てる、道路をつくるのを地域に任せればいいのに、国がなんでもひもを付けて、ひも付き補助金にしています。こうした官僚主導の政治を一掃させる。一気にはできないと思うが、かなりの部分やれると思います。
――民主党には政権担当能力がないとの批判もあるが、民主党に足りないものがあるとすれば何か。
鳩山 まだ政権を担当させてもらっていないのだから、政権担当能力があるかどうか分からないのは当たり前のことでもあります。ただ、政権を取った後、国と行政の仕組みをどのようにつくり変えていくかというところのPRが下手だと思う。
内閣に議員を100人入れるという大雑把な話はありますが、その先のことが必ずしも国民の皆さんに見えていないし、まだ、民主党の中でも決め切っていな いところがある。1つひとつの政策をどのように国民と対話をしながら一緒につくり上げていくか、「国民の生活が第一」の政治を実現していくか、いま少しず つ形を整えているところです。

=ききて/<取材日4月30日> 安藤由紀=