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Interview

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レジェンドを超えろ掲載号:2019年2月

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小林陵侑 スキージャンプ選手

今季のスキージャンプ界を席巻しているのが小林陵侑選手。今年で67回目を迎えた伝統のジャンプ週間で4戦4勝のグランドスラムを達成。史上3人目の快挙だ。さらに日本勢シーズンW杯勝利数を「8」に更新、連勝記録も「5」に伸ばした。本誌インタビューでは覚醒の理由に迫った。

7戦5勝でW杯ランキング1位

――今シーズンのワールドカップ個人第1戦で3位。初めて表彰台に上がりました。

小林 自分の感覚としては2本ともいいジャンプではなかったんです。それでも3位という結果だったので調子がいいのではないかと思いました。もう少しいいジャンプを飛べたら優勝もあり得たので悔しい気持ちもありましたがシーズン初戦だったので、焦るなと自分に言い聞かせていました。

――そして第2戦では初優勝を果たしましたね。

小林 ジャンプという競技は、いいジャンプを2本そろえることが難しいんです。しかし、この試合は強風の影響で1本勝負でした。リザルトを確認したときは「勝っちゃった」という感じで、実感はなかったです。

――監督であり、日本代表のチームメートでもある葛西紀明選手から何と声をかけられましたか。

小林 監督からはハグをしてもらって「おめでとう。初優勝まで遅かったな」と激励してもらえました。ともに遠征していた兄(小林潤志郎選手)からも「おめでとう」と言われました。

――ここまで7戦5勝という圧倒的な成績。好調の要因を教えてください。

小林 この夏からジャンプを改造していたので、それがうまくいってると思います。

――具体的にどの部分を改造したのですか。

小林 アプローチですね。助走の速度やタイミングの取り方を改良しました。サマージャンプを飛び始める時期に思い立ち、取りかかりました。昨シーズンまでは助走スピードを意識していなかったのですが、世界のトップ選手の動きをまねてみた結果、速度が少し上がりました。

今後、調子が悪くなることもあると思いますがケガなく、このジャンプができれば世界のトップと渡り合っていけるのかなと感じています。

――壁を乗り越えたような感覚があるのですか。

小林 ジャンプのレベルが格段に上がりました。そこは自信を持っています。

――現在、ワールドカップランキング1位です。ライバルである海外選手から言われたことは。

小林 スイスでおこなわれた第6戦で7位。今シーズン初めて表彰台を逃しました。他の選手からは「小林の好調は終わった」と思われていました。それでも翌日の第7戦で優勝することができました。その試合で3位だったカミル・ストッフ選手から「リスペクト」と言ってもらえたことはすごくうれしかったですね。

――ワールドカップの日本人最多勝利は葛西選手の6勝。あと2勝までに迫っています。

小林 残り30試合くらいあるので超えるチャンスはあると思っています。

――「早く超えろ」とハッパをかけられたりしますか。

小林 「余裕でしょ。超えられるでしょ」という感じで応援してもらっていますが、まずは一戦一戦の内容を重視していきたいです。

夢を与えられる存在になりたい

――ジャンプで一番大事にしているポイントは。

小林 それぞれのジャンプ台でスタートゲートの固さや高さが異なります。このジャンプ台ではどのようなスタートがベストなのか、本番までにいかにアジャストできるかを重要視しています。たまに練習と予選でゲートバーが変更になるときもあるんです。そういう時は厄介ですね(笑)

――2018年2月の平昌オリンピックでは初出場ながら個人ノーマルヒルで7位。日本選手唯一の入賞を果たしました。

小林 あのときは非常に調子がよく、とてもいい経験ができました。オリンピックは独特の雰囲気がありましたが、リラックスして競技に臨めていました。初出場ということで、そんなにプレッシャーもかかっていなかったので気楽に飛ぶことができました(笑)。

――オリンピックでの経験が今シーズンにつながっていますか。

小林 すごく調子がよくても入賞止まりでした。オリンピックに出て上位の選手とはジャンプのレベルが違うんだと気づかされました。そこからいろいろな人のジャンプを研究した結果が今シーズンの成績に結びついていると思います。そういう意味ですごく成長できた場所ですね。

――今シーズンの最終目標を教えてください。

小林 世界のトップを目指しています。ワールドカップ個人総合はもちろんのこと、2月におこなわれる世界選手権でも優勝を狙いたいです。

――胆振東部地震発生後には、チーム土屋で被災地を訪問しました。

小林 地震によって多くの人が家を失うなど、大変な状況を目の当たりにしました。励ますため訪問しましたが逆に「頑張って」と声援をもらい、それが力になっています。僕のジャンプを見てもらえたらいいなと思いますし、1月には札幌でも大会があるので足を運んでもらえたらなと思います。

自分は土屋ホームという北海道の企業に入社できたからスキージャンプを続けることができています。北海道を元気づけるというか、ジャンプを通じて誰かに夢を与えられたり目標とされるような存在になれたらいいなと思います。今シーズンはできるだけ好調を維持して多くの人に注目してもらえるように頑張ります。

=ききて/佐藤裕樹=